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第13回柔道整復療養費検討専門委員会開催される

2018/02/05

平成30年1月31日(水)、全国都市会館大ホール(東京都千代田区)にて、『第13回柔道整復療養費検討専門委員会』(以下、検討専門委員会)が開催された。

今回は、柔道整復療養費の専門委員会「議論の整理」に基づく諸課題の検討として専門委員以外からのヒアリングを行うため、参考人として日本柔道整復師協議会より登山勲氏が招致された。

登山氏は〝ここ数年で柔道整復師の業務が健全化されてきているということをご理解いただきたい。しかしこれを悪用する人たちが出てきたことも事実だ〟としたうえで、〝不正には「故意」と「過失」があり、これを混同しないことが重要だ。近年目立ってきているのが「故意」の問題であり、これに対する取り組みとして保険者等には統計によるデータ審査をお願いしている。「故意」による不正を見抜くためには、行政と保険者の協力が肝心となる。また、「過失」のものを「故意」として指導しては障害が起こり得る。平成25年に厚生労働省から発出された事務連絡では、弊害として患者への受診妨害という問題が起きた。このような事態があるということを理解していただき、統計の収集と分析を徹底し、根拠と証拠を持って取り締まるようお願いしたい〟等、意見を述べた。

その後、厚生労働省より、既に作成されている療養費検討専門委員会における議論の整理に係る対応スケジュール(案)の各項目について、検討状況や論点などの説明が行われ、議事へと移った。

 

指定保険医療機関での実務経験について

指定保険医療機関での実務経験については、施術者側から〝柔道整復師養成校には病院などの保険医療機関に就職していいものかという相談が多く寄せられている。保険医療機関への就職を希望している学生もいるので、実務経験として認めていただきたい〟、〝医療機関でも患者さんとの接し方やマナー、モラル、適切な保険請求や施術録の作成などが学べる。研修の目的は十分に果たせるだろう〟との意見が上がった。

保険者側からも〝地域によっては研修を積む機関があるのかどうかも問題だ。特に地方では、研修生を受け入れることが難しい状況も考えられる。保険医療機関で働いている柔道整復師がいるということであれば、実務経験として認めていかなければ養成校を卒業しても就職先がないということも起こり得る。認めていく方向性で検討すべきではないか〟との意見があり、双方ともに病院、診療所(指定保険医療機関)での従事期間を実務経験として認めるべきとの見解で一致した。

また、有識者から〝保険医療機関では柔道整復の指導はできないが、実務経験証明書の発行はどうするのか〟との質問があり、厚生労働省は〝保険医療機関での業務を実務経験として認める場合には様式を変える必要がある。保険医療機関には柔道整復ではなく、社会経験や医療知識、倫理観が身に付いたことを証明していただくことになるかと思う〟と説明した。

 

亜急性について

亜急性については、有識者からは〝時間的な概念として「急性期」「亜急性期」とするだけで簡潔になる〟との意見が上がったが、施術者側は〝医科は「治療」、柔道整復は「施術」と立場の違いがはっきりしている。その中で、亜急性という文言だけ医科と同じように考えられては、他との整合性が取れない〟と述べ、認識の違いが浮き彫りとなった。

さらに、保険者側には〝支給対象となる負傷を明確化するためにも、一旦リセットしてゼロから検討すべき。亜急性という文言が残っている以上、曖昧で解決できない〟との厳しい見方を示す委員もおり、議論は紛糾した。

 

負傷原因の1部位目からの記載について

1部位目から負傷原因を記載する事については、保険者側は〝支給対象が「原因が明らかな外傷」とされているのだから、負傷原因の記載も1部位目から行っていただきたい〟、〝保険者は患者調査を行う際に、申請書と患者本人の申告が違っていて返戻する場合もあり、1部位から書くことには重要な意味がある〟と強く主張した。

これに対して、施術者側は〝記載さえしてあればいいのかという問題にもなる。1部位目から記載してあるというだけで返戻がしにくくなるケースもあるのではないか〟と問題を提起。有識者からは〝受領委任払いの問題は注意が必要な部分もあると思うが、受領委任があるから不正があるのだ、受領委任を止めれば不正が減るのだと短絡的に捉えるべきではない〟と、慎重に議論を進めるよう注意が喚起された。

 

不正請求対策について

不正請求対策については、施術者側からは〝柔整審査会が問題がある施術所への調査を要請してもなかなか動いてもらえないことも多い。柔整審査会の権限も強化されたので、これを機に調査を徹底していただき、問題が発覚した場合には厚生局に届け出ていただきたい〟と要望があった。

保険者側からは〝柔整審査会だけではできることが限られていて不十分。療養費の審査支払も支払基金を通して行うということも検討してもいいのではないか。そのためにワーキンググループを作って進めていただきたい〟との提案がなされた。

また、地方厚生局への通報については〝不正請求の客観的な証拠が概ね患者10人分あるものとされているが集めるのが難しいのではないか〟との意見が上がっていた。

 

不適正な広告の是正について

不適正な広告の是正については、施術者側・保険者側ともに不適切な広告が横行していることを問題視しており、指導徹底をすべきとの意見で一致している。

ガイドライン作成については〝市区町村の保健所まで周知が行き届いておらず、先走ってしまっているところもある。できるだけ早く検討会を開催するか、あるいは開催するということを周知していただきたい〟、〝ガイドラインを守らない施術所には警告をして、是正のための期間を与えてそれでも守らない場合には罰金を課すということを定めていただきたい〟との要望が上がった。

 

その他

上記の他、初検時相談支援料については〝柔道整復師が本来業務としてやらなければならないことばかりで、初検料に含まれるべき。これを機に廃止していただきたい〟との辛らつな意見が保険者側から上がった。

白紙委任については〝1回の施術毎の署名を義務付けるべき〟という保険者側と、〝怪我をして来院している患者にとって、毎回の署名が負担になるのではと懸念される。違う方法を考えていただきたい〟との施術者側で、意見が真っ向から対立した。

また、支給申請書様式の統一については、施術者側から〝個人契約者が増え、勝手なレイアウトの申請書が散見されている。様式の合わないものは返戻しても良いとしていただきたい〟と求めた。

 

次回検討専門委員会の開催日程は未定となっている。

 

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