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第12回柔道整復師団体情報交換会開催される

2019/01/01

平成30年12月18日(火)、衆議院第1議員会館(東京都千代田区)において、一般社団法人全国柔道整復師連合会(以下、全整連)主催第12回柔道整復師団体情報交換会が開催された。今回は厚生労働省から7名を招き、活発に質疑応答や意見交換が行われた。

第12回柔道整復師団体情報交換会

全整連・田中威勢夫代表理事は〝厚生労働省は団体の意見を聞く機会はあっても柔道整復師一人ひとりの生の声を聞く機会はなかなかない。しかしその個人の意見こそ重要だと考えている。今日は皆さんの熱い想いを伝えていただきたい〟と挨拶。

公益社団法人日本柔道整復師会・三橋裕之総務部長は〝今年5月から開催されている『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』(以下、広告検討会)に構成員として参加している。これまでの柔道整復療養費検討専門委員会で問題として挙げられてきた不正広告の是正のため、取り組んでいきたい。そのためにも今日は様々なご意見を賜りたい〟と述べた。

 

諸課題に関するこれまでの経緯と今後の流れについて

本論に移り、いわゆる患者調査と柔道整復療養費検討専門委員会で積み残されている課題に関して、厚生労働省保険局医療課・都竹克宜療養指導専門官、同省医政局医事課・松田芳和医事専門官より解説がなされた。

 

柔道整復療養費の被保険者等への照会について

「1か月に1日しか施術を受けていないのに照会があった」「患者さんへの照会内容が非常に専門的で量が多い」等、行き過ぎた患者調査があるのではとの声を踏まえて、今年5月24日に厚生労働省から事務連絡を発出した。保険者に対し、調査を外部委託する際には適正な業者に委託すること、照会は不正の疑いのある施術や多部位、長期、頻度が高い傾向がある、又は部位転がしといった照会が必要な施術について行うよう指導した。あわせて、照会の実態を把握し必要な改善を図るために相談窓口を設けた。報告を受けた不適切な患者調査を行う保険者に対しては、是正するよう指導を行っている。11月末時点までに報告を受けた約80件のうち、約8割は保険者が外部に委託して行っている調査だった。今年度から始まった取り組みのため、まだ過度な患者調査もあると思われるが、引き続き窓口にご連絡いただきたい。

 

柔道整復療養費検討専門委員会で議論された今後の課題について

(1) 施術・請求内容の確認のための取り組み

患者さんが施術内容を確認したうえで領収証をもらう等の仕組みが必要ではないかということで検討している。検討専門委員会では、前月分の支給申請書の写しや明細書を交付したり、あるいは施術毎に患者さんに施術内容を確認・署名をもらう、施術内容が分かる領収証を発行する等の意見をいただいている。引き続き検討するということで、厚生労働省にて内容を精査している。

(2) 施術管理者について研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入

平成30年4月より、柔道整復師資格を取得してから受領委任払いを取り扱う施術管理者になるには実務経験および研修受講が必要となった。研修については7月より研修試験財団にて開始しているが、実際に制度を運用してみると混乱が生じた部分もある。研修の規模は、例年施術管理者となる5000人程度を想定していたが、実際には想定より多くの人が受講を希望したため研修スケジュールを発表したとたんに予約で埋まってしまった。平成30年4月等の年度当初に施術管理者の届け出をされた方に対しては、不利益を被ることがないよう研修受講の期限を延長する措置を取った。研修試験財団における運用についても、平成30年4月以降に届け出をされた方に対しては、研修をしっかり受けていただけるよう優先枠を設けることを検討している。

(3) 不適正な広告の是正

検討専門委員会で療養費の適正化とともに広告の課題が上がったため、広告検討会がスタートし現在4回開催されている。大きな論点として、「施術所の名称として整骨院は良いのか」「治療院という名称は医療機関と混同しないか」「施術ではなく診療という文言を使うことの是非」といった点についてご意見を賜っている。しかし解決すべき課題が非常に多く、今年度中のガイドライン策定は難しいと感じている。皆様のご意見を踏まえながら、患者さんにとって広告の情報として何か適切なのかをよく検討しながら進めたい。

(4) 支給申請書における負傷原因の記載を1部位目から記載すること

検討専門委員会では、有識者や保険者から一部位から記載すべきとの規定ではないかという意見が出ている。29年10月からの柔整審査会の権限強化をして、その取り組みのなかで必要があれば改めて必要性を議論することとしている。
また、権限強化された柔整審査会について、これまでは審査をして疑義のある請求は付箋をつけて保険者に送っても、保険者から施術者に照会が行われないというケースもあったと聞いている。その点を適正化するということで、柔整審査会で施術者を呼んで面接ができるようになった。厚生労働省としては全国的に行ってもらいたいということで、今月17日に『柔整審査会における柔道整復師への面接確認について』として事務連絡を発出した。この事務連絡において柔道整復師の面接による確認の方法についてひな型を示しており、柔整審査会で面接する際にはこの手順に沿って行っていただく。面接確認は柔整審査会が審査の一環として実施するものであり、厚生局及び都道府県が行う指導監査業務とは異なる。著しい不正があったり、面接にて指導しても改善がみられなかったりした場合には、地方厚生局や都道府県に連絡していただき、個別指導や監査の対象とする。

(5) 問題のある患者に対し、保険者において受領委任払いではなく、償還払いしか認めない権限を与えること

なかには柔道整復師と患者さんが結託して不正を行うというケースもあるのは事実だが、あはき療養費においてもデータを収集し確認するという流れになっており、その実施状況も踏まえて今後検討していきたいと考えている。

 

加えて、厚生労働省保険局医療課・三谷和令療養指導専門官からは、平成31年1月1日より導入されるあはき療養費に関する受領委任の取扱いについて〝現在の請求方法には償還払いと請求代行業者による代理受領があるが、1月からは受領委任払いの取り扱いが可能となり、現在代理受領を利用している保険者も順次、受領委任払いに移行していくと考えている。原則としては柔道整復師の受領委任の取扱規定に準ずるが、柔道整復との大きな違いとして、あはき療養費の受領委任制度に参加するかどうかは保険者の裁量による。参加していない保険者に関しては従前の取り扱いとなる。多くの保険者に受領委任制度に参加して頂けるよう、厚生労働省として環境整備に努める〟等、説明がなされた。

 

質疑応答

続いて、全国柔道整復師連合会に予め寄せられた質問や会場からの質問に対し、厚生労働省各担当官が回答を行った。

⑦関係

保険者や柔整審査会が施術所に対して領収書の発行履歴その他通院の履歴がわかる資料の提示を求めることができる仕組みの導入に関して
Q:
「前月の支給申請書の「写し」又は明細書を、患者又は家族に交付する」等記載されているが、支給申請書には施術者団体経由であれば団体の、個人申請者であれば個人の金融機関情報等が記載されており、患者による遺失や故意による開示が払拭できないことから、現実的ではないと考えるが、厚生労働省としていかがお考えか。
A:
当初は領収証や明細書で患者さんが施術内容を確認できる仕組みをと考えていたが、それでは施術者の負担になるとの意見を考慮し、このような案を提示している。しかしご意見の通り、個人情報が対外的に漏れるのは問題だと思う。ただし、黒塗りや消す等で配慮されていれば問題ないかと思うが、それを毎回行うのは負担があると考えている。そういった方法もあるということも踏まえ、関係者の方々と検討させていただきたい。
Q:
「前月の支給申請書の「写し」又は明細書を、患者又は家族に交付する」等記載されているが、それぞれの情報量には差異が見られる。例えば、支給申請書と同等の情報量を含む明細書とするなら、明細書に傷病名欄を追加するなど、新書式(施術内容がわかる領収証も含む)の提案をお考えか。
A:
領収証は毎月発行することが義務となっているが、一方で明細書は患者負担となる。明細書には保険負担分として初検料や再検料、施術料、後療料などの金額、一部負担金金額、合計金額等が記載されるが、これでは患者さんが施術内容を確認できないため、例えば部位や施術方法等を記載するなどの方法を関係者の皆様と議論、検討していきたい。
Q:
「前月の支給申請書の「写し」又は明細書」のいう明細書は患者の求めに応じて交付すると考えて差支えないか。また、発行する場合は有償と考えて差し支えないか。
A:
患者さんの求めに応じて発行し、実費分を有償でと考えている。明細書も領収証と同じく無償とするのか、現行の明細書と同様の形式にするのか等も踏まえて、できるだけ施術者や患者さんの負担にならない方法を検討していきたい。
Q:
「施術毎に患者が施術内容を確認の上署名する方法」とは具体的にどのような方法をお考えか。
A:
これは柔道整復療養費検討専門委員会の中で保険者を代表する委員から挙げられたものだが、支給申請書の裏面もしくは何らかの書面を策定したうえで患者さんに署名していただくという意見だった。この案の是非については現時点では判断しかねるが、様々な方法を検討したいと考えている。
Q:
施術後、直ちに現行の施術録に料金および経過を記載したうえで患者に開示することを想定しているのであれば、時間的に困難であり退所時間の遅延等患者の不利益につながることは明白である。よって電子施術録による対応が考えられるが、現行の留意事項通知を改正し施術録を電子化する等の方策はお考えか。
A:
現在の留意事項通知の規定は紙ベースを想定しているが、実際には電子請求を行っている施術所が多いことは認識している。今の取り扱い上、電子施術録で問題があるということがあれば留意事項通知を改正する必要があると考えている。
あはき療養費の受領委任払いについて
Q:
疑義解釈は出される予定はあるのか。
A:
10月に留意事項通知を出したような形で、12月中にはQ&Aを出したいと考えているが各関係団体と調整をしている段階のため、1月になる可能性もある。
柔整審査会の面接確認について
Q:
既に面接を受けた柔道整復師から、医師資格を持つ委員に面接で「請求がおかしいのでお金を返してください」と言われたという話が合った。公正な委員構成になっていないのではないか。
A:
ご指摘の通り、面接には指導権限は付与されていないので「お金返せ」は行き過ぎだと思う。委員構成についてもご指摘の通りだと思う。そのため、今月17日発出の事務連絡には委員会の設置要綱も別添しており、「施術担当者を代表する委員、保険者等又は国保連合会を代表する委員及び学識経験者を代表する委員は、それぞれ別の職種となるものとする」ようにと規定している。

 

最後に、全整連・近藤昌之理事は〝全整連は今後も知っている限りの情報を発信していく。来年もこのような機会を設けていくので、皆様のご意見・ご協力を賜りたい。ともにこの業界を作っていきましょう〟と締めくくった。

 
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