menu

(公社)日本柔道整復師会 社団法人設立60周年記念式典を開催

2014/04/01

これまでの活動の中でも「適正な傷病名での請求ができるように」という要望をしています。平成17年の国会質疑の中での、厚生労働省の回答は、「未だ検討中」でした。検討の時は終えて回答を出すべき時でしょう。以前、あえて「腱鞘炎」で保険請求をした柔道整復師の方がいました。昔なら「医師法違反」だと言われていましたが、今はそんなこと言われません。保険者が良いと言えば、どの傷病名で出しても支払うことに変わってきています。つまり制度自体がほころびだらけなのに、今の制度で運営するのは無理があるわけです。

 

医療費と療養費という話も関連してきますが、「療養費」というものは、医療ではなく医療の補完だという話なので、まずは、先ほど話した「柔道整復師の業務は医行為だ」という認識を、業界全体で確認し合わなければなりません。医行為である以上は「療養費ではない」、もちろん「療養の給付」でもなく、柔道整復師制度に見合った「給付制度」の新設が考えられます。

 

今までの活動は「行政を怒らせるな、医師会を怒らせるな、保険者とは仲良くやれ」と言う暗黙の了解の下で行ってまいりましたので、柔整業界の制度自体を変えることにまでは繋がってこなかったわけです。これまでの活動を見直し、反省し、新たな戦略に基づいて活動していく時代が始まっています。それには業界団体の意見がバラバラではいけません。まずは「日本の医療制度」、「私たちの柔道整復師制度」の矛盾を勉強し、話し合いましょう。

 

現在も厚労省は〝柔道整復師は医業類似行為者である〟との見解を変えていません。しかし、患者さんにとっては柔道整復師が診断しようが医者が診断しようが同じ診断です。制度というのは医師会のものではなく、国民のためのものです。我々の行為は医行為であるということ、その根本的なことを柔道整復師自身が認識すること、まずここから始めなければならないと思います。柔道整復師の行為は医療行為以外の何ものでもありません。骨折を整復したり、脱臼を治すこと、この行為が医療の真似事でしょうか? 医療以外のなにものでもありません。大事なのは“そこに”患者さんがいる、という話です。患者さんによってはアレルギー体質で薬が飲めない、飲みたくない、手術も嫌だ、出来るものなら自然に治したい、だから接骨院でも治療を受けたいと思う患者さんもいるでしょう。接骨院で治療を受けたい患者さんなら自由に掛かれる制度が大事だと思います。そうでなければ「医療選択の自由」は確保されないのです。

 

近年、この柔道整復師制度を排除しようとする動きもある、と耳にすることもあります。医師会・保険者・厚生労働省が何かを考えているのなら、冒頭の新しい政治状況を、こちらから積極的に生かすことも必要です。制度疲労なら制度を考える、法律が不備なら新たな議員立法を働きかける。まずは「傷病名問題」を解決する法律整備、これだけでも、不正請求とされるような状況は解決に向かうはずです。また、自分たちの自助努力で、現行の資格制度の中で保険を取り扱うことができるように研修制度の仕組みを作ることも考えられます。昔の柔整師は、整形外科や接骨院で修業して、先輩の先生方から色々なことを教わりながら新たに開業する形が主でした。今は学校を卒業して直ぐに開業に向かうため、保険制度も何も知らないままに請求してしまうような状況も起こります。開業前に2年間なりの研修を義務付けるような制度・体制づくりなどは、業界がまとまってこそ成しうることでしょう。

順序よく短期・中期・長期と計画を立てて実行していく、業界が一丸となって、新しい政治状況を利用するぐらいの取り組みで動けば、追い越された時代を、再び引き寄せられるはずです。

 

新年にあたりまして、少し固くなってしまったかもしれませんが、新たな年と新たな状況にあたって、当会が求めていく方向と皆様方のお考えの片隅に置いていただきたい事などを述べさせていただきました。本年も、皆様方のご協力のもとよりよき方向に向かわせていただくよう、是非ともお願い申し上げます。

 

前のページ 次のページ
大会勉強会情報

施術の腕を磨こう!
大会・勉強会情報

※大会・勉強会情報を掲載したい方はこちら

編集部からのお知らせ

メニュー