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柔道整復師連携フォーラム開催される

2019/12/01

令和1年11月16日(土)、TKP新橋カンファレンスセンター(東京会場)において、一般社団法人全国柔道整復師連合会(以下、全整連)主催「柔道整復師連携フォーラム」が開催された。

柔道整復師連携フォーラム開催される

主催者として登壇した全整連・田中威勢夫代表理事は〝近年、柔道整復師にかかる患者の数は減少してきているが、その要因の一つに行き過ぎた患者調査がある。制度にも問題があり、厚生労働省をはじめ行政も交えて制度改正していかないと疲弊してしまう。一番の課題は業界が一つに纏まっていないことだ。業界統一のために日本柔道整復師会とも協働して取り組んでいるが、なかなかすべての柔道整復師を纏めるには至っていない。さらに団結し、一つの声として行政に話ができるようにしていきたい〟と力を込めた。

続いて、全整連のこれまでの活動について報告があった後、柔道整復療養費検討専門委員会や広告に関する検討会の現在の状況について説明がなされた。

 

柔道整復療養費検討専門委員会に関する報告

全整連・田畑興介保険部長は〝厚生労働省の担当官とは、検討専門委員会が開催されるときはもちろん、そうではない時も常に話し合える体制を整えている〟と、全整連に加盟する柔道整復師から意見や情報提供等があれば全整連を通じて厚生労働省に伝えていくと強調したうえで、以下の通り説明を行った。

消費税率改定に伴う療養費の改定について

消費税率引き上げに伴う料金改定では、全整連としては8月に要望書を提出し、初検料及び再検料の引き上げを要望した。再検料についてはかねてより複数回算定を要望しているが、残念ながらまだ1回しか算定できない。医師は毎回再検料を算定できるが、我々柔道整復師も医師と同様に患者が来たら毎回評価を行ってから施術にあたるというプロセスを踏んでいるはずであり、複数回算定できてしかるべき。また、再検料を複数回算定できるようになることで、評価する力・考える力もさらに身に付くと考えている。

今回の柔道整復療養費改定率は、診療報酬全体改定率が0.88%であったことを踏まえ、その半分として0.44%となったが、医科の半分とすることに根拠はなく前回改定の踏襲だと言える。衛生材料の仕入れ値の高騰等もあるので、次回消費税率改定があった際には根拠を示したうえで料金の引き上げを訴えていきたい。そのためにも、会員の先生方には会計の状況を教えていただくなど、ご協力いただきたい。

 

柔道整復療養費検討専門委員会の議論について

亜急性の文言の見直しについては、文言自体は支給基準からは消えたものの、外傷性とは「関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示す」とされており、弱い「外力」が積み重なって損傷を受けた場合も外傷に含まれると全整連は解釈している。

支給基準については明確化を図るため、支給の判断に迷う事例の収集が行われていたが、既に収集は完了しておりこれから精査する段階となっている。判断に迷う事例というのは、具体的には近接部位や支給基準に載っていないような負傷名に関するものだと考えられるが、都道府県や保険者ごとに判断が変わってしまうため統一しようというのがこの通知の趣旨である。どのように整理して公表するかはこれから検討されていくが、事例の量が莫大であるため時間がかかる見通しだ。

「部位転がし」等の重点的な審査の実施に向けた審査基準の策定や柔整審査会の権限強化についても、すでに施行済となっている。審査会では多部位・長期・頻回の傾向、いわゆる「部位転がし」の傾向を審査する(傾向審査)。すでに面接確認が実施されている都道府県もあり、部位転がし等の疑いがある場合は面接で聞き取りをして改善を求めることとなる。

領収証の発行については、全整連では患者の求めに応じて月1回発行することとしてはどうかと考えている。毎回発行の場合、時間を要するため、施術者の負担はもちろん、患者も施術を受けてから会計までに待たされるようになってしまい、負担が増大すると考えられる。また、多くの患者は医療費控除を目的としており、領収証を毎回発行することにより紛失・再発行が後を絶たない。さらに、疑い病名で請求することができない柔道整復師の場合、受療当日に傷病名を決定しかねることもあるため、柔道整復師の業態には毎回発行はそぐわないと考えている。

負傷原因の1部位目からの記載については賛否両論あると思う。全整連としては条件付きで負傷原因の1部位目からの記載を容認してはどうかと考えている。健康保険法第66条に定められた事項は「傷病名及びその原因、発病又は負傷の年月日並びに傷病の経過」のみであるが、留意事項通知にはそれ以外の事項も定められている。健康保険法第66条を根拠に負傷原因の1部位目からの記載を求めるのであれば、取扱いすべてを健康保険法に則るべきだと考えている。

 

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会に関する報告

全整連・近藤昌之総務部長は〝事業仕分けや会計検査院の指摘等により、メディアに度々取り上げられるようになったことを契機に、柔道整復業界に関する諸問題は柔道整復療養費検討専門委員会(以下、検討専門委員会)をはじめ、公の場で議論されることとなった。そのなかで不適切な広告が横行しているとの指摘があり、昨年5月から「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」(以下、広告検討会)にて、広告の適正化に向けて議論が重ねられている〟とこれまでの経緯を説明したうえで、直近で開催された第8回広告検討会について報告を行った。

第8回広告検討会について

あはき・柔整は人体に影響を与えるものであり、また専門性も高いため、これまで広告が制限されてきたが、利用者が適切に施術所を選択するために必要かつ正確な情報提供を確保することを目的として、先立って策定された医療広告ガイドラインを参考に、あはき・柔整に関する広告ガイドラインが作成される。

広告の定義として、患者を誘引する意図があるもの(誘因性)、業の提供者の氏名又は施術所名が特定可能なもの(特定性)、一般人が認識できる状態にあること(認知性)の3つの要件を満たす場合は広告に該当するとされた。

施術所の名称については「〇〇はり治療院」といった業態と治療院という文言を組み合わせた名称の可否が論点となった。保険者や医師からは医科と混同するという理由から治療院という文言は使用すべきではないとの声が上がったが、施術者側は業態も併せて書かれているのであれば混同することはないだろうと主張し、意見は対立した。「〇〇整骨院」の名称についてはこれまで法的に認められたことはないため、「整骨院」廃止の意向を示す委員も多いが、名称を変更すると労力もかかるし金銭的にも負担は大きい。そこで実際にはこれまで「整骨院」で申請が通ってきているという状況も踏まえ、新規開業者あるいは登記を変更する場合には「接骨院」に統一するという流れになるのではないかと思われる。

広告可能な範囲について、「あん摩マッサージ師」「はり師」「きゅう師」「柔道整復師」といった文言と、それに併せて「国家資格免許保有」である旨、また、受付時間や休日、所在地等の表示は可能だが、診療や診察、休診といった「診」の字を使った表記や「治療」の文言は禁止される見込みだ。出張による施術についても、出張可能な範囲やその時間帯等は表示可能だが、往診、出張診療など「診」の字を使った表記は不可となる。

相談・指導の方法については窓口を保健所とし、消費者行政機関との連携は消費者生活センターが担う。手順としては広告内容の確認を行った後に、指導及び措置、告発、公表となる。厚生労働省は、窓口となる保健所が広告の可否を判断しやすいように基準を明確にしていきたい考え。

インターネット上のウェブサイトについては、原則としてあはき・柔整の広告規制の対象としてはみなさないものの、インターネットは既に利用者にとって有用な情報源の一つとなっていることを考慮し、ガイドラインにはホームページに掲載できる事項と掲載すべきでない事項を示し、そのうえで業界団体等に自主規制を促す形となっている。他と比較して自らが優良であるとするものや内容が誇大であるもの、科学的根拠の乏しい情報などは掲載すべきでないとする一方で、問合せ先の情報、施術の内容や費用、施術のリスクなどは広告可能とした。

しかし有資格者に対してのみ広告が規制されるのは不当だとの意見を受け、国家資格を持たない施術者による施術を「非医業類似行為」と定義し、あはき・柔整同様に、非医業類似行為に関する広告の在り方についてもガイドラインに示されることとなった。

今後、広告検討会では意見が分かれた事項について、総合的かつ継続的に検討していく。広告の適正化の状態を見ながら、おそらく今年度中に広告ガイドラインが発布され、令和3年頃に施行されるのではないかと思われる。必要に応じて法改正も検討される。


これらの報告を受けて会場からは続々と質問・意見が上がり、闊達な議論が展開され、盛会裏に終了した。

なお、この「柔道整復師連携フォーラム」は17日(日)にTKP新大阪駅前カンファレンスセンターでも開催されている。

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