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第3回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会開催

2018/10/18

平成30年10月10日(水)、厚生労働省専用第15会議室において『第3回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が開催された。

前回は広告に関し、施術者団体を代表する4団体からヒアリングが行われたが、第3回目となる今回は地方公共団体および保険者を代表する4団体からのヒアリングが行われた。

 

地方公共団体および保険者からのヒアリング
奈良県橿原市

柔道整復師は柔道整復師法第24条に規定されている事項および厚生労働省が指定する事項以外は広告してはならない。「様々なことを書いて住民にわかりやすくしたい」という想いは理解できるが、病院でも診療科等の案内以外は書いていない。柔道整復師もそれと同等に扱う。橿原市では従来、施術所に対する指導は奈良県が行ってきたが、平成25年4月に橿原市に広告指導の権限が移譲された。権限移譲以降も奈良県とは情報共有を行っている。今まで厳しい指導がなかったので反発もあったが、法律に基づいて指導するだけなので話をすれば大抵の施術者は理解してくれる。

今後については、人によって曖昧な判断基準を明確にしようということで条例化することを提案する。しかしながら、指導・規制することが目的ではない。一方的にならないように、規制を行う前に各団体と連携をとることが大切だと考えている。条例にこだわらず、全国統一基準を作り国民全体が知るところとする。国民に不利益をもたらさず、正当な事業者を守り、健康保険料(税)・補助金(=税金)を健全に運用することに繋がる。

 

愛知県豊橋市

近年問題となった広告事例を紹介する。1つ目は、外観は整体院にしか見えないが建物の中に施術所があるケース。これは広告しなければならない事項がないことを逆手に取っている。2つ目は、整体院と建物内で併設している施術所。整体院の広告と一体化しており、「整体院の広告だ」と主張されてしまうと指導できない。3つ目は、民間保険会社から「施術所」の届け出の有無の照会があるケース。患者が整体と施術所を混同してしまい、損害保険を使える施設として整体を選択している可能性がある。この場合、適切な医療を選択できない恐れがある。

これらの状況は顧客のニーズに応えるため、広告規制から逃れるため等の背景が考えられるが、施術所には「広告しなければならない事項」がなく指導がしにくい。また、有資格施術所と無資格施術所の違いは患者にはわかりにくい。

そこで以下4つの提案をする。①施術所を病院や診療所と同じ医療を提供する施設として法令で規定する、②正しい施術を受けるための判断材料の提供を推進することで無資格施術所と差別化する、③施術所の広告を義務化する、④広告可能な事項を拡大する。
患者に分かりやすい広告とするために、法令の整備、ガイドラインの整備が必要だと考える。

 

健康保険組合連合会愛知連合会(けんぽれんあいち)

けんぽれんあいちでは、他団体と連携し広告の調査を行っている。これまでも施術所に立ち入り権限のある自治体を訪問し、取り組みへの理解を深めてもらうための活動として、定期的な現地確認の実施や施術所への周知文書発出等を要請してきた。平成28年3月には名古屋市内の施術所を対象に広告調査を行うことを決定。その結果、不適切な広告を掲げている施術所が多く見受けられた。これらを名古屋市に報告した上で、改めて保健所による現地調査を要請した。2018年3月19日には「施術所における法令順守の徹底について(通知)」を発出、4月からは保健所による立ち入り調査が開始された。

広告適正化のために、▽開設時には開設届に広告記載事項を明記し、あわせて店頭写真を提出する、▽保健所が現地調査を実施する、▽開設後は、現地調査により判明した不適切な広告が指導後にも改善されない場合は営業停止等の措置を検討する、▽ガイドライン等において患者に広く情報提供を行う、等の対応を提案したい。厚生労働省、保健所、厚生局の三者間で情報連携していくことが必要だと考えている。

 

健康保険組合連合会

基本的に「国民・患者を守り、医療保険制度を堅持するため、「国民・患者が誤解・誤認を招き誘引される可能性のある広告は認められない」」という考え方のもと、現段階では現行法の範囲でガイドラインを策定し、それに即した行政指導・改善措置を強化・徹底すべきだと考えている。

「医療保険取扱い」「健康保険取扱い」等の表記は、施術のすべてが保険適用であるとの誤認を招く恐れがあるため認められない。また、「診療」「診察」「治療」等の医療・医療機関であるとの誤認を招く可能性のある文言を用いた広告は、医療との明確な表記の区分けが必要と考える。保険適用外の施術の広告については、施術の内容が不明瞭であり、また国民から見ると「保険適用となる施術」と「保険適用外の施術」を明確に判別することが難しいことから、保険適用外の施術内容や適応症等の表記は認められない。現行法令を遵守すべきと考える。学歴や経歴等の記載については、患者が適切な判断・評価ができるかが不明なため掲載が難しいと思うが、国家資格を保有している旨は現行法令内でも可能と考える。
不適切な広告を排除して、施術者と患者が本当に信頼し合える状況を作ることが重要だ。

 

意見交換

4団体からのヒアリング内容に対し、構成員から以下のような意見が挙げられた。

  • 柔道整復とあはきは法律も違うので、同じ場で検討するのは難しいのではないか。
  • 患者に直接触れるために国家資格を取っているのであって、無資格者は触ることすら許されないように思う。無資格者には国が資格を取るよう指導してもいいのではないか。
  • 法改正も視野に入れてガイドラインを作成すべき。
  • 「定義、施術内容、適応症、安全対策等の指針を策定し国民に周知すべき」という点については同意する。国民を守るためにもガイドラインが必要。
  • たとえば無資格のもみほぐしの中に有資格者が含まれている場合もある。患者が選択する場合の情報として、資格の有無は掲示できるようにすべきではないか。
  • 国家資格名の明記は義務付けを検討すべき。

 

今後、本検討会は第4~5回で取りまとめに向けての整理を行い、第6回で広告可能事項の見直し案、ガイドライン案を取りまとめる方針だ。
なお、次回開催日は未定となっている。

 

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