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「第27回柔道整復療養費検討専門委員会」が開催

2024/01/31

2024年1月25日(木)、日比谷国際ビルカンファレンスセンター(東京都千代田区)において「第27回柔道整復療養費検討専門委員会」が開催された。今回は「柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)について」を議題とし、厚生労働省による説明の後、各委員から意見・要望が挙げられた。

 

厚生労働省からの説明概要
近年の柔道整復療養費の料金改定について

令和4年改定では、4kmを超える往療料2,700円から2,550円に見直したと同時に、明細書発行体制加算を新設し、明細書を無償で患者に交付した場合、同月内に1回のみ13円を算定可能とした。

 

柔道整復療養費の現状について

柔道整復療養費の推移を見ると、平成24年度から減少に転じ、令和2年度までの各年の対前年度伸び率は、ばらつきはあるもののマイナス1~10%程度の間で推移している。令和3年度は2867億円、対前年度比1.3%のプラスとなったが、令和2年度には療養費が大幅に減少しており、これはコロナ禍における患者数の減少等も要因の一つと考えられる。

柔道整復師の施術所数は現状約5万か所であり、増加傾向は継続しているがその伸び率は鈍化している。受領委任施術所数についても伸び率は鈍化しているが、4万7000か所弱を推移している。
柔道整復療養費の受療者の年齢分布をみると、70歳~79歳の患者割合が最も高く、80歳から89歳になると大きく減少している。柔道整復療養費の内訳については、近年は後療料(打撲及び捻挫)の割合が高く、約6割を占める。その他、温罨法料や初検料等の割合が高く、往療料については殆ど算定されていない。

傷病名別の患者割合を見ると、打撲(挫傷を含む)と捻挫で99%、骨折に関しては0.13%という状況だった。1か月あたりの施術回数は、およそ半数が3回以下で、4回以上の割合は大きく減少している。なお、10回以上の施術は全体の約1割強となっている。

 

令和6年改定の基本的な考え方(案)

過去の療養費料金改定では、医科の診療報酬改定率の半分が慣例となっている。令和6年度の診療報酬改定の改定率はプラス0.88%で、うち、一般財源分として採用されているものはプラス0.46%。各科の改定率では医科がプラス0.52%とされた。令和6年改定の基本的な考え方(案)としては、▼明細書の交付義務化対象の拡大、▼患者ごとに償還払いに変更できる事例の追加、の2点がある。

明細書交付義務化対象の拡大

明細書交付義務化対象の拡大については、令和4年度柔道整復療養費改定(案)議論において、施術者のレセコンの導入状況、導入しない理由、 職員数、明細書交付頻度、交付業務負担などについて調査するとしていた。その上で、令和6年度改定において、調査結果などを踏まえ、明細書の発行体制、加算の算定回数、額及び明細書の義務化の対象拡大、交付回数について検討し、結論を得るとしていた。また、その検討状況などを踏まえ、保険者による受領委任払いの終了手続きを含めた取り扱い(保険者単位での償還払いへの変更)についても検討するとしていた。

令和4年に導入された明細書発行体制加算に関して、地方厚生(支)局に明細書の無償交付の実施を届け出た施術所(令和5年11月末時点)は8,671か所、そのうち義務化対象施術所は5,696か所であり、義務化対象外であっても無償交付の実施を届け出た施術所が2,975か所あった。また、明細書無償交付届出施術所において、1施術所あたりの平均常勤職員数は3.34人であった。

明細書の交付状況に関する実態の調査では、有効回答施術所1,993か所のうち、交付実績ありと回答した施術者は857か所、うち、毎回交付しているという施術所が365か所あった。その他、1か月分まとめて交付している、毎回発行と毎月1回分まとめて発行の両方を行っている、患者の希望により決めるなどしている施術所が223か所だった。
交付実績があると回答した857か所のうち、レセコンによる交付が83.0%、手書きによる交付が6.3%となり、その様式は明細・領収書混合様式による交付が7割を超えており、明細書様式による交付が24.0%となった。1施術所当たりの平均交付枚数は117枚/月程度で、患者一人に係る明細書の作成時間は0~5分が60%、5~10分が30%となり、10分以内との回答が90%を占めた。

このような状況を踏まえ、明細書の交付義務化対象施術者の範囲の拡大、明細書の発行体制加算の算定の回数の拡大と算定額、さらに交付回数の拡大等についてどう考えるか。併せて、保険者による受領委任払いの終了手続きを含めた取扱い(保険者単位の償還払いへの変更)について、明細書交付の義務化対象拡大案等を踏まえてどう考えるか。

 

患者ごとに償還払いに変更できる事例の追加

患者ごとに償還払いに変更できる事例の追加については、「非常に長期にわたり、かつ、非常に頻度が高い施術を受けている患者」の取扱いについて、引き続き、長期施術・頻回施術等のデータ分析を行い、データや「患者ごとに償還払いに変更できる事例」の施行状況等を踏まえ、令和6年改定において検討するとしていた。

調査によると、初検月から治癒又は中止までの施術月数の割合は、3か月施術の割合が最も高く、4か月施術への減少幅が大きいが、月数が増える毎に逓減する傾向は変わらない。また、3回以下の施術が全体の約半分弱で、4回目から大きく減少し回数が増える毎に逓減していること及び10回以上術が全体の約1割強となっている傾向に変わりはない。

患者単位で償還払いに変更できる事例については、①自己施術(柔道整復師による自身に対する施術)に係る療養費の請求が行われた柔道整復師である患者、②自家施術(柔道整復師による家族に対する施術、柔道整復師による関連施術所の開設者及び従業員に対する施術)を繰り返し受けている患者、③保険者等が、患者に対す照会を適切な時期に患者に分かりやすい照会内容で繰り返し行っても回答しない患者、④複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている患者、が該当する。

調査結果において、3か月以内施術が約8割であり、4か月以上の施術から療養費請求が大きく減少していること、1ヶ月の施術回数3回以下が約5割、4回から10回が約4割、11回以上が約1割であることについてどう考えるか。また、療養費支給申請書への長期施術継続理由書の添付義務や、患者調査の選定対象基準例が、長期継続(3ヶ月を超える期間)、頻回傾向(1月あたり10回~15回以上が継続する傾向)であることについてどう考えるか。さらに、施行状況等を踏まえ、償還払いの対象患者の範囲を決定することについてどう考えるか。

 

 
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