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調査票の実態【第21回:受診の可否は施術者が判断すべきこと】

2018/04/01

健康保険証により医療機関を受診する際には、健康保険の適用となる場合とならない場合とがあります。特殊な検査方法や治療方法、一部の薬剤使用、歯科においても保険外治療となる場合も多々あります。これらを受診者の皆様が等しく把握されているとは言えません。

柔道整復療養費特例受領委任による治療(施術)においても支給基準の規程に則り、協定(取扱規程)を遵守し実行することは当然であり、違反は許されません。

しかし何故、柔道整復師の先生方だけがまるで職業差別や受診制限と見まがうような受診者への調査や啓蒙が行われるのでしょうか。受領委任という特例方式が不正の温床だと耳にすることがありますが、他の健康保険の制度や方式では不正は生じないのでしょうか?

これまでに幾度となく訴えて参りましたが一般に医療機関を受診する場合、受診者は機能性胃腸炎を発症したから受診するのでしょうか。ラクナ梗塞を患ったから受診するのでしょうか。靭帯損傷だと判断して受診するのでしょうか。違います、これらの疾患による不調や症状等を自覚すればこそ最寄りの医療機関を受診し、診察・検査を経て医師が診断し病名を下します。

柔道整復の場合には、支給基準により「第1  通則  1 療養費の支給対象となる柔道整復師の施術は、柔道整復師法に違反するものであってはならないこと。」とあり、協定には、「23 施術管理者及び勤務する柔道整復師は、施術の必要があると認められる負傷に対して、的確な判断のもとに患者の健康の保持増進上妥当適切に施術を行うほか~」とあります。

柔道整復師法第24条では広告の制限が規程されており、支給基準で定められた傷病名(骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷)を広告として扱うことは認められていません。

上記資料には、急性・亜急性の外傷性の打撲・捻挫・挫傷、骨折・脱臼が健康保険の使える対象として記載されています。(広告で禁じられている傷病名の記載が何故なされるのか)

また、明らかに受診を制限するスタンスでの構成であり、受診先の柔道整復師による的確な判断のもとに健康保険の適用を求めているとは言えません。同資料による記載を医療機関用として例えた場合、「薄着による原因で感染したインフルエンザの診察・治療・投薬は保険適用外診療となりますのでご注意ください。」となるのでしょうか。

編集部スタッフが単なる肩こり様症状を自覚し、医療機関を受診した際の診断は、肩甲骨の不安定な動きによって周辺の筋組織が傷つき小さな損傷を生じたことから、筋肉の緊張が発生しているとのことでした。いわゆる肩こりでの受診のつもりが、運動器の損傷であることが判明した例です。この例では柔道整復師の先生方の受診においても、同様の的確な判断が下された場合には、単なる肩こりでなく使用が認められた傷病名により健康保険による治療と算定が可能であると考えられます。 スタッフを診察した整形外科医師による説明では、肩甲骨の正しい動きを回復させるには、少なくとも関連する筋肉の柔軟性を取り戻し、上半身の姿勢を整え、最後に身体と腕を繋ぐ肩関節の可動性を取り戻す必要があり、比較的長期の治療が必要であると結ばれたそうです。

上記資料では、「単なる肩こり、筋肉疲労など慢性的な症状に対する施術は対象となりません。このような症状で施術を受けられた場合は、全額自己負担になります。」とあります。

単なる肩こり・慢性的な症状について、医学知識の無い受診者の皆様が、どのようにして柔道整復による受診が可能か否かの判断するのでしょうか。それらの判断は受診者が行うのではなく、柔道整復師が柔道整復の業務として判断されるべきことです。

長期の受診となる場合にも、柔道整復師の先生方の判断が求められます。この場合には、申請書に長期施術継続理由書を添付する必要があります。理由があるにもかかわらず長期の治療があたかも悪しき受診であると受け止められかねない記載も見られます。加えて、短期の受診が正しいと促しているような記述も見受けられます。

平均値:
平均または平均値は、観測値の総和を観測値の個数で割ったものである。とびぬけた値がごく少数の場合には、最大と最小を除外した刈込平均を用いることもある。分布が左右対称でない時、中央値、最頻値をもちいるとよい。平均が中央値、最頻値、中点値と乖離している場合は刈込平均を含めた平均以外の使用を考えるとよい。

(ウィキペディアより抜粋引用)

          

上記資料に見られる平均請求額の算出には、厳正でち密な方式が用いられたのでしょうか。
当該の接骨・整骨院の立地条件や来院患者年齢層・職業或いは運動系クラブ活動に参加する学生が多いなど患者層についての算出ベースは、どのようにリサーチされたのか。

記述内容からは、請求額を低額させなければ、「返戻及び照会等、より厳正な審査をさせていただきます。」とあり、非常に強権的な印象を受けます。

1件あたりの請求額が高額となる場合には、通院実日数が多い例や請求部位数が多部位となる例が考えられますが、それぞれ長期治療の理由または頻度の高い治療が必要な理由を添付する規程がありますが、これらの検証も厳正に行われた結果なのでしょうか。

平均請求額が守られるべき基準額とすれば、おおよそ柔道整復師の先生方の請求額は下がる一方に向かうと編集部では捉えております。

4課長通知の目的は、

  • 柔整療養費の医療通知の実施
  • 被保険者の調査(参考提示)
  • 保険適用外についての周知徹底
  • 外部委託及び返戻の留意事項

です。
受診抑制や強権的調査を指示している記載は見られません。柔道整復の適正が大切であるならば、保険者並びに柔道整復に係る管理行政のスタンスも適正でなければなりません。

正しく行われる柔道整復治療は、国民の健康増進のためにも守られるべきです。

 

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