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『患者と柔整師の会』  患者代表  今城康夫氏インタビュー

2013/02/01

―今城代表から見て、整形外科と接骨院の違いはなんでしょうか?患者さんから見て両者のメリット、デメリットなど教えてください。

それについては、夫々の患者さんに考えがあると思いますので、今後聞いてみて欲しいと思いますが、私の場合は、柔整診療により痛みや機能障害から救われた経験があるからです。メリットは、軽い外傷ならば整形外科よりも待ち時間が短く、逆に治療時間が長い。しかも治療費が安いので気楽にかかれます。結局、柔整診療は治療時間が長くゆったりしているため、患者の心のケアも含めてなされており、信頼関係を高めるような治療が行われており、地域社会に根付いた身近な治療機関となっています。つまり、整形外科では中々治らない時、患者は、手技の治療効果を期待し、接骨院の治療を求めています。整形外科はレントゲンを撮って診断し、接骨院に出来ない、西洋医療の注射、薬等の治療により、多くの患者を救い高い信頼を受けています。

 

―テレビのコメンテーターなどの発言では、患者さんは、大したこともないのに、やたらと病院や接骨院に掛かる。あるいは、病院などの待合室はサロン化しているという話があります。窓口負担を高くすることで、受診抑制をするというようなことに関してどのように感じますか。またお金のある方と、ない方では違うと思いますが。

現在、介護保険制度や高齢者施設の充実により、高齢者のサロン利用がなくなっているように感じています。私は、家族の病気でいろいろな病院を見てきましたが、最近はその様な人は見当たりません。また、接骨院はサロン化するような広いスペースを保有しておりません。特にサロン化については、高齢者に対して云われているように思いますが、高齢者に限ったことではありませんが近年は、貧富の格差が大きいため、お金を持っている高齢者は窓口負担を高くしても必要な治療は受けにいくでしょうし、またお金を持っていない高齢者は今以上に医療にかかれなくなることになりますから、安価な接骨院にしか行けなくなるのかもしれません。

 

―治療計画書というものを出していただくと、治療の目安が分って良いと思われますか?

患者にとっては非常に良いことです。治療内容も分かり、通院の計画も立てられます。また、整形外科等に転院する時に役立てられますから、是非計画書を出すように定めて貰いたいと思っております。

 

―受領委任払いを償還払いに戻すといった声がよく聞かれますが、それについてどのように思われますか?

患者、保険者、柔整師にとって、手数がかかるだけで何のメリットもありません。整形外科だけに患者の治療を集中させれば、整形外科の治療が今以上に疎かになると思います。また、患者が柔整診療を受け難くなり、痛みや機能障害者が増えることになりますから、介護保険の費用がもっともっと増大することにつながります。しかも他の病気を起こしたりすることで医療費増大の原因にもなるでしょう。これまで、全国で保険者会議を開催してきましたが、償還払いというのは一部の保険者が医療費増大に伴い言っていることであり、大部分の保険者は受領委任払いのほうが利便性が良いし、やはり被保険者のためには良いので反対しています。ただし、不正請求や部位転がしがあるので、改善の提案を受けています。

 

―患者照会が当たり前のようになってきましたが、患者さんにとって毎回接骨院にかかるたびにどのような内容でしたか?と質問され、またその都度記述されることはとても不愉快ではないかと思います。まして後期高齢者の方が2月も3月も経過してから、その内容について回答することは困難ではないかと思われますが、『患者と柔整師の会』に苦情など寄せられてはいませんか?

最初、確かに面倒くさいなと思いましたが、不正請求をする柔整師がいるからやむを得ないかなと思うようになりました。ただ医療費が増大し厳しいのに、医療費のわずか1%である柔整診療費にこんなに手数をかけることに疑問を感じます。照会業者だけが儲かることであると思います。会員からは、書き方や質問の意味がわからなくて、回答出来ないという意見がありました。また、接骨院と相談して書いたとの意見もありました。

 

―患者照会の内容について、どのような感じを持ちますか?全体的な印象でもかまいません。

高齢者には、難しいと感じています。何か月も前の照会ですから細かいことは忘れてしまったり、面倒くさくなり適当な答えになってしまいます。どうしても必要であるならば制度化して、初診時に照会事項の書類を渡すようにするべきではないでしょうか。

 

―『接骨院・整骨院の患者相談ダイヤル』を開設されておりますが、これまでの苦情や質問で多かった問題はどのような内容でしょうか?

私は、患者ダイヤルの外部委員も務めていますが、寄せられる苦情は、治療内容や柔整師の発言についてが全体の12%で、62%は治療や治療内容の相談ですから、如何に柔整診療内容が理解されていないかが分りました。年齢は60歳以上が80%を占め、多くの高齢者が柔整診療を求めていることが分ります。他には、ごく少数ですが、治療費についてや治療傷病名と記載傷病名が異なっているとの相談もありました。このように、患者の声を聞く制度を作ってくれたJB日本接骨師会に感謝しています。

 

―JB日本接骨師会が出されている試案の中で賛同が得られない部分について、今城代表はどこに問題があると思われますか?

試案は、全国の保険者の意見を聞き作成したもので、多くの保険者からは賛同していただいております。試案には賛同しているが、保険者は一斉に実施しなければ問題が起きることを心配されて未だ実施に至っておりません。柔整業界も、現制度に問題があることを分っていますが、どうにかなると思っているようで改革に消極的です。

 

―接骨院の治療内容について、患者サイドとして、改善してもらいたい点がありますか?また、接骨院の治療で問題だと思う点をお聞かせください。柔道整復診療のガイドラインを作る話もありますが、ガイドラインの内容に関して、患者さんの参加も必要だとの意見があります。参加についてどう感じますか。

整形外科や保険者からは、外傷以外は駄目だと云われているが、接骨院では、肩の痛み等の治療を行うと看板があり、患者はどうしたら良いか困っています。この為、柔道整復診療を受け恩恵を受けている患者と受けずに痛みに悩んでいる患者と不公平が生じています。私達は、柔道整復診療を明確にし、診療を受け易くする為、パンフレットを作るよう柔整師に提案したが、保険者の協力がないと出来ないといわれ残念に思っています。

柔道整復診療のガイドラインは保険者、柔整師、患者等にとっても診療内容を明確にする為に必要である。ガイドラインの作成に患者の参加は特に必要はないと思います。診療内容は柔整師の治療技術に基づき柔整師や保険者の専門家が決めるべきと思います。ただ私達『患者と柔整師の会』では、柔整師の意見を基に、第三次試案の療養費支給審査基準の中で、治療基準を提案していますので参考にして貰いたいですね。

 

―今城さんから見て、勤務柔整師さんをどう思われますか?

整形外科に勤務している柔整師さんについては、やはり病院内のシステムがあるからと思いますが、本当の温かい心のこもった診療ではなく、3分5分の短時間でしか私はやってもらったことがないんです。形式的だなと感じました。接骨院に比べると整形外科は少ないので、そういう意味では接骨院の活用を考えてもらいたい。例えば医者から薬の処方箋をもらうように、整形外科から薬ではなく、機能療法の処方箋をもらえるようなルール、そういう治療システムづくりがされれば患者は本当に救われます。医者は命を助けたり、機能を回復させるのが使命です。もっと広い心を持って柔整師さんを上手く使ったり、お願いしたりそういう社会にして欲しいと思います。人命を救うお医者さんなんですから、ナイチンゲールではないけれど、今のままでは悪貨が良貨を駆逐するといったイメージさえ持ってしまいます。全体的に医療としてどうあるべきかというのを夫々の医療職種の方々で議論し考えて頂きたいです。

 

―介護保険の中で柔整師さんも機能訓練指導員として、また介護予防デイサービスでも活躍されている先生が多いんですが、今後どんな風になればもっともっとよくなると思われますか?

寝たきりの人が柔整師さんの運動療法や機能訓練指導で動けるようになれば、介護の軽減がはかれます。介護保険の膨大な費用の軽減も柔整診療を上手く活用することによって出来るのではないかと考えています。そういったこともトータル的に考える時代になっているのではないかと感じています。 介護施設での柔整師さんを雇うシステムは非常に良い事だと思います。作業療法士、理学療法士、介護士等と協力し、患者介護療法を行う事により、お互いに介護療法技能を高める事も出来ると思います。

 

―今後の活動において、最も力を入れていく点、訴えていかれる内容をお聞かせください。

5月に大会を開催し、第3次改革試案を説明、実施をお願いしたいと考えています。尚、第3次改革案は柔整師及び柔整診療の信頼を高め療養費受領委任払い制度を継続する為の提案で、実施出来ましたら、今後私達は、患者の為に柔整診療制度の改革を提案、訴えて行きたいと思います。私達は、これまでの活動で充分な成果を上げることが出来ませんでしたが、「患者と柔整師の会」の活動に参加頂きました多くの保険者、柔整師、患者の皆様に感謝申し上げます。今後も皆様のご協力を無駄にしないためにも、引き続き柔整診療制度の改革に取り組んで参ります。

 

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