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保険請求の手引き【第8回:療養費の支給基準 その7】

2016/01/01

受診者の傷病が明らかに関節脱臼損傷だと判断される場合には、受診者保護を第一精神として且つ応急手当として整復を処置するのが当然だと考えられます。ですが、脱臼損傷には時として、関節構成体の損傷を合併している例も認められる場合があります。
それらを踏まえて、画像診断等を含めた確認が重要であることは言うまでもありません。
また、整復が完了した後、応急手当以降の継続した治療(施術)を行う場合には、例え脱臼が回復されていても、医師の同意は必要です。

2   脱臼の部

(1)
指・趾関節脱臼における施術料金は,脱臼の存する指・趾1指(趾)を単位として所定料金により算定するものであること。
(2)
先天性股関節脱臼等の疾病は,支給対象としないこと。
(3)
顎関節脱臼は左右各1部位として算定して差し支えないが,同時に生じた同側の顔面部打撲に対する施術料金は,脱臼に対する所定料金のみにより算定すること。
(4)
近接部位の算定方法については,第5の4の(1)を参照すること。

軟部組織損傷と判断される場合、打撲・捻挫の傷病名を下して算定することになりますが、筋組織或は腱組織損傷「筋又は腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)が判断された場合には、打撲の所定料金によって算定することになります。

3   打撲・捻挫の部

(1)
打撲・捻挫の施術が初検の日から3月を超えて継続する場合は,負傷部位,症状及び施術の継続が必要な理由を明らかにした別紙様式1による長期施術継続理由書を支給申請書に添付すること。ただし,施術が3月を超えて継続する場合について,1月間の施術回数の頻度が高い場合は,長期施術継続理由書に,負傷部位ごとに,症状及び3月を超えて頻度の高い施術が必要な理由を記載すること。
なお,同様式を支給申請書の裏面に印刷及びスタンプ等により調製し,又は,「摘要」欄に上記の理由等を記載して差し支えないこと。
(2)
指・趾の打撲・捻挫における施術料は,1手又は1足を単位として所定料金により算定するものであること。
(3)
打撲の部においては,顔面部,胸部,背部(肩部を含む。)及び殿部は左右合わせて1部位として算定すること。
(4)
肩甲部打撲は,背部打撲として取扱うものであること。なお,肩甲部打撲の名称を使用しても差し支えないが,肩甲部及び背部の2部位として取扱うものではないこと。
(5)
筋又は腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい,挫傷を伴う場合もある。)については,打撲の部の所定料金により算定して差し支えないこと。
算定に当たっては,以下によること。

打撲・捻挫(挫傷含む)の治療が初検の日から3月を超えて継続した治療を行う場合には、いわゆる長期理由の記載が必要となります。その場合には、定められた様式による長期施術継続理由書を添付する必要があります。ただし、支給申請書の裏面あるいは同摘要欄に印刷やスタンプ等で調整し記載する方式も認められています。

治療が3月を超えて継続される場合において、1月間の施術回数の頻度が高い場合には負傷部位ごとに、症状及び3月を超えて頻度の高い施術が必要な理由を記載することになります。
勿論、この場合においても支給申請書の裏面あるいは同摘要欄に印刷やスタンプによる調整を行い記載することが認められています。

長期理由は、3月を超えて柔道整復による治療が何故必要であるのかと言う理由を記載することとなり、頻度が高い場合(いわゆる頻回施術)には、その治療が必要な理由を記載することになります。どちらも柔道整復として捉えた臨床所見に基づく記載を行わなければなりません。

一部の保険者には、まるで高度先進医療機器による精査を得なければ記載が困難だと判断されるような、明らかに柔道整復から大きく逸脱した長期理由や頻回施術理由の記載を求められる例があります。このような例は、被保険者の受診権利をも軽視することにも繋がりかねません。良識ある保険者判断を望みたいと編集部では願っております。

柔道整復による治療であっても、その回復に長期を要する例もあり、且つ投薬による管理等の手段を得ない柔道整復治療は、必要な通院を持って回復を得ることになります。
柔道整復の治療とは、通院を得て初めて成り立つものであり通院の無い柔道整復による傷病管理は一般的には考えにくいことであると言えます。
決して長期施術やいわゆる頻回施術が悪しき例ではありません。受診者から得られる症状や経過の在り方を正しく判断し記録を残して、これらの通知を励行ください。

 

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