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USEN健康保険組合・中川達也氏に聞く!

2013/08/01

近年、保険財政はいよいよ厳しくなるいっぽうである。そういった中で、健康保険組合は様々な努力を強いられている。

昨年3月に厚労省からの通知が出されたことで、適正化の名目で患者照会調査があたり前になり、しかも民間への委託が増加の一途である。また、今年の4月24日に柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の一部改正が行われ、厚労省から一定の見解は示されたものの現場の混乱は解消されないままである。

果たして健康保険組合は柔整業界をどのように見て、またどのようであって欲しいと考えているのであろうか。

 

スペシャルインタビュー「保険者に聞く!」
USEN健康保険組合   中川  達也  氏

―先ずはじめに貴保険組合の設立の経緯と理念についてお聞かせ願います。

設立は昭和56年7月1日になります。会社は昭和36年の創業になりますが、当初は社会保険事務所のほうに入っておりまして、だんだん規模も大きくなり、自分たちの健康保険組合を持って事業運営をしていこうということで、立ち上げました。現在、被保険者数は3715名、家族数は約3512名、計7227名の規模で、12の事業所で運営しております。

 

―中川さんは、柔整療養費において何が問題であるとお考えでしょうか?

制度の統一化がなされていないことでしょうね。ウチは、こうやる。でも我々はこういう風にやる、俺たちはこうやるんだと。その中に団体が居て、個人が居て、夫々様式も違いますし、見ていると団体も夫々カラーがあり、どこも独自でやられています。結局、独自でされて夫々違う形で請求されているので、こちら側としても合せていかなければいけない部分があります。ただ、合わせられなくて〝どうなんだろう?〟ということも多々あります。今日明日で出来るものではないので難しいとは思いますが、統一しないとダメですよね。この問題は最近になって特に話題となっていますけど、元々こういう問題はありました。しかし、解決がみつけることが出来ない為にこうなっていると思います。ここ数年、個人とか団体が乱立してきて、施術者同士で競争が激しくなり、患者さんの奪い合いをしているように感じます。でもこうなってくると実際に請求がきても、ここの団体は何をしているのかというのが全く解らないところが沢山あります。問題だといわれながら、一つも解決することなく、ここまで来てしまった結果だと思います。最近特に目立ちますので、どこかで歯止めをかけないとこの制度自体が崩壊してしまうと思います。なんでもかんでも決まりだからダメということではなくて、実際にこういうことをやった上でこの分を請求しますというのであれば、問題はないんです。でも、今までダメだったのが急によくなると、〝じゃやっとけやっとけ〟と、これをするからダメなんです。じゃ、そんなことになるのならもうこれもアウトにしましょうとなってしまうのです。

 

―療養費適正化の徹底をはかるということで2012年3月に厚労省から各保険者に通知が出されましたが、貴組合ではそれより以前から療養費の適正化に取り組まれていらっしゃいましたか?またこの通知以後、どのように取り組みを開始されましたでしょうか?

当組合では通知が出される以前から適正化に取り組んでいました。決して毎回請求があるから戻すということではなく、内容的におかしいと思われるものだけに照会をとり、返戻する場合があります。一応以前より行っていますが、ここまで取り上げられ出したのは最近です。昔から適正化は行われていた訳ですが、余り話題にはならなかったです。繰り返しになりますが昔は今ほど乱立していなかったので、ある程度、制度が守られてきていました。でもこれだけ競争が激しくなってくると、〝取れるところから取れ〟みたいになって来たからおかしくなってきているのです。統一させるべきなんです。一般医科のレセプトのように支払基金、ちゃんとした審査機関をもって団体・個人関係なく先ず一回そこで集約して、キッチリ審査してダメなものはダメ、適正なものだけが保険者に届いて、支払が出来る。学校が乱立して、結果柔整師さんが増えているということですが、何故そんなに人気があるのか?制度が統一されていなくて、比較的楽な支払がされてしまうからです。

 

―貴組合は民間調査会社を利用されていらっしゃいますか?もし利用されているのであれば、そのメリットとデメリットなどについて教えてください。

当健保は独自で行っていますので、民間業者に業務委託していないため、他所でやってもらうとどういうことになるのかというのは、よく知りません。今後も民間業者に頼む予定はありません。話だけ聞くと、民間業者は事務的なことしかやらないそうであまり良い話は聞きません。やはり自前でやっていれば、今までの流れで、この人は長い間通っているなとか、ちょっとおかしなことがあれば直接話も出来たりしますので、〝あ、そうだね〟〝今回ちょっと見直すわ〟ということも出来るんですね。ですから、外に出してしまうと全く見えなくなりますし、見えなくなった中で「不備です」「返戻です」と戻ってきて、これについてどうされますかということでの判断はとても難しい。単一健保組合ですが、全国規模なので鹿児島や北海道の人もいますが、しかしそこはお互い皆社員なので、電話一本かけて〝こういうことになっていますけど、どうですか?〟という話もお互いに出来る訳です。それをするためにはやはり内部で点検して、全体的なことを把握するためにも自分の目で見ていかないと出来ないことです。適量範囲であれば内部で行ったほうが良いと思います。

 

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