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民進党 柔道整復師小委員会開催

2016/11/04

平成28年10月25日(火)、参議院議員会館地下1階B107会議室において、民進党柔道整復師小委員会が開催された。

開会にあたり、事務局の大島九州男参議院議員は〝本日は厚生労働省から専門官をお招きして、料金改定と柔道整復療養費に関する議論の整理についてお話しいただく。また、国会議員の先生方、秘書の方にもご出席いただいておりますので、柔道整復師団体の皆さんが改定に対してどのように考えているのかを直接聞いていただければと思う〟と挨拶し、出席議員および秘書の紹介を行った。

その後、柔道整復師をめぐる直近の課題について、厚生労働省保険局医療課・都竹克宜療養指導専門官より説明があった。

 

料金改定

まず料金改定について、都竹氏は〝医科の改定率を踏まえ、0.28%アップと決定された。施術者の技術を正当に評価する内容として整復料等に重きを置いた。具体的な内容としては、骨折・不全骨折・脱臼に係る整復料・後療料等、初検料、冷罨法料を引き上げた。施行期日は平成28年10月1日となっている〟と概要を説明した。

これに対し、出席した柔道整復師団体からは〝柔道整復師の数は急増しており、生活は苦しくなる一方で廃業に追い込まれる者も少なくない。骨折・脱臼の料金が上がったとしても絶対数が少ないので、実質的には上がったように感じられない〟、〝初検料も冷罨法も毎回算定されるわけではなく、上がっているとは言えない〟というように、骨折・脱臼を診る機会が少なくなっているため、いくら引上げ幅が大きくてもその影響を感じられないという意見が多く上がった。

また柔道整復療養費は従来、医科の改定率を踏まえ、その半分の改定率とされてきたが〝慣例に従うわけではなく、大幅アップをお願いしたい〟という声も多く聞かれた。

郡和子衆議院議員は〝骨折・脱臼の料金を見てこんなに上がったのかと驚いていたが、業界の皆様のお話を聞いて認識が甘かったと思った。長期になると逓減もあるため厳しいだろうと感じた〟と発言。さらに、初鹿明博衆議院議員は〝医科の改定率の半分という慣例は見直して、本当に必要なところをアップさせていく必要がある。医療費が増大する中で、高い整形外科等は大きく引き上げて、安い柔道整復は上げ幅が低いというのはおかしい〟として、制度改正の必要性を示唆した。

 

柔道整復療養費に関する議論の整理

続いて「柔道整復療養費に関する議論の整理」について、都竹氏は〝平成28年3月以降、中・長期的な視点に立った柔道整復療養費の在り方について検討を行ってきた。主に①支給対象の明確化に向けた個別事例の収集、②不正の疑いのある請求に対する審査の重点化、③療養費詐取事件等への対応の強化、④適正な保険請求を促すための施術管理者の要件強化、⑤その他、の5つの項目について議論を行っている。①については、例えば「亜急性」という文言は過去の質問主意書に対する政府の答弁書では「身体の組織の損傷の状態が急性のものに準ずることを示すもの」とされているが、医学的には「亜急性の外傷」という表現は用いられない。そのため、質問主意書の内容も踏まえて見直しを検討している。また、支給対象についても判断に迷う事例が多いため、明確化を図るということで柔整審査会において審査に迷った事例等を収集・整理し、曖昧な部分を解消していきたい。②については、不正の疑いの強い請求を抽出して重点的に審査を行う。また、柔整審査会の権限も強化し、不正の疑いの強い施術所は柔整審査会からの資料提出や説明の求めに応じるような枠組みを検討している。③については地方厚生局の指導・監査が不十分ではないかとの指摘もあり、指導・監査が適切に実施されるよう人員体制の強化等を図っていきたい。④については、適正な保険請求を担保するためにも施術管理者の要件の強化が必要だということで、研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入を検討している。委員会では実務経験を3年とするという意見があったことを踏まえ、検討していく。⑤では、同一建物の複数患者への往療について、公平性や適正化の観点から「同一建物居住者」であるか否かによって判断するよう改正した〟と説明した。

 

これに対し、柔道整復師団体からは〝地域包括ケアシステムを推進するなかで「柔道整復師もその専門性を生かした役割を果たしていくことが求められる」とされているが、厚生労働省は具体的にはどのように考えているのか〟との質問が上がり、都竹氏は〝厚生労働省の中での地域包括ケアシステムを担当している委員会では専門職を生かしていこうと考えており、その中に柔道整復師も含まれている。今は外傷性の怪我に対する施術を担っていただいているが、地域包括ケアでも専門性を生かして役割を果たしていただきたい〟と回答。

しかし専門性を生かすとされている一方で、〝現在、介護分野においては柔道整復師が地域で働く場が提供されていない〟として、柔道整復師団体から〝介護保険の中で働けるように明文化していただきたい。例えば、接骨院で1~3時間程度の簡便なデイサービスができるような制度を設けていただきたい〟との要望も上がった。

 

また往療料に関して、同一建物内で複数件施術を行った場合の算定について質問があり、都竹氏は〝従来は施設の運営形態ごとに算定基準が異なっていた。グループホームのように管理者がいて共有部分があり、かつ住居部分が個室というような場合には往療料の算定が出来ず、サ高住のように管理者がおらずここが独立している場合には算定できていた。しかし今回の改定により、同一建物では複数件施術したとしても1件目についてのみ算定できることとした〟と説明した。

この説明については納得のいかない表情を浮かべる出席者も多く、初鹿議員は〝柔道整復は急性の怪我しかかかれないのだから、複数人が示し合わせて同時にかかるというのは本来あり得ない。つまり同一建物で複数人施術をしたとしても、それはたまたまであって、やはり一人一人から取るべきではないのか〟と意見し、都竹氏は〝往療料の定義としては旅費のようなものではなく、実際に施術所にかかったであろう機械費用という位置づけになっているため、場所によって算定するというものではない〟と説明した。しかしながら、郡議員は〝もっと納得できる説明ができるよう整理していただく必要がある〟と厳しい見方を示した。

 

最後に大島議員は〝もっとこのような議論をしていただきたい。個別事案については個々に対応していき、纏めて皆さんにご報告できればと思う〟と述べ、閉会となった。

 

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