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第2回柔道整復師団体情報交換会 開催される

2016/07/19

平成28年7月7日(木)、衆議院第2議員会館第1会議室において、一般社団法人全国柔道整復師連合会(以下、全整連)主催、第2回柔道整復師団体情報交換会が開催された。

情報交換会

田中会長主催者である全整連・田中威勢夫会長は〝ご存知の通り、今日は第6回柔道整復療養費検討専門委員会が開催され、議題として急性・亜急性の話、卒後臨床研修の話があった。卒後研修は3年間という形で理解を得た。急性・亜急性の問題については従来よりも議論が紛糾したが、亜急性として内科的疾患ではなく陳旧性・慢性に至っていないものを治療しているのだと強く主張した〟と柔道整復療養費検討専門委員会の展開について話した。

三橋氏続いて(公社)日本柔道整復師会・三橋裕之理事(保険部長)は〝回数制限についても最終的に有識者の先生から患者の立場から考えてもあり得ないだろうというご意見もいただいて、いい方向に向かっていると思う。前回同様、皆様から忌憚のない前向きな意見を伺いたい〟と挨拶した。

 

今回は厚生労働省より3名が参加し、挨拶とともに、6月29日に改正された広告に関する告示についての説明がなされた。

厚生労働省保険局医療課療養指導専門官厚生労働省保険局医療課・都竹克宜療養指導専門官は〝我が国は、急速な少子高齢化、医療技術の高度化により医療サービスの需要の多様化が進んでおり、安心な医療サービスを安定的に提供できる体制の構築が重要な課題だ。柔道整復療養費については、国の財政が大変厳しい中で、国民から更なる信頼を得ていくことが重要だと考える。これらを踏まえて、検討専門委員会を設けて、中・長期的な視点に立った療養費の在り方に関する議論を行っている。適正な保険請求を推進する仕組みを構築し、患者がこれまで以上に安心して施術を受けられる制度にしたい〟と述べ、かつ真面目に施術に取り組む柔道整復師が報われる制度を目指していくとした。

厚生労働省医政局医事課医事専門官厚生労働省医政局医事課・佐生啓吾医事専門官は、広告に関する告示の一部改正について〝経緯として、あはきの団体から要望があり、あはきでは無資格者が多いため、無資格者と有資格者を区別するために改正を行った。各都道府県で届け出をした際に、届け出済の証明書を出している都道府県がいくつかあるので、それを掲示できれば無資格者との区別ができるためだ。柔道整復も届け出済証明書を発行している都道府県があるので、看板とともに院外に掲示できるようになる〟と説明した。
(改正の詳細は「柔道整復師法第二十四条第一項第四号の規定に基づく柔道整復の業務又は施術所に関して広告し得る事項の一部を改正する件について(平成28年6月29日医政発0629第3号)」をご覧ください)

広告の制限については、参加した柔道整復師団体から〝そもそも保健所への届け出を義務付けている以上、それを掲示することが患者の利便性につながるのか理解できない。何を表記すると患者が理解しやすいのかをもっと考えるべきではないか〟〝広告で指導されている院もあるが、対応に地域差があり不公平ではないか。制限を行うのであれば全国的に一斉に行うべきではないか〟といった厳しい意見が上がっていた。

 

近藤氏その後、出席団体の自己紹介が行われ、全整連・近藤昌之理事より、第6回柔道整復療養費検討専門委員会の概要について説明された。 近藤氏は〝今回は、亜急性の定義の項目に特に重点が置かれた。亜急性の定義が明確ではない、時代に合わないという論議があり、そこが大きなテーマとなった。有識者側から、亜急性に対する日本救急医学会、日本外科学会、日本整形外科学会の認識が資料として提出されたが、簡単にいうと亜急性とは時期を表すものであると主張されている。柔道整復側は内因性では無いものを示しており、かつ国会答弁ですでに決着を見ているとしたが、保険者も亜急性という表現は明確でないとの見方が多数を占めていた。また、1部位目から負傷原因を記載するという点も議論された。保険者は1部位でも記載するようにと主張したが、審査会で傾向的に見ていくので必要ないだろうというのが施術者側の意見だった。長期・頻回については、保険者は回数制限をするように求めたが施術者は反対した。有識者からも患者の利便性に合わない、データを集めて慎重に検討すべきという意見があった。広告については、現状として今の整骨院はすべて広告違反じゃないか、もっと本気でやれという意見が有識者や保険者から出ていた。施術者としても困っていることを伝えたが、医政局で対応するとのこと。管理柔道整復師の問題は施術者から3年の実務経験を課するようにと要望した〟と報告した。

 

出席者からの意見
  • N氏
  • 亜急性については時間ではなく、外力の種類を示している。レセプト自体に柔道整復師がその症状を書けないために、慢性だと保険者が認識してしまうのではないか。根拠がある疾患なので慢性ではないと主張すべき。また、西洋医学で治らないものを柔道整復が補完していて、症状が軽減しているということを主張してほしい。
  • N氏
  • 負傷原因の1部位からの記載については、信頼を得るためにも絶対にやるべき。必ず負傷に起因する原因があって症状があるべきなのに、1部位や2部位であれば原因は書かなくていいと思いこんでいる柔道整復師が多すぎる。真面目にやっていることを示すためにもきちんと書くようにしないとこの先厳しい。
  • K氏
  • 1部位から負傷原因を書くことについては賛成でも反対でもないが、記載させることが目的となっていないか。慢性でも急性のような理由をつけてしまえば通ってしまうのではないか。記載させることが本当に不正を抑制することに繋がるのかということを議論しなければならない。
  • I氏
  • 亜急性については私も決着がついているものと認識していた。どうしても時間軸で考えられているので、病態で考えてもらって「反復外傷」のような名前で請求できるようになればいいのではないか。
  • N氏
  • 検討専門委員会には患者の意見が取り入れられていない。例えば明確に負傷原因が言えない患者は支給対象とならないというのは不公平になってしまう。施術者側がもっと患者の意見を代弁していってもいいのではないか。
  • S氏
  • 患者としては保険料を払っているのだから慢性であろうが保険料を使いたいはず。慢性についてもある程度保険請求させていただきたい。しかしそのためには柔道整復師も保険者の意見を尊重し、ある程度受け入れる覚悟が必要だと思う。
  • S氏
  • 亜急性については保険者側の意見も加味して、落としどころを模索すべきではないか。審査が厳しくなってきているのも柔道整復師側にも問題があると思う。
  • S氏
  • 施術管理者の要件強化については、学校でもカリキュラムが増えて、かつ卒後臨床研修も3年間課せられるとなると、柔道整復師を目指す学生もどんどん減って業界自体が縮小する危険性もあるのではないか。
  • N氏
  • 医師側は外傷はすべからく新鮮であるという文書を出してきている。つまり外傷として証明さえできれば医師側は反論できないということではないのか。もう少し議論の方向性を考えるべきだ。

 

これらの意見を受け、三橋氏は〝負傷原因の記載については一つ認めるとどんどん認めることになるので簡単に飲むことができない。施術管理者の要件強化についても、3年となったがまだまだハードルが高い。できればちゃんとした施術所で実務経験を積んでほしいというのも厚労省の考えである。亜急性についてもたくさんご意見をいただいたが、原因があるということは外傷であるということで良いのではないかと私は考えている。広告については、違法広告は目に余るものがある。会員にも指導しているが一掃できない事実がある。全体で進めていかないといけない〟と議論の難しさを吐露した。

田中氏は〝皆さんの想いを聞くことができた。これからも続けていきたい。発言できなかった内容があれば連合にご連絡いただければ、次回の委員会に持っていきたい。ぜひまた集まっていただき次の段階の議論をしたい〟と前向きに語り、終了した。

 

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