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柔道整復師と介護福祉【第2回:介護福祉と柔道整復師】

2014/11/16

現在、介護福祉という業界には福祉用具貸与、介護予防福祉用具貸与、特定福祉用具販売、特定介護予防福祉用具販売などの事業が存在します。また、介護福祉を専門とする資格には、福祉用具専門生活相談員、介護福祉士、社会福祉主事任用資格、社会福祉士などの専門職が存在します。まずは、これら資格要件に関してご説明します。

 

福祉用具専門生活相談員

厚生労働大臣が指定する講習会を受講します。平成18年度からは介護保険法改正により指定講習会の指定事務は都道府県が行うこととなりました。合計40時間行われます。その他 社団法人シルバーサービス振興会などが行う福祉用具供給事業従事者研修会(50時間)[1]の講習もあります。また、福祉用具供給事業従事者研修会(50時間)を修了すると福祉用具供給事業従事者現任研修会を受講することが出来ます。

取得について注意事項

現在、福祉用具専門相談員の指定講習内容と福祉用具専門相談員の要件の見直しが検討されており、2015年(平成27年)の介護保険法改正から、福祉用具人員基準要件に変更する方向です。今後、在宅医療推進に伴い、生活機能の補完として、福祉用具専門相談員の質の向上・専門性の確保がより重要とされています。社会保障制度の一役を担う介護福祉の専門職として重宝されるでしょう。

 

介護福祉士

名称独占資格の一つでもあり、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者を言います。「介護者支援、介護者指導含む」 2005年(平成17年)、国は介護に携わる者の資格を介護福祉士に一本化する方向を示しましたが、現在も需要に対し供給が全く追いついていない状況にあります。現在も訪問介護員2級、訪問介護1級「現:介護職員初任者研修、2級相当、介護福祉士実務者研修、1級相当」等の需要は依然として高い状況にあります。

取得方法
1.
厚生労働大臣の指定する養成施設を修了し登録名簿に登録する
2.
介護実務経験3年以上で介護福祉士国家試験に合格し登録名簿に登録する
3.
高等学校又は中等教育学校(それぞれ専攻科を含む)において、福祉に関する所定の教科目(若しくは科目)及び単位数を修めて卒業し介護福祉士国家試験に合格し 登録名簿に登録する。
取得方法についての注意事項

2012年からは介護の実務経験3年の者は450時間の研修を受講することが義務づけられ、取得を希望する全ての者に筆記試験を受験しなければならない方向で検討されています。
しかし、平成24年度(第25回)国家試験から介護福祉士実務者研修を必須事項に実施予定でしたが、検証され更に3年遅らせ、平成27年度(第28回)国家試験からの実施となっています。

 

社会福祉主事任用資格

社会福祉主事の職務は、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を行うことである(社会福祉法第18条第3項、第4項)。

取得方法
1.
大学、短大、旧制大学、旧制高等学校、旧制専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉主事任用資格選択必修科目のうち、いずれか3科目以上の単位を修得して卒業した者
2.
厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
3.
社会福祉士
4.
厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者

現在では、通信大学の1年で取得可能となっており、介護分野における生活相談員要件にも含まれていることから、就業しながらのキャリアアップとして目指す方々が増えている傾向にあります。

 

社会福祉士

名称独占資格の一つであり、社会福祉士は社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう(社会福祉士及び介護福祉士法第二条第一項)。

 

地域包括支援センター、医療連携室

2006年4月より介護保険法によって市町村の中学校区単位での設置が義務付けられており、「地域包括支援センター」では、社会福祉士が総合相談業務、サービス事業者および行政との連携業務担当者として役割を発揮し、センターの配置義務が設けられております。
医療連携室、地域連携室などの名称で病院内に設けられている個別相談室には、社会福祉士の人員が、退院調整後の必要サービスの提案、在宅復帰に伴う調整など連絡調整役として貢献しています。

 

介護福祉分野と柔道整復師の関わり

種々の介護福祉分野が存在しますが、福祉用具事業に関しては、柔道整復師においても開業するハードルが低い専門事業と言えます。 設備基準は厳しくないため、人員基準の2.5常勤換算をクリアすれば比較的開業できるでしょう。施術管理者が福祉用具生活相談員を取得し、その他兼務で2人資格を取得すれば開業にこぎつけることは可能です。開業の特典としては、外来の患者さんに対して、住環境の提案(住宅改修)と福祉用具の選定(身体機能に合わせた選定)を個別に介入できるところでしょう。また、ライバルの事業者は建築業界、介護業界の法人が開業しているケースが高いですが、ワンストップで施術から提案ができるのは柔道整復師の特権とも言えます。柔道整復師が介護福祉事業者、介護福祉専門職との関わりを構築する上において、一つの方策と言えます。開設時に在庫を抱えず、受注発注の方策をとり、大きな福祉用具の在庫は他の事業者と連携して保守管理をすることで介護福祉の多職種連携をかなえる第一歩と成り得ますので、ぜひご検討ください。

 

介護福祉の方向性と一つの提案

地域包括ケアシステム構築の課題点である、在宅医療推進には、医療介護連携および安心して生活ができる環境の整備、改修は必要支援になります。在宅生活を営む上において住環境の整備は、介護福祉分野の専門領域にあたります。地域包括ケアシステムの歯車に必ず寄与する分野であり、医療介護連携を促進する上において、専門職である福祉用具生活相談員、介護福祉士、社会福祉士の役割は非常に大切になります。

柔道整復師が介護福祉分野との関わり方として、急性、亜急性運動器外傷の早期回復、早期改善以外に介護予防分野における機能訓練指導、評価、住環境の提案、整備までのワンストップ窓口の形は、今後の超高齢化社会において必要な資源に成り得ると思います。

専門職の特性を生かし、介護福祉の分野で連携先を開拓し、施術行為にとどまることなく地域(中学校圏域)における質の高い社会資源が活躍、普及することは、今後の在宅医療推進の大きな底支えに成り得るでしょう。

今何が、医療介護福祉分野に求められているか、柔道整復療養費制度の専門職も真剣に考える時期にあります。

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