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一般財団法人保険療養費審査等受託機構発会式・記念講演会が開催!!

2017/08/01

平成29年7月14日午後3時より、一般財団法人保険療養費審査等受託機構の発会式記念講演会が柔道整復師センター(東京都・中野区)にて開催され、保険者並びに業界団体代表者、「患者と柔整師の会」会員等多数が参加した。

司会進行役の沖田圭一氏から、理事長、理事、評議員等の紹介が行われ、理事長に就任した元東京海洋大学教授・佐野裕司氏が〝柔道整復師を含めた医療関係者は、国民・地域住民の健康を守る重要な存在です。本財団では、保険療養費の審査業務を掌り様々な角度から調査等を行って参ります。
また柔道整復師の研修等、フィードバックする事業を行っていきます。柔道整復師を中心とした地域医療の資質の向上、倫理感を高め治療技術の向上に繋げ、強いては国民の健康に寄与するものと考えています。本財団設立に関して多くの方々にご尽力・ご支援を賜り、本財団登記にあたってご出資頂いた皆様に心より感謝申し上げます。
本財団は社会に対し役員・職員と協力し、評議員の皆様に審査頂きながら、患者の皆様や保険者の皆様のご意見を頂きながら一歩一歩前進していきたいと考えています。今後も皆様のご支援を賜らなければなりません。宜しくお願い致します〟等、挨拶を行った。

次に栗田健康保険組合常務理事・佐藤幸雄氏は〝財団設立、心よりお慶び申し上げます。私どもは療養費の統轄審査業務でお世話になっております。是非今後も私達保険者に対して啓発、教育、ご支援・ご協力頂きたくお願いします。貴財団が大きく発展されることを祈念申し上げます〟等、祝辞を述べた。

続いて、プレス工業健康保険組合事務長・赤羽修氏は〝私ども柔道整復師療養費の審査を行っており、いろんな手立てを尽くして調べても判断がつかない難しい案件についてお願いしています。私ども日本プレス工業は、療養費を払いたくないという考えではありません。原因がハッキリしないと支払えないことをご理解頂きたい。医科の世界では診療報酬支払基金という中立の立場があります。出来ればそういう立場に育っていけば有難いと思います〟等挨拶。

 

○記念講演
『健康保険の理念と現実~ステークホルダーが問題の本質を突く時代へ~』

(株)ウェル・ビーイング代表取締役・鈴木誠二氏

鈴木氏は〝柔整に関して賛否両論ですが、否のほうが多いかもしれません。不正に請求をする集団という風に誤解をしている人たちも沢山いますが柔整は非常に重要で、鍼灸も一緒です。
整形外科では診れない方々をしっかり診て治すという実績を持っている方々です。ただし骨を接げない柔整師っていかがなものかと本当に思います。
そういった意味で柔整のステータスを確保するためには、しっかりやっていることをしっかり主張していく必要があるのではないか。また「患者と柔整師の会」があると知って素晴らしいと思いました。誰のための会なのか。何所を見てやっているのか。これがちょっと違うだけで全く天と地ほど違う。しっかり「患者」が入っていたことが成功です。

今日お話しすることは実は知っていることです。それを皆さんにお伝えします。
また知らないことが沢山あります。何を言いたいかというと人は知っていることと知らないことの種類が違うだけだということです。そういった意味では多業種というのがとても重要です。医療のことは医師でなければというのはNGです。医療は何のために、誰のために、どういうためにあるのかを一般の方々も含めて考える必要があります。
誰に対してどういうサービスをするのか。それが本当に満足いくものなのかということはステークホルダーという多業種の方が関係し共有する、対等な立場で話をして、一番良い解決策を最終的には決定していく。これをやっていく必要があります。

17年前に厚生労働省とトヨタ自動車に行って、どうすれば医療費を削減することが出来るのか。予防するのは当たり前のことです。17年経ったけれど全く変わらない。
行動は我々の思考や意識に依存する訳で、考え方や価値観が変わらない限り新しい行動は起こらない。行動が起こらなければ集団形成はされないのです。大事なことは、たった一人の課題を持った方の心に入っていく、思考に入っていくということをしない限りは全く無力です。

結論は相手の心に如何に入るか、感動をどうやって与えるかで、これが究極です。従って言葉がとても大事になります。或いはスキンシップでも何でも良いけれども、ある感情、イメージをメッセージとしてちゃんと伝えることで、相手の心が揺れる、動くことをしない限りは残念ながら成果はとれません。もう1つは健全な強制力を使うということが重要です。

会社としてはこういう方針になっています。或いは就業規則の中にこういうルールで約束をしましたね。というやらざるを得ない環境、それは上から目線や強制ではなく本当にハートから出た思い〝やることはやりましょう〟と言って上手くやる、繰り返しやっていくとそのうち習慣になります。
そんな形で行っていくと成果がとれるというのが今日の話の結論です。テーマの中に「ステークホルダーが問題の本質を突く時代へ」と、この本質を突くというのがポイントです。

いま健保さんでも国でも自治体でも実は一生懸命やっているんです。これは認めます。しかし一生懸命やることと成果をとることとは全く関係ありません。本質を突くような方向性を決めて優先順位を決めて、やる人を決めて、其処にちゃんと結論をつけてやらなければ成果は中々とれない。
時代は変わったのに法律は20年経とうが30年経とうが何も変わらない。システムやサービスも一緒に変わるということを如何作れるのか。日本人は変えることに対する抵抗が非常にあります。
大事なことはどういう方向に進んでいくのかと判断することが大事で、出来る人を探してその方から教えて頂く。上手くいったらそれを広めるということです。最小の保険料で、費用対効果と予算を考えることが大前提です。

最も効率の良い医療は、病気にさせないことです。病気には、予防が難しい病気と予防が可能な病気との2種類です。実は健康保険組合は保健事業に4%しか使っていない。この4%の半分以上が毎年行う健診に使っていて、リスクの高い方に面談や電話をするということに関しては0.3%しか使っていなかった。つまり0.3%の効果しか上げられなかった。
何か新しいことをするには抵抗がある。組織の中に出来る人が育っていない。出来る人を探してやって頂く、お願いをする、教えてもらう。何所に行こうとしているのか。明確に目標を立てる。成果がとれなかったらピッチャー交替です。いま、地方自治体で社会的投資収益率「SROI(Social Return on Investment)」、つまり地方自治体が保健事業を行うにはお金が必要です。それを投資家から集めるんです。ある程度リターンが得られたら投資してくれた人に分配する。何をもって評価、達成とするのか。やはりこれは普通の仕事と何ら変わらない。

目標を明確にして成果を得るための行動をとる。そして上手くいかなかった時の責任をとって頂く。もっとうまくやる方にチェンジして、変えていくことが大事です。データ分析から、問題は何かを可視化をする。つまり見える化をして具体的に提案して先ずやってみる。どの位、的に当たっているか、ハズれているかを測定して的に近づけるよう修正しながら行う。

課題を可視化して、PDCAを回す。先ず明確に的を設定する。優先順位を決めて、保健事業という矢を放つ。最初の矢は必ずといっていいぐらい外します。大事なところは、どの位外れたかを測定して外れた部分を修正すると相当近くなります。タイムイズマネーで、やることを決めたら圧倒的に短時間でやり切ることです。そういったスピードが非常に重要です。やりっぱなしは全く無意味です。

〝当たり前にやる、ただそれだけです〟、これが日鉄住金健保の伊藤さんから教えて頂いたことです。課題解決のための保健事業を明確にする。
1.予防可能な疾患と予防不可能な疾患を区別して、予防可能な疾患の予防に集中
2.予防可能な疾患はどのような人が起こしているかを明確にしてリスト化する
3.予防可能な疾患を起こしそうな人に集中して、順に予防支援や健康管理をする。

人は肉体的資本と知識資本と精神資本に分割される。それを最大に引き出すものは健康であるということを経済学者が言っています。健康は良いか悪いかではなく、損か得かということで考えるのが良い〟等、テンポよく解説。

閉会にあたり伊藤副理事長から〝私はこの財団の副理事長を拝命した訳ですが、3年前までは健康保険組合の経営にあたっておりました。
「患者と柔道整復師の会」に数回出席させて頂き、昨年は柔道整復師の倫理綱領の作成等真剣な討議を重ねている中で、秋に財団設立の話が持ち上がり今日に至った次第です。評議員、理事会のメンバーは弁護士の先生達、公認会計士の先生、歯科医師会会長、大学の先生と普通では考えられないような構成で心強い組織であると私は思っています。
財団は今日スタートした訳ですが素晴らしい組織の後ろ盾の下に必ずや皆様のためになる財団に成長し続けると確信しております。是非皆々様のお力添えをお願いして閉会の挨拶とします〟と結び終了、着実な一歩を踏み出した。

引き続き、別室においてアントニオwith friendsによるピアノとバイオリン演奏が優雅に奏でられる中、懇親会が開かれた。

 

 
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