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ビッグインタビュー 【新・柔整考③】 業界内外の声をお聞きする!

2023/10/01

―柔整療養費検討専門委員会における業界代表者の方の意見集約等について

私が会長に就任してから、全柔協の岸野氏や全整連の田中氏と会って意見交換を行いました。やはり専門委員会で施術者を代表して意見を述べる訳ですから、しっかり意見をまとめて整合性のある内容でなければなりません。接(整)骨院約5万4千軒、柔道整復師数約7万6千人がおりますので、そういう人たちを1つにまとめるというのは非常に困難を極めます。何故、医師がまとまっているかというと、 「国民の健康に寄与する」という目的が医師法に記されているからで、それだけの倫理観を持って仕事をされています。医師の大半が、患者さんのためにどうするかとして治療をされているのです。そこの違いです。我々も見習ってキチッとした倫理観を持つべきで、そういう業界になっていこうという志を持って、組織運営をして参ります。

 

―最優先課題について

これだけは言いたいのは、柔道整復師業界自体が実態調査を今まで30年間してこなかったのです。接骨院に患者さんがどういうきっかけで来院されたのかということを調べていない。接骨院で何をしているか。どのように良くなったか、または生活が改善された等、何も調べていないため行政も柔道整復師はどういうことが出来るのかを分かっていないので柔道整復師の使い方も分からない。例えば、国体だとか、オリンピック等々にボランティアで出てください。選挙の時は応援してください。そんなことしかないのです。柔道整復師は患者さんに対して柔道整復術を使ってどうするか、または柔道整復師が持っているアイデンティティ、基礎にはこういう学問があり、それを学んで、こういうことが出来ます。例えば、認知症自体の治療は出来ないけれども、認知症と思われる方が来られた時には、家族に〝少し疑わしいから診てもらった方が良いですよ〟といったゲートキーパーというか、地域の門番的役割が出来る訳です。そういったこともこちらからインフォメーションを殆どしていません。先述しましたように、30年前の先人たちの時代は、患者さんは接骨院に如何いう時に行ったら良いかということが分かって来られていたのです。例えば、おばあさんが子供や孫にけがや痛かったら○○先生の接骨院に行きなさいと言ってくれたのです。いま大病院にしても歯医者さんにしても、〝こういう症状だから当面は毎日来てください〟〝1カ月位で治りますよ〟等伝え、しかも予約制です。同様に接骨院も初検の時点で、私の見立てではこのけがは3週間、もしくは1ヶ月ぐらいかかるかもしれないが、当面はこういう方法で治療を行っていくとして予約制にするべきであり、更には治療計画書を提出すれば良い。保険者の皆さんがそう言っているのですから、それをキチッと患者さんに伝え見せるようにしたら良いのです。昔の健康保険組合や 組合健保の人たちは接骨院に行ったことがあるので、ちゃんとそうしたことを理解をしてくれていましたが、今の健保連や組合健保の人たちは30代・40代の方々なので接骨院に行ったこともないし、これまでの信頼関係は無く柔道整復師は悪いことばっかりしていると思われているのです。

 

―オンライン化についての進捗状況を教えてください。

令和6年に着手というのは、どうしても無理なので令和8年から着手すると、先日、検討専門委員会でロードマップが発表されたところです。デジタル化というのは国の施策ですから、 実現可能だとして一歩一歩しっかり前に進めて参ります。

 

―いま災害が、世界中で多発しています。 東日本大震災以降、柔整のJマット等、今後柔整の地域貢献はどのような取り組みをされていくのでしょうか?

震災等の被害のあった地域において、トリアージされた人たちの中で、医師や看護師の方達はどちらかというと生命に関わるような人に対して治療を行いますが、我々は打撲や捻挫、挫傷等の怪我をされた方に対して施術を行うのが役目です。東日本大震災にも熊本地震にも行っています。今回、災害対策室を作りました。ヤフーニュース等でいっぱい取り上げられていますが、トルコの地震に柔道整復師2名がJICAから招集されました。日整に登録している災害対策室の人たちは、個々の知識と能力が求められるため、公的組織が推薦しています。以前にも災害対策室はありましたが、私が会長になってから会長直轄になりました。地域貢献については、地域の人たちのおかげで我々が生活をできて初めて行えることです。繰り返しになりますが、私たちの時代というのはこの職業で食べてきましたが、今の若い人たちにとってはかなり厳しいことと思っております。

 

―実態調査を行うと言われましたが、見通しについては?

来年、料金改定がありますが、 私が会長になって実態調査をして、それを伝えて、すぐ結果が出る訳ではありません。先述しましたように、何故患者さんが接骨院に来るのかという意識調査を先ず行うこと。腰が痛い、首が痛いという理由で来ている人たちが多いけれども、どういう要因で来院しているのか。また接骨院でどういうことをしてもらって患者さんが治ったのかについて調査をしないとダメなんです。 そういう調査結果がビッグデータとして上がってこそ、アルゴリズムは可能になる訳です。つまり腰が痛い、膝が痛というような時に〝あなたの悩んでいる膝の痛みに合う治療所がここにあります〟とスマホが教えてくれるようになります。ただし、それにはビッグデータがないと出来ません。私は昨年からそういったものを作ろうとして、電子カルテの推奨も行っている訳です。まだまだそういった意識が業界にはないので、我々が生き延びていくためには、キチッとした正確なデータが必要です。私見ですが、国が決める支給基準のルールは、実態に合わせて変えていくのが良い。そのためにも実態調査をしっかり行う。即ち第三者評価が大事です。それをこれまで誰も何もしてこなかったのです。

 

―患者さんの声をちゃんと取り上げる、患者さん評価が大切だとずっと思ってきました。

私が言っている「登る山」というのは、そういう意味です。決まったことをキッチリ行う。登る山を決めないで、みんなで料金上げましょうっていう、フワッとしたものではダメなんです。他の業界は、みな登る山を目標に努力をしているのです。

 

―機能訓練指導員の会は全国を統一した組織になっているのでしょうか?

未だ作って3年ですが、統一した組織にしようと思っています。どちらかというとグレードアップしています。活動の現場を増やしたりするのは、我々の仕事です。 都道府県から補助金だとか助成金をもらって、講習を行ったりしていますが、都道府県がその補助金や助成金を出すのは、出すに値する組織に対してです。病院や介護施設の経営者側からすると、 理学療法士で保険点数がたとえば100点取れるのに、柔道整復師を雇うと50点しか加算が取れなければ理学療法士を雇います。その加算点数を上げるのも我々の仕事です。

今後は、業界全体に日整がキッチリ様々なことの情報提供をして参ります。

 

 

 
 
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