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『患者と柔整師の会』  患者副代表  伊佐野裕之氏インタビュー

2013/03/16

『患者と柔整師の会』が2010年に設立され、伊佐野氏はその患者副代表を務められている。

超高齢化社会が加速する中、医療財政の逼迫は著しく、医療費をいかに抑制していくかが課題となっている。また、柔道整復師が急増し続けていることもあり、不正問題の解決をはかる意味でも、療養費の適正化という名目で膨大な数の患者照会調査が民間業者によって行われている。

今後、柔整は国民の身近な医療として存続できるのだろうか?

伊佐野副代表に患者が望む真の声をお聞きした。

 

『回答不可能な患者照会調査を無くしていく方向の制度改革を願って!』

『患者と柔整師の会』
患者副代表   伊佐野  裕之   氏

 

 

―伊佐野副代表が『患者と柔整師の会』に入られた切っ掛け、若しくは接骨院にかかられた経験など教えてください。

『患者と柔整師の会』が発足して約半年経った頃に知り合いの先生の紹介で入りました。私は、学生時代相撲をやっておりまして高校、大学とずっと相撲部でした。その知り合いの先生とは学校の先輩、後輩の間柄です。先輩は大学卒業後に柔道整復師になられて接骨院を開業されました。私が中野区に在住していることもあり、こういう会があるよと声をかけられたのが切っ掛けで入ることになり、その半年後くらいに副代表に就任しました。ボランティア活動の一貫として参加させていただいております。私が接骨院にかかった経験は、5年前に実はパニック障害になったことがありまして、転倒した時に、胸や肩を強く打ったんだと思います。当然痛みもあった訳ですが、それよりも全く動けなくなってしまいました。2、3分も歩くことができない状態で、歩くと心臓が苦しく、しかし内科的には別に何所も異常はありませんでした。そういう状態になって暫くして、自宅から100メートル位のところに新しく整骨院ができました。その頃はますます動けなくなっていましたので、精神科の先生にお聞きしましたら〝そういう所があるなら行ってみなさい。少しでも楽になったほうが精神的にも楽になるよ〟と言われ、整骨院に行くようになりました。電気治療とマッサージをやっていただき、又少しずつ精神科で投与されている薬も効いてきて徐々に回復することが出来ました。結局、整骨院には1~2か月間通いました。保険組合から〝その程度でそんなに時間がかかるんですか?〟といった照会状のようなものが届いたこともあり、行くのを止めました。丁度、歩けるようになってきて、また歩いているから体全体が動くようになってきました。しかし、もうちょっと整骨院にかかっていたかったという思いはありました。あと他に整骨院に行った経験は、私は転勤族で横浜に住んでいた時にも昔相撲を取っていたせいかギックリ腰によくなりました。こういう言い方はよくないんですが、整形外科さんより整骨院さんのほうが親身になってくださいます。整形外科の場合、湿布をくれて終わりで、あまり何もやってくれません。実際、転んだことが原因かもしれませんが、私のように精神的なものというのは、理解されず非常に辛く〝どの辺が痛みますか〟と、電気をかけていただいている時は精神的にとても楽になるんです。言うなれば現代社会はストレス社会でもあり、ストレスによる疾患は非常に増えていると思います。たとえ整形外科さんに行ったとしても、何なのかよく分らないものも多くあると思います。

 

―これまでいろいろな会議に出席してどのようなことを感じましたか?

接骨院や整骨院にかかるときは、怪我でなければ保険が適用されないということも、こういった会議に出席してから初めて知りました。整骨院さんにかかる場合、何が保険対象なのかということはもうちょっと初めから明確に言っていただいたほうが良いと思っています。様々な問題があるということをこの2年半の間に初めて知ることが出来ました。また柔整師さんの中でも、良い先生と悪い先生の差が大きいというのを感じました。例えば、会議に出ていらっしゃる先生というのは、ちゃんとした先生だと思います。保険者会議にも出させていただいております中で、保険者さんの感覚と柔整師の先生の感覚、もう一つ患者側から見る感覚が全く異なるということを知って大変勉強になりました。今、保険組合さんも経済的に苦しいという現実がありますので、非常に厳しいだろうと思っております。もう一つ危惧されることは、今柔整師さんは物凄い数です。私の町の商店街だけでも、毎年、新しく2軒から3軒位出来て増え続けています。しかも、その接骨院全部が保険適用と謳っているところは少々理解し難く思います。会議の内容を聴いていますと、やはりしっかり研修や講習を受けた方にちゃんとした診療を行っていただきたい。個人の方が悪いということでもないのでしょうし、中には非常に優秀な先生もいらっしゃると思います。統一した審査基準と審査会を通して、不適格な先生は処罰・公表していくような制度にして頂きたいですね。遅きにきした感がありますが、今からでも取り締まる規則を作る必要があり、時間をかけてもう少し難しい資格にして頂いて、クリアした方には普通に健康保険が使えるという正規のルールづくりをして頂きたいと思います。国のほうでも柔整業務について問題があるのであれば、ちゃんと見直すべきであり、傍で見ていると逃げているような気がします。昭和11年の古い法律から変わっていないこと自体が異常ですし、厚生省の通達一つで運用していること自体が国民には理解しがたいことなので、早急に正して頂きたいと思います。

先日の会議では、患者照会に関する意見も随分違っていました。初回はやらないという方と初回もやるという方がいて、両方正しいと思って聞いておりました。そして、その基準が無いということにも驚きました。保険者さんごとではなく、支払を一括化したほうが、効率的です。法律改正をするなりして、一律にやらないと根本的におかしいような気がします。

 

―患者さんは何故、接骨院や整骨院に掛かるのでしょうか?伊佐野副代表から見て、整形外科と接骨院の違いはなんでしょうか?

整形外科に行くと、先ずレントゲンを撮ってもらいますので、ある程度正確な情報が得られます。また、町の整形外科でもCTスキャンを持っている所も随分増えてきています。CTで撮ってもらうと非常に分りやすいです。以前相撲をとっていたせいもあり、また年齢のせいもあって、腰でも頸でもヘルニア状態になっているみたいです。整形外科さんでやって頂いた頸の牽引が気持ち良かったです。ただ、整形外科で診ていただいても、ヘルニアと言われるのは、もう分っていましたので、10年前になった時は、最初から近くの整骨院さんに行きました。これまでヘルニアを何回もやっていて、レントゲンを撮っても、何所かが詰まっていると言われるだけだと思いましたので。整骨院では、直接診察されていない時にもじっと観察されているのか〝ここですね〟と言われた時に〝当たっている〟と信頼感が生まれます。会社帰りの夜8時頃に半年くらい行っていました。夜遅くまでやっていただいているので、助かります。今は何所も悪くないため行っていません。競争が激しいからだと思いますが、土日祝日やっている所が非常に多くなっているので、それはニーズに合っていると思います。改めて頂きたいことは、いま領収書を出すことになっていますが、一月に一度でも良いと先日の会議で言われておりました。領収書について、もう少し徹底して欲しいですね。

 

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