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保険請求の手引き【第11回:療養費の支給基準 その10】

2016/07/01

療養費の支給基準の柔道整復師の施術料金の算定方法 備考

1.
後療おいて強直緩解等のため、温罨法を併施した場合又は施術効果を促進するため、柔道整復の業務の範囲内において人の健康に危害を及ぼすおそれのない電気光線器具を使用した場合の電療料として、骨折又は不全骨折の場合にあってはその受傷の日から起算して7日間を除き、脱臼、打撲、不全脱臼又は捻挫の場合にあってはその受傷の日から起算して5日間を除き、1回につきそれぞれ75円又は30円を加算する。
2.
冷罨法を併施した場合(骨折又は不全骨折の場合にあっては、その受傷の日から起算して7日間に限り、脱臼の場合にあっては、その受傷の日から起算して5日間に限り、打撲又は捻挫の場合にあっては、受傷の日又はその翌日の初検の日に限るものとする。)は、1回につき80円を加算する。

このように冷罨法・温罨法や電療料加算についても規定が定められています。
後療に併施して行われた温罨法や電療は、その料金を算定することが可能です。

(2)罨法料

骨折又は不全骨折の受傷の日から起算して 8 日以上を経過した場合であっても,整復又は 固定を行った初検の日は,温罨法料の加算は算定できないこと。また,脱臼,打撲,不全脱 臼又は捻挫の受傷の日より起算して6日以上を経過して整復又は施療を行った初検の日についても算定できないこと。
ただし,初検の日より後療のみを行う場合は算定して差し支えないこと。
温罨法と併せて電気光線器具を使用した場合の電療料の加算は,柔道整復師の業務の範囲 内において低周波,高周波,超音波又は赤外線療法を行った場合に算定できること。
なお,電気光線器具の使用は,柔道整復業務の範囲内で行われるものに限られるものであること。

温罨法料や電療料の加算は、あくまでも後療に併施した場合に温罨法料のみの加算や、電療料のみの加算、或いは温罨法料・電療料の加算が認められることになっています。後療が実施されていない場合には、温罨法料や電療料の加算は認められません。昨今、いわゆる手技治療を主体とされ、温熱治療や低周波通電等の電療を行うことなく柔道整復を実践される先生もあるようですが、このような治療体系を旨とされる場合には、罨法料や電療料の加算は認められません。これらの項目算定においても、自動算定的な対応を慎み適正に対応いただきたいと願います。

(3)施術部位が 3 部位以上の場合の算定方法

多部位逓減は,骨折,不全骨折,脱臼,捻挫及び打撲の全てのものが対象となること。
3 部位目の施術部位については,所定料金に逓減率を乗じた額を算定し,4部位目以降の施術に係る後療料,温罨法料,冷罨法料及び、電療料については,3部位目までの料金に含まれること。
なお,多部位の負傷の施術中,特定の部位に係る負傷が先に治癒し,施術部位数が減少した場合は,減少後の施術部位数に応じた逓減率を乗じた額を算定するものであること。
逓減率が変更されるのは他の部位が治癒したことによる場合のみであり,3部位以上の施術期間中,その日に2部位のみについて施術するような場合については逓減率は変更されないこと。
施術録には,4部位目以降の負傷名も含め記載すること。
部位ごとの算定の過程において1円未満の端数が生じた場合は,その都度小数点以下1桁目を四捨五入することにより端数処理を行うものとすること。

 

(4)長期施術の場合の算定方法

長期に係る減額措置については,各部位ごとにその初検日を含む月(ただし初検の日が月の16日以降の場合にあっては当該月の翌月)から起算するものとすること。
部位ごとの算定の過程において1円未満の端数が生じた場合は,その都度小数点以下1桁目を四捨五入することにより端数処理を行うものとすること。

 

(5)長期・多部位の施術の場合の算定方法

地方厚生(支)局長及び都道府県知事に対し,「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」(昭和60年5月20 日付け保発第56号別紙)の備考5.に掲げる施術(以下「長期・多部位の施術」という。)の場合の定額料金を算定する旨を届け出た施術所において,柔道整復師が当該施術を行った場合は,施術部位数に関係なく,1,200 円を算定し,当該施術に要する費 用の範囲内に限り,これを超える金額の支払いを患者から受けることができること。
ただし,柔道整復師が扱う骨折,脱臼,打撲及び捻挫が国の公費負担医療制度の受給対象となる場合は,患者からの特別の料金の徴収については認められないものであること。
患者から特別の料金を徴収しようとする場合は,患者への十分な情報提供を前提として,当該特別の料金に係る施術の内容,料金等を施術所内の見やすい場所に明示するものとすること。
特別の料金の設定については,施術所単位で同一のものとし,例えば柔道整復師ごと,又 は患者ごとに異なった料金の設定は行わないこと。なお,部位数又は施術内容に応じた料金の設定を行っても差し支えないこと。
特別の料金については,その徴収の対象となる施術に要するものとして社会的にみて妥当 適切な範囲の額とすること。
当該施術を行い,長期・多部位の施術の場合の定額料金を算定し,患者から特別の料金を 徴収した場合は,その旨を施術録に記載しておくこと。

 

多部位逓減は、いずれの傷病名での算定であっても対象となります。
骨折、脱臼、不全骨折、捻挫や打撲でもすべて逓減対象となります。
ただし、負傷名の記載の順序は負傷年月日順に記載することが原則と規定されているものの、逓減率を勘案し、骨折、不全骨折、脱臼に関しては「初検時のみ優先して記入して差し支えない」とされています。ですが、この場合において初検時に判断し施術録や申請書に記載した順序変更は、以後認められません。

4部位目以降の負傷や損傷に対する後療・冷温罨法・電療の処置料は、すべて3部位目までの料金に含めていることになりますので、十分な認識が必要です。 これら直接の料金に現れない4部位目以降の治療内容についても施術録への記載は必要であり、他の部位が治癒した場合には逓減率が変更となることも重要な注意点となります。

いわゆる「定額料金算定届け出施術所」は、上記(5)長期・多部位の場合の算定方法ア~オを順守しなければなりません。
いずれにしましても、柔道整復療養費に係る算定において、平成4年より導入された長期や多部位の場合の逓減計算方式にどのような意味が込められているのか、読者の皆様もお考えいただき適正な治療と算定をお願い申し上げます。

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