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これだけは知っておいて
【第59回:柔道整復師業界の広告について(そのⅠ)】

2019/12/16

明治国際医療大学 教授 長尾淳彦

医療機関のウェブサイトは2017年の医療法などの改正により、看板やチラシの広告媒体と同様に規制の対象に加えられた。柔道整復師業界も現在進行形で広告に関する検討会が行われている。

柔道整復師法第24条、広告の制限では、

業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。

柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
施術日又は施術時間
その他厚生労働大臣が指定する事項
 
2
前項第1号及び第2号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならない。

とされている。
もう少し、内容を分かりやすくするために逐条解説を紹介する。

 

逐条解説より

1
本条は、柔道整復の業務又は施術所に関する広告の制限につき規定したものである。
2
医業、歯科医業、病院又は診療所の広告に関しては医療法において厳格な制限が設けられている。これは、これらのものが患者誘引のために徒らに虚偽誇大な広告をなすことを避けしめようとするのが主たる目的である。柔道整復業においても医業等との権衡を考慮し、規定されたものである。
3
「厚生労働大臣の指定する事項」に関しては、従来からの経緯もあり、これら業務の特殊性からして指定事項として認めることも止むを得ないものがあると予想されるので、特に設けられた規定であるが、法律の規定に従えばこれが指定に関しては、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゆう、柔道整復等審議会に諮らねばならぬことになっており、昭和45年10月同審議会において審議の結果、同七月十日、厚生省告示第二百四十五号をもって「法24条、第1項第4号の規定に基づき広告し得る事項」として次のように指定された。
ほねつぎ(又は接骨)
以上の広告制限の規定に違反して広告した場合は、30万円以下の罰金に処せられる。(法第30条参照)

 

柔道整復師法第24条第1項第4号の規定に基づく広告し得る事項の指定
(平成11.3.29厚告70)

柔道整復師法(昭和45年法律第19号)第24条第1項第4号の規定に基づき、柔道整復師の業務又は施術所に関して広告し得る事項を次のように定め、平成11年4月1日から適用し、昭和45年7月厚生省告示第245号(第24条第1項第4号の規定に基づき広告し得る事項を指定する件)は、平成11年3月31日限り廃止する。

  • ほねつぎ(又は接骨)
  • 医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)。
  • 予約に基づく施術の実施
  • 休日又は夜間における施術の実施
  • 出張による施術の実施
  • 駐車設備に関する事項

また、①及び②に掲げる事項について広告する場合においても、その内容は柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならない。(柔道整復師法第24条第2項)

したがって、「腰痛によく効く」「○○大学病院で研修」「○○式除痛法」などは広告することは出来ない。
⑤ のその他の事項として「各種保険取扱」「健康保険取扱」などは広告することは出来ない。

これら広告の制限に違反した者は30万円以下の罰金に処せられる。(柔道整復師法第30条第5号)

 

広告を制限する理由

患者の立場からすれば、正確な情報量が多いほど施術所の選択が容易になるが、広告とは、本来自己宣伝のためにするもので、主観的・不正確な内容になりがちである。ともすれば、自己に有利な事項のみ強調したり、誇大な広告や虚偽の広告とならないとも限らない。一般的に、患者は専門知識に乏しく、また疾患による苦痛を回避したい欲求は一般商品を欲するより強いものがあるから広告による影響が大きいものと考えられる。万一、不当な広告により失敗した場合でも一般商品と異なり人命や機能障害などは代償が困難なものであることが多い。したがって、広告を当事者間の問題として、自由にさせることは適当でなく、客観性と正確性を維持出来るよう広告出来る事項を限定し、広告を制限する。

近年の接骨院・整骨院の看板やカッティングシートなどによる広告は目を覆いたくなる事項が多い。いったい何をする職業なの??という内容のものが多い。

「整体院」「鍼灸接骨院」「鍼灸整骨院」「鍼灸整体院」など巷に氾濫して看板の規制も無いに等しい。柔道整復師の資格を持ち「整体院」の看板など掲げるひとは何を広告したいのであろうか?

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