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調査票の実態【第2回:商船三井健康保険組合】
(保険管理センター:ガリバー・インターナショナル(株)委託)

2015/02/01

今回ご紹介する患者調査は、健康保険組合が調査業者へ委託している例です。

第1回にも一部をご紹介しましたいわゆる4課長通知(平成24年3月12日、以下4課長通知)には、「平成21年11月の行政刷新会議や、会計検査院の平成21年度決算検査報告(平成22年11月)の指摘を踏まえ、多部位(負傷の部位が複数あること)請求の適正化、領収証・明細書の発行義務付け及び柔道整復療養費支給申請書への施術日記載の義務付け等、主に施術者側の適正化を実施してきたところである。」とあります。会計検査院における検査結果は、その内容から様々な意見があろうことだと察しますが適正化への重要な指摘事項であると言えます。

ですが、法的根拠を有さず当時の民主党パフォーマンスと表して過言ではない行政刷新会議の指摘をも踏まえるとあります。行政刷新会議での柔道整復は、財務省主導による資料に基づき、仕分け人による一方的な指摘を受けるためだけに俎上に載せられたと言えないでしょうか?

4課長通知発令根拠の例え一部であっても、行政刷新会議の指摘をも踏まえてのことであるならば、今後は厚生労働省による柔整抑制政策に加えて、財務省による新たな抑制政策ベクトルが促進するであろうと案じずにはいられません。

 

また、同通知には「多部位(負傷の部位が複数あること)請求の適正化」ともあります。編集部では、柔道整復師が特例受領委任をもとにして、柔道整復療養費の算定を行う場合、部位別算定があくまでも基本であると理解しております。1部位単価を安価な金額に設定されている料金表をもとに受診者保護を優先し、各部位の損傷・負傷に対する治療行為(施術)と算定が認められているはずです。多部位請求(多部位施術)や頻度が高い(頻回施術)請求があたかも悪しき請求であるかのような通知文言は、柔道整復から大切な選択肢を奪いとる事になると言えないでしょうか?薬剤に頼ることなく手技や電療を中心として、治療行為を行う柔道整復には、多部位請求も頻回施術も損傷レベルによって必要不可欠な選択です。柔道整復療養費算定のベースとも言うべき部位別算定や回数を必要とする場合におけるいわゆる頻回施術をもすべて否定的に捉える保険者が後を絶たない昨今、4課長通知の記載内容は適正な柔道整復現場を今一度精査され、改められるべきなのかもしれません。

 

回答書①

回答書①

回答書②

回答書②

(クリックするとPDFが表示されます)

 

さて、柔整ホットニュースの読者の皆様は、この患者調査文書についてどのような感想をお持ちになられたでしょうか?柔道整復の治療(施術)が行われ、申請書が作成され保険者に提出された後、業務委託を受注した業者によりアンケートや調査と称して、数か月も経て当該受診者へ郵送されることになります。

 

回答書①は人体略図に主な部位名称が記載されています。
質問1として、治療を受けた箇所を問うており、部位名称の文字に〇をする回答方式です。部位の前面後面についての二重記載は避けているとありますが、医学的認識に乏しいであろう受診者の皆様は的確に回答が可能だとは言い切れない内容であると考えられます。頚部や股部などでは、外側部などが損傷部位となる場合も少なくありませんので、回答誤りを生じる可能性があると懸念されます。

回答書②に至っては作為的な感覚さえ覚えますが、読者の皆様はいかがでしょうか?
質問2では、特例受領委任及び協定(契約)に沿う回答は3に〇をする以外にありません。いつの頃からか柔道整復療養費特例受領委任に係る主な啓蒙文書や、このような受診者調査では対象となる損傷原因は「ケガ」でなければならない傾向にあります。いわゆる亜急性損傷として受診され、治療(施術)を受けた受診者は既に質問2の段階で回答困難に見舞われることになります。さらに負傷年月日を問われ負傷場所をも問われます。負傷場所の回答選択欄には、会社内や道路上、駅構内などの選択肢が記載されています。勤務中であったり、通勤途上での損傷や交通事故等との判別を意味しているのでしょうか?

続いて負傷原因の申告の有無を尋ね、一部負担金額・通院日数に加えて申請書署名の自署か否かを問うことで質問は終わります。編集部では受診者並びに柔道整復師の皆様に対して、まるで愚弄しているかのように受け止めておりますが、皆様のご感想はいかがでしょうか。

 

一部の柔道整復師に対する適正化は必要な対応策です。ですが多くの柔道整復師に対して、このような手法をもとにする調査は非常に低レベルであり、まさに適正化の名を借りた受診抑制策であることに違いないでしょう。柔道整復療養費の料金表には、指導管理料等が未設定ではありますが、治療を通して必要かつ妥当な範囲において受診者への正しい説明を積み重ね、これら理不尽な抑制策に臆せず対峙できる体制を読者である柔道整復師の皆様には構築頂きたいと願います。

 

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