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第2回療養費適正化勉強会が開催!

2016/07/26

平成28年7月9日(土)午後3時から大阪府医師会館にて、「大阪の柔整療養費は本当に変わるのか。保険者が知っておかなければならないこととは…?」をテーマに、第2回療養費適正化勉強会が開催された。(主催:一般社団法人大阪臨床整形外科医会。後援:一般社団法人大阪府医師会。Produce:療養費適正化研究会)。

大阪臨床整形外科医会会長・前中孝文氏は、挨拶で〝明日は参議院議員選挙という忙しい中にご参加いただき有難うございます。療養費の問題が取り沙汰されて数十年経ったと思います。大阪の柔道整復師の療養費が被保険者一人当たり8,608円、全国平均の2倍以上です。大阪の療養費の中に何か問題が潜んでいることを示しているのではないでしょうか。また、柔道整復の療養費が打撲、捻挫の名目で年間約4千億円が使われていることを一般の人が知れば、数字が一桁二桁間違っていると思うでしょう。4千億円が正しい数字ならば打撲捻挫以外の他のものが療養費に入っているのではないかと疑うでしょう。運動器の専門家である整形外科医の所にいろいろな患者さんの健康被害情報が集まってきます。患者を守る、保険制度を守るためにこの会を主催しました。柔道整復業界と整形外科が骨肉の争いをしているというマスコミの報道がありますが、それは間違いです。保険制度を守る主体は保険者の皆さんです。自分たちの個人的な損得勘定ではなく国を守る防人という気概で療養費適正化に取り組んでもらいたいのです。よろしくお願いします〟と結んだ。

 

『大阪からはじめる療養費適正化』と題して市立岸和田市民病院リハビリセンター長・濵西千秋氏による基調講演が行われた。

講演で濵西氏は、〝柔道整復業界との関わりは私が近大の教授に就任した平成10年に遡る。その年は、奇しくも柔道整復養成学校が雨後のタケノコのように乱立するきっかけとなった判決が福岡地裁で出された年であり、沢山の接骨院からの後始末症例に接し、また日本整形外科学会・教育研修委員長になって業界問題の深刻さを知り、日整会から厚労省に要望書を提出したりもした。そして平成16年に中部日本整形外科災害外科学会を主宰した折には接骨院受療者調査を行い、会長講演で接骨院へ整形外科医が患者さんをどれほど送りこんでいるかを示し、整形外科医に警鐘をならした。シンポジウムは長尾氏、牛山氏という2名の著名な柔道整復師にも加わって頂くという前代未聞のものとなった。平成17年に柔道整復接骨医学会に招かれたのをきっかけに、真剣に柔道整復師の行く末を考え、特化・階層化を提唱した。国民が信頼できる『地域のゲートキーパー」となることを期待したのである。そこで接骨医学会に既にあった認定柔道整復師の資格制度をまったく新しいものにし、実施に到るタイムテーブルも示した。これらの考え方は業界誌である『からだサイエンス』誌、或いは鍼灸柔整新聞等に逐一寄稿し、業界の反応を待った。接骨医学会が本気になり、もし要請があれば日整会の中で、或いは整形外科運動器保存学会を立ち上げてその中で研修施設の立ち上げを諮るぐらいの覚悟でいた。しかし大阪社団の会員2,000名が柔道整復接骨医学会に一気に入会されたのが唯一の反応であり、それから10年が経過したが、業界、そして国民を取り巻く状況は悪化の一途を辿っているように思える。

今回なぜ大阪なのかというと、まず人口10万人あたりの柔道整復師数が、大阪府が92人でダントツで全国平均46人の丁度倍であること。ついで富山72、東京71、和歌山66と続く。10年前は全国平均18人であったから、この増え方は異常であろう。特に大阪は学校数も多く、柔道整復師激増の震源地でもあるため、様々な請求問題が多発しても当然であった。例えば協会けんぽ大阪支部では柔整療養費は日本全体の1/5が支払われている。柔整だけではなく、あん摩・マッサージ・指圧は13%、鍼灸に至っては日本の1/3が大阪で支払われている。財務省の調査結果によると、「過去5年間不正請求で受領委任払取扱い中止になった件数128件のうち、76件6割が大阪、多部位請求と不正請求の間には一定の相関が推定される」「近年の柔道整復療養費(23年度4,085億円)は小児科・皮膚科・産婦人科・耳鼻科の診療所医療費よりも高額。ちなみに整形外科は7,800億円」とある。(中略)資金の逼迫しつつある組合健保は、保険者機能推進運動(3適運動)を以前より繰り広げ、日本郵船のような支払拒否組合も出現。また最近は協会けんぽ、後期高齢者や一部国保組合などは外部委託して後追い調査などを行っている。厚労省も療養費の改定にあたり運用の見直しということで打撲・捻挫の施術について、3カ月を超えて頻度の高い施術を行う場合に、支給申請書に、負傷部位ごとの経過や頻回施術理由を記載した文書の添付を義務付けることになった。しかしその理由文書は予想通り定型化し、逆に緊急性のなさと慰安療術を裏付けるものとなっている。

公益社団大阪府柔道整復師会から、本年3月26日に療養費適正化理念5項目が発表された。目を奪われたのは②の「負傷の徴候の認められない患者への医科受診指導を促進する」である。地域社会にあって運動器症状の裏に隠れている異常・疾病を感じ取り、取り込んでしまわないですぐ医師に紹介できる『ゲートキーパー』として成長・特化すべしという勧めであると評価したい。会員の「初検料のみの申請書」の件数と割合を公表させ、27年度現在0.04%の割合を向上させるとある。1万人の受療者中4名であったと明らかにされたことは評価できるが、そのあまりの低さには改めて驚かされた。今後会員の臨床能力向上でこれが、せめて1%になれば柔道整復師の社会的評価に大きく繋がるはずである。柔道整復師は『地域のゲートキーパーであれ』と私はこの15年間願い、また訴えてきた。しかし外からの発言は無視するしかなかった業界にとってこれは内からの提言である。当然業界多方面から強い反発を呼び起こしていることであろう。しかし負傷は負傷である。この文言を死守していただき、「亜急性の負傷」などという概念が入り込まないように頑張ってほしい。この理念が全国の社団柔道整復師会の規範となり、更に会員以外の柔道整復師の「負の意識」をも変革されんことを願う。私にとって人生初めての行動であるが、公益社団法人大阪府柔道整復師会にエールを送りたい〟等、話した。

 

 
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