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スペシャルインタビュー:さいたま市長・清水勇人氏

2021/09/16

2001年に浦和・大宮・与野の合併により発足したさいたま市は、埼玉県の県庁所在地であり政令指定都市である。その後、2005年に岩槻を編入し現在に至っている。
さいたま市のめざましい発展を支えるのは、清水市長を筆頭に市の職員の方たちの地道な努力、そして数多くの事業者と市民たちが共に、さいたま市の未来を築いていくという理念が形成されているからである。
かつて「父子手帖」や「祖父母手帳」を、見たこと聞いたことがあっただろうか。それほどにさいたま市は、多くの施策と新しい施策を市民に寄り添いながら打ち出している。
清水市長に課題と展望を聞いた。

 

さいたま市は、希望(ゆめ)いっぱいのまちをみんなが共に作りあげていくまちづくりを進めています!
さいたま市長・清水勇人氏

さいたま市長
清水 勇人   氏

 

―日本の社会保障制度について清水市長のお考えをお聞かせください。

日本の社会保障制度というのは、元々は終身雇用体系の下で人口が右肩上がりの時代に、現役世代がそれなりにいるということを想定して作り上げてこられた制度であったと思っています。時代の変化と共に人口減少が始まり、そして今はどんどん進んで少子化超高齢化時代になっております。高齢化の問題でいうと、以前は定年を終えた後の寿命が10年から15年位で、一生を終えるという時代でした。従って、社会保障制度自体も現役世代が退職した後の皆さんをしっかり支えていけるような仕組みであり続けられた訳ですが、現状は人口減少が進み、現役世代がどんどん減りつつある中で、平均寿命が今は70歳を大きく超えて、女性は80歳を超えるという時代になっています。定年をされてからの生活をする期間が物凄く長期になり、一方、支えるほうの人口がどんどん少なくなってきているという状況です。長期的にいえば更に少子化が進みますので、次に支えていく子どもの世代が少ないためにどんどん厳しく難しい状況になっているという時代背景があります。
片や、福祉に対するニーズも非常に多様化しており、今は高齢者だけではなく障害者、子育ても含めると更にきめ細やかなサービスが求められているため、財政需要は非常に大きく、それを如何に支えていくかということが、我が国が直面する大きな課題だと思います。その中で、国も医療制度を含めて、社会保障制度について様々な改革を進めている中で、持続可能な社会保障制度にしていくために、地域包括ケアシステムをはじめ出来るだけ地域全体で支えていこうとしています。つまり、今まで病院であるとか福祉施設の中で対応していた福祉制度をもっと地域の中でみんなで支えていく制度に変えていこうと、或いは少子化という時代の流れの中で子どもを産み育てられる環境づくりをもっと充実させていこうというような取組みであったり、単なる医療や福祉だけではなく、健康についてもっとしっかり考えていこうという取組み等と連動させながら持続可能なシステムに移行しているその途上であるという風に、私自身は認識しております。

いま本市の人口は増えてはいますが、人口全体のピークは2030年で、現役世代は2025年に減少局面に入って来ると言われています。そういった福祉の需要を支えていくための財源を如何に確保していくかということが凄く大きな課題です。

福祉についても障害者福祉の対象となる方、精神障害の方々も多く対象となってきておりますので、障害者福祉についても増えてきています。いま私は、13年目に入りますが、これまでの12年間で実をいうと、扶助費だけで2.7倍くらいに増えています。高齢者福祉は1.8倍、障害者福祉は2.4倍、子育て支援は2.6倍に増えています。勿論、増やしているという側面もある訳ですが、それほど社会保障というか福祉に対する需要は多いということであり、それに対応してきました。

持続可能な社会保障制度と安心できる社会保障制度、もう1つはそれを支えていくための取組み、所謂人口を増やしていくとか、交流人口を増やしていく、或いは企業を誘致し、また税収を上げていくための取組みを、この10年の間にそれを同時に並行して行っていかなければ、10年後にはこれまでの福祉を切っていかざるをえない、そういった地域社会になってしまうのではないかという危機感を持っていますので、出来るだけ持続可能なシステムに変えていこうというのがさいたま市としての考え方です。

その中で重要なのは、やはり行政だけでは出来ることが限られていますので、市民の皆さんと事業者の皆さん、それぞれの役割と責任を果たしながらバランスをとって、行政だけには頼らない形で安心できるサービスを作り上げていくことが出来るかが最大のポイントだと思って、邁進しているところです。

 

―コロナ禍において、社会保障の在り方に変化がありましたら教えてください。

今般の新型コロナウイルス感染症による社会保障に対する市民ニーズはより高まると考えています。 国民健康保険制度における医療費の適正化や健診等の保健事業の充実、事務の効率化等に本市としては取り組んでいるところであり、また介護保険制度についても社会保障と税の一体改革の関連施策の一つとして、第1号被保険者の保険料に、低所得者の保険料を軽減しております。

今後も、国の財政支援や保険料や利用料の負担軽減について、指定都市市長会等を通じて、国へ要望を行うなど、各種社会保障制度を安定的に運用できるように市としても努めて参ります。

今年度においては、例えば私立幼稚園入園料補助事業の創設や就学援助世帯へのオンライン学習通信費の支給など、新たな施策による市民生活の負担軽減を図っていくとともに、前年度予算と比較し、住居確保給付金や障害者自立支援給付費など、扶助費の予算を大幅に増額することにしました。

 

―人口減少社会に突入しました。先ず、少子化に対するさいたま市の取組みを教えてください。

お陰様でさいたま市の人口は、今も増加が続いています。つい先日、133万人を突破しましたけれども、毎年1万人前後の人口が増えており、特に0歳から14歳の転入超過数では、6年連続で全国第1位です。とは言いましても、子どもの層がさいたま市で増えているかというと、実をいうと合計特殊出生率が全国平均と比べても低く、また生産年齢人口も多少は増えていますが、横ばいが続いているという状況です。しかも、さいたま市は先述しましたように、2030年をピークに人口減少が始まり、そして団塊の世代の皆さんも75歳以上になってきていますが、特にさいたま市は、団塊ジュニアの世代のボリュームが非常に厚く、令和22(2040)年には急激な高齢化が進んでくるという想定がされています。という訳で、それに対して私たちはどういう風に切り抜けていくか。持続可能な成長が出来る都市になっていくかが、さいたま市にとって大きな課題になっています。そのために本市としては、少子化の対応ということでいえば、〝子育てしやすい環境を作ろう〟〝子育てが楽しいさいたま市を作ろう〟という考え方の中で施策を充実させて、子どもを産み育てることにハードルを出来るだけ低くして、子どもを産みたいと思っている女性が、〝何人産みたい〟という希望がかなえられるようなそんな町になっていこうという取組みを行っております。少子化の取組みについて申し上げると、妊娠・出産から青少年に至るまで、切れ目のない総合的な支援を充実させるため、令和2年3月に策定した「第2期さいたま子ども・青少年のびのび希望(ゆめ)プラン」に沿って各種施策を推進し、「子育て楽しいさいたま市」の実現を目指しているところです。認可保育所や認定こども園、小規模保育事業などの多様な施設の整備・拡充を進め、保育コンシェルジュ等によるきめ細かな相談支援に取り組んだ結果、本市の令和3年4月1日現在の保育所等利用待機児童数は、前年から376人減少し、11人となりました。また、働きながら幼稚園を利用できる環境を整えるため、駅周辺などの利便性の高い地域から、周辺の幼稚園に児童を送迎する拠点となる送迎保育ステーションの整備を進めています。また保育所等の利用に関する相談受付や情報提供並びに利用保留児童の保護者へのアフターフォローを行う専任職員を10区に配置しています。そして、保育サービス等の情報を提供するAI自動応答サービスを新たに導入します。

更に民設放課後児童クラブの8か所の新規開設や、1か所の移転、7か所で環境整備を実施し、待機児童の解消及び育成支援の環境改善を図るとともに、学校施設を活用した施設整備を行っています。またお父さんの家事・育児を応援するため、これからお父さんになる方・子育て中のお父さんを対象とした冊子「父子手帖」や、昔と育児方法が大きく変化している中で、現在の育児法を学び、父母との関係を円滑にする手助けとなるよう祖父母世代向けに「祖父母手帳」を作成しております。他にも、発達に遅れのあるお子さんや障害児の健やかな発達と自立を促すとともに保護者の子育てに関する負担感や不安感を軽減、療育センターが市西部に偏っている地域偏在を解消するため、新療育センターの設置について取り組んでいます。そして、若い世代が、不妊症・不育症に関する正しい知識を持ち、将来必要なときに検査・治療を受けることができるよう、SNS等を活用した情報発信を行い普及啓発に努めております。

また不妊症・不育症検査費用の一部助成や、不妊治療のうち高額な自己負担が生じる体外受精及び顕微授精を受ける夫婦に対し、治療費の一部を助成しておりますが、令和3年1月から、国の動向に基づき助成額の拡充や所得制限の撤廃等を行っております。

本市では、子ども・家庭をとりまく課題に総合的に取組み、子ども・家庭、地域の子育て機能を支援する子ども家庭総合センター「あいぱれっと」では、お子さんが自由に遊び、親御さんは遊んでいるお子さんを見守りながら、くつろいだり、おしゃべりをしたりして過ごすことができる「ぱれっとひろば」や、お子さんやご家族の方が様々な悩みを相談できる「なんでも子ども相談窓口」等を設置しています。また令和4年度から、子ども家庭総合支援拠点を市内10区に設置することを目標としています。支援拠点では、すべての子どもの権利擁護のために、子どもの最も身近な場所において、切れ目のない支援を受けられる体制の構築を目指し、お子さんやご家庭を継続的に支援することにより、虐待の発生を防止します。これらの他にも子育て支援に関する各種施策を推進し、誰もが安心して子どもを産み育てることができる環境づくりを推進しています。

 

―高齢者に対しての取組みも教えてください。

本市の総人口は、増加が続いている一方、65歳以上の高齢者人口も増加の一途をたどっており、令和2年10月時点では約30万4千人、高齢化率は約23.0%となっております。このため、増大、多様化する医療、介護、生活支援に対する高齢者のニーズに応えていくとともに、「人生100年時代」、「生涯現役社会」を見据えて、退職後や子育てを終えた方々の「セカンドライフ」を活力ある地域づくりに結び付けていくことが本市の大きな課題となっています。生涯にわたって、生きがいを持って健康に暮らしていくために、学ぶ、働く、体を動かすなど、社会参加の機会を作るため、「ますます元気教室」、「健口教室」、「すこやか運動教室」などの各種介護予防教室、高齢者の学びや集いの場として実施しているシニアユニバーシティ、公共施設等が無料または割引料金で利用できるアクティブチケットの交付等の事業を充実してきました。

中でも、登録団体等で、健康づくりなどの活動をした高齢者または受入れ施設等でボランティア活動をした高齢者へポイントを付与しているシルバーポイント事業の登録者数は令和2年度末時点で約49,000人にのぼります。また令和元年9月には、ボランティア、就労、生涯学習等の情報を集約して発信するセカンドライフ支援センターを設置し、定年退職者等の活躍に向け、一人ひとりのご相談にきめ細やかに対応しております。

 

―さいたま市で現在取り組まれている地域包括ケアシステムの構築状況についてお聞かせください。

地域包括ケアシステムの実現に向けては、総合振興計画や高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を策定し、市全体として、市民・事業者・団体など地域の皆さんと手を携えながら、さまざまな施策に取り組んでいます。 2018年度から2020年度までの第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の重点的な取組みの成果については、「ますます元気教室」など介護予防の取組みにより、高齢者自身が身近な場所で活動を行う「通いの場」の参加者数が約6千人となったほか、認知症サポーター数が累計で8万人を超えるなどの成果があったものと考えています。また、地域の支え合い活動を行う団体を地域資源リストとして市のホームページで定期的に公表しています。平成30年6月時点で、約580団体の登録でしたが、令和3年3月時点で、約1,100団体以上に大きく増加するなど、互助による支援体制の充実も順調に進んできていると考えています。

今後の取組みについては、2025年・2040年を見据えた地域包括ケアシステムの更なる推進とその先にある地域共生社会の実現に向けて、第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画において、3つの基本目標と7つの基本分野を柱にして、「介護予防・重度化防止の推進」、「セカンドライフの充実」及び「地域の支え合いによる生活支援の体制整備」の3つを重点施策と位置付けました。

これからも、地域包括ケアシステムの実現に向け、「誰もが、生き生きと、長生きして、暮らせる、まちづくり」を進めていきます。加えて、地域共生社会の実現に向けては、高齢の分野に留まらず、障害者、子ども、生活困窮等、複合化・複雑化する地域生活課題に対応していく必要があり、そういった状況に対応するために、現在、複数分野にまたがるような相談の一次的な窓口として「福祉丸ごと相談センター」を一部の区に設置し、課題解決に向けて、各支援機関が連携して対応していけるような、包括的な支援体制づくりを進めているところです。

 

―介護の人材不足、在宅系看護師不足等、人材が不足していると聞きます。さいたま市において、人材は足りているのでしょうか。

さいたま市においては、訪問看護事業所が増加しており、また、その他の居宅系サービスの事業所も増加している状況です。そのような中、各事業所が継続して運営していることから、現在のところ介護の人材が不足しているという状態にはないと認識しています。しかしながら、本市においても「団塊ジュニア」と呼ばれる世代が65歳以上を迎える令和22(2040)年には、高齢者人口が40万人を超え、市民のほぼ3人に1人が高齢者という状況に直面することになります。また、後期高齢者のうち、特に介護ニーズが高い85歳以上の高齢者は、令和22(2040)年には、約10万人に増加し、令和2(2020)年に比べて約2倍以上に増加することが見込まれています。そのため、高齢者やその家族の医療・介護・生活支援に対するニーズは、量・質の両面において、ますます増大・多様化していくことが見込まれており、その対応が急務となっていると認識しております。

 

―昨今、地球規模で大災害が多発しています。さいたま市の防災計画について教えてください。

近年、降雨量の増加により、平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風(台風19号)など、甚大な被害をもたらす豪雨災害が毎年のように発生しています。先日も熱海で大きな土砂災害に見舞われ、多くの方が被害にあわれました。

本市においても、令和元年東日本の台風の際には、桜区内において大規模な浸水被害が発生しまして、1,000軒以上の床上浸水が発生しました。台風の接近に際し、雨風が強くなる前に避難が出来るよう、市内全域に自主避難のための199か所の避難所を開設することを台風接近の2日前から周知し、早めの避難を促していました。 結果的に人命に係る被害の発生はなかったものの、避難情報の発信や被害が長期化した際の職員の動員体制などの課題もあり、対応の見直しを行ってきたところです。特に、本市を流れる荒川の氾濫・越水に備えた広域避難の必要性に鑑みると、車で避難せざるを得ない高齢者等への対応のため、市内商業施設と駐車場の一時開放に係る協定を締結するなど、重点的に取組みを進めています。また、関係法令や国の防災基本計画等と整合性を図るとともに、災害救助法に基づく救助実施市の指定や近年の災害の教訓を踏まえ、令和3年4月1日に地域防災計画の改定を行いました。

その主な改正内容としては、「令和元年東日本台風」の対応や教訓を踏まえ、災害対応復旧期における被災者支援と生活再建に向けた迅速な対応を行う「復旧支援体制」を新設しました。また、避難所担当職員、現場応援要員の活動体制の見直し、強力な台風の接近が予想される場合における、自主避難のための避難所開設に関する記載を新設しました。更に大規模災害への対応として、日ごろからの備えと迅速な判断が行える体制作りが必要であると考えています。様々な災害対応のノウハウをリアルタイムに反映し、あるべき姿として体制を直していく必要があります。

今更申し上げることでもありませんが、自助・共助の大切さを再度市民の方々に理解していただく必要があると思っています。当然、我々は災害時に市民の救助、復旧復興に尽力いたしますが、発災時は直ぐに対応できないことも考えられるため、まずは自らの命を守るよう、そして自分の身の安全が確保されたならば、他の人を助けていただくことが大事です。そのためには、日ごろからハザードマップを確認するなど、自分が住んでいる地域を理解していただくとともに、水害が想定される場合には、躊躇せず避難していただきたい。本市としては、市民一人ひとりの迅速な避難の実施に向け、自治会をはじめとする地域住民に対し、情報が迅速・正確に伝わるよう日頃から連絡を密にするとともに、災害時の自身の行動を予め時系列的に整理しておくマイ・タイムラインの作成を推進しております。また、避難指示などの避難情報の発信にあたり、防災行政無線や緊急速報メール、市ホームページ、SNSなどで発信するとともに、携帯電話をお持ちでない方に対しても電話やFAXで配信するなど、いわゆる情報弱者に対する取り組みも進めています。

今後も、逃げ遅れゼロを目指し、住民の早めの避難行動に繋げられるよう、空振りを恐れずに避難情報を発出するとともに、平時からの住民周知に努めて参ります。

 

―さいたま市のワクチン接種の状況を教えてください。

まず、ワクチン接種については、地域の医療機関の皆様をはじめ、様々な方々にご協力をいただいており、あらためて感謝申し上げます。引き続きのご協力をお願いいたします。

本市では、国からの示される接種順位などを踏まえながら、ワクチン接種を進めて参りました。これまでのワクチン接種では、高齢者施設入所者への接種からスタートし、医療機関での個別接種、区役所等での集団接種、規模の大きな特設接種会場での接種と様々な接種体制を整備してきました。

これらの接種体制を整備してきたことで、接種数も順調に増加しており、1日1万件程度の接種が可能となりました。具体的な進捗状況としては、65歳以上の1回目接種率が6割を超えており、概ね見込みどおり進んでいます。7月末までに当初予定していた高齢者の約7割の接種が終えられる見込みとなっています。

ワクチン接種計画についてですが、本市のワクチン接種の目標については、11月30日までに接種対象となる世代の人口の70%にあたる市民への2回接種が完了予定であり、数値で示すと1682万回を終えることになります。目標を達成するための接種計画として、「市が必要としている量のワクチンが供給されること」「接種会場における医療従事者が確保されていること」などの前提条件付きとなりますが、現在の本市の接種数を元に計算すると、11月末頃に目標値を達成できることになると思います。この計画を踏まえながら引き続き接種体制の整備を進めていきます。また、国からのワクチン供給が不透明な状況であるため、先日、国や県に対して必要量のワクチン供給について強く要請したところです。11月末までのワクチン接種完了に向け、ワクチンを確保するために、引き続き国及び県に要請を続けていきます。

 

―さいたま市の将来ビジョンについてもお願いします。

今年、本市は市制施行20周年という節目を迎えました。それに合わせて、4月から21世紀半ばを見据えた新しい都市づくりの基本方針である総合振興計画「2030さいたま輝く未来と希望(ゆめ)のまちプラン」がスタートしました。この総合振興計画に掲げた「上質な生活都市」と「東日本の中枢都市」という2つの将来都市像が、まさに本市の将来ビジョンです。

コロナ禍において、人々の価値観や暮らしは大きく変わろうとしています。例えば、テレワークやフレックス勤務の急速な普及によって、平日や日中といった、これまで多くの人が都内などに通勤し、オフィスで過ごしていたような時間帯を自宅や自宅の近くで過ごす人々が増えており、それによって、従来の単なるベッドタウンという考え方ではなく、例えばそこで日常生活を送る上での買い物などの利便性や、住居及びその周辺で潤いのある生活を送れることなど、日常生活の場としてのクオリティが今まで以上に問われるようになってくるのではないでしょうか。このような足元で起こっている人の動きの変化や生活スタイルの変化などもしっかり捉えて、機能的な都市部に住みながらも豊かな水と緑を身近に感じ、快適さとゆとりを同時に楽しめる都市づくりを進めていくことが、「上質な生活都市」というビジョンです。

一方、「東日本の中枢都市」についてですが、これまで本市では交通結節点という強みを生かして、東日本地域のヒト・モノ・情報を呼び込み、交流を促す東日本連携を推進して参りました。大宮駅は、新幹線6路線の結節点として、北海道・東北・信越などの東日本各地から首都圏に入る玄関口となっています。大宮駅周辺では、平成30年に制定した「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」に沿って新たなまちづくりが行われているところです。将来的には、そこから生み出される活力を最大限に生かし、東日本地域のヒト・モノ・情報を呼び込み、新たな地域産業や市民活動などの多様なイノベーションを生み出すことで、東日本全体の活性化をけん引する都市となることを目指していくことが「東日本の中枢都市」というビジョンです。

コロナ禍と人口減少という歴史的な2つの危機を乗り越え、将来ビジョンである「上質な生活都市」と「東日本の中枢都市」の実現に向けて、将来に向けた持続可能な都市づくりをしっかりと進めて参りたいと思います。

 

●清水勇人(しみずはやと)市長プロフィール

生年月日:昭和37年3月25日 埼玉県生まれ
略歴:日本大学法学部卒業。
昭和63年 松下政経塾卒塾(第7期生)
平成15年 埼玉県議会議員(南6区)
平成19年 埼玉県議会議員(南6区)
平成21年 さいたま市長(1期目)
平成25年 さいたま市長(2期目)
平成29年 さいたま市長(3期目)
令和 3年 さいたま市長(4期目)
共栄大学客員教授
主な著書:「2010年霞ヶ関物語」(共著 二期出版)「繁盛の法則」(共著 TBSブリタニカ)「犯罪のない安全なまちをつくろう」(共著 埼玉新聞社)「さいたま市未来創造図 マイドリーム100年構想私案」(埼玉新聞社)「さいたま市未来創造図2 スポーツで日本一笑顔あふれるまち」(埼玉新聞社) 「もっと身近に、もっとしあわせに」(埼玉新聞社)「さいたま市未来創造図3 子どもが輝く絆で結ばれたまち」(埼玉新聞社)「さいたま市未来創造図4 人と人を絆で結ぶスマートシティ」(埼玉新聞社)
好きな言葉:「素志貫徹」(成功の要諦は、成功するまで続けるところにある)
好きな食べ物:ラーメン
趣味:野球、ソフトボール、サッカー、ボウリング、茶道、ウォーキング、 ゴルフ、グラウンドゴルフ、 ジョギング(第2回、第4回、第5回さいたま国際マラソン完走)

 

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