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調査票の実態【第9回:柔道整復による治療】

2016/04/01

柔道整復師の先生方による治療(施術)とは、冷罨法や温罨法などの温熱処置と共に、いわゆる電療機器による処置を実施されている筈です。加えて、受診者の体質や精神状態は勿論、損傷のレベルに応じた柔道整復後療を実施することが一般的に行われる形式であると考えられます。支給基準における規定では、継続した治療の場合には「後療」「冷・温罨法」「電療」加算が認められていることからも、これらの処置内容は標準的であるはずです。柔道整復治療は、後療・罨法・電療による作用が損傷回復効果を示すことになり、これらは科学的根拠も有した方法です。勿論、受診者の自然回復力がより向上し回復に向かうこととなる訳ですが、薬剤や注射などによる治療やコントロールとは異なり、日々の加療を重ねて施行することにより治癒に向かう経過をたどることになります。

柔道整復による治療は、受診者が日々の通院を重ねることにより回復に向かう性質を有することから健康保険施術における各料金は、比較的安価な設定になっていると言えます。つまり通院日数を多く必要とする場合においても算定金額は、高額にならない料金体系が整っています。然しながら、柔道整復師が詐欺犯罪と言える不正行為事件を多発させ信頼を損ねることから、適正化の名のもとに逓減算定方式や請求部位数制限など十把一絡げ的に厳しい制限が課せられていることは、読者の皆様もお分かりのことでございましょう。

これまでは柔道整復師側に適正化の措置が講じられて来ましたが、保険者側による適正化を目的とした通知が発令された結果、返戻屋とも言うべき民間調査会社による患者調査が横行しているようですが、目的は申請書の返戻や受診抑制、不支給決定に導くものでなく、適正受診のための患者調査であるべきです。今回お示ししている保険者は、保険者側の適正化目的を理解されておられないのか?意図的受診抑制なのか?越権行為的な文面構成になっています。「11カ月を超える通院は、あたかも悪しき事例であるような記載」に加えて「保険者判断において不支給とする場合がある」との記載は健康保険料を徴収されている被保険者にとって脅しのような内容です。患者調査は、保険者側の適正化を目的とし、被保険者や施術所等の負担軽減・支給決定迅速化・手続きの公平さを勘案することにあると通知には謳われています。

患者調査の回答内容や回答が得られないことを持って不支給とすることは、通知違反に値する記載と言えます。通知では、「適正な支払いが行われるよう疑義の解消に努めること」とあるにも関わらず強権的な「不支給」の文言使用は、明らかに不適当だと言えます。また柔道整復療養費受領委任に係る申請書不支給決定の場合には、一方的に受診者に全てを委ねた対応でなく、受診者が行うべく負担金支払い等の対応について保険者が指導しなければならない規定があります。健康保険組合事業を推進する職員の皆様が、厚生労働省発令の通知文書を正しく把握できないことなどあり得ない筈です。

回答書①

回答書①

回答書②

回答書②

(クリックすると拡大表示されます)

実際の質問内容では、通知を無視した姿勢がより窺えます。
質問の(1)~(3)は、まるで『痛み』がなければならないような内容。(4)では、仮に『足』と回答をされ、支給申請書には『大腿部』とあれば整合性がない事を理由に返戻扱いとなる懸念。(8)治療期間は、受診者が決めるのでなく柔道整復師が的確な判断を下した施術の必要性から生じる期間であり、受診者に理由を求める必要があるのか。(10)では、整形外科等の治療の有無を問いながら、何故?整形外科の治療を受けないのかと問うています。

説明文には、質問の目的を「負傷状況の確認」と記載していますが適正化の目的とするならば、通院・負担金徴収額・傷病部位の事実の確認が第一であるべきです。保険者側における適切な受診者調査の実施を行う旨の通知が発令されており、同通知により行われている調査文書であるならば、柔道整復師の先生方に求められている“適正”と同様に、保険者においても“適切”に受診者目線に配慮した受診制限・返戻を目的としない調査を編集部では望んでいます。

 

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