柔道整復師国家試験対策【第16回:解剖学 ―泌尿生殖器系以降編―】
解答
泌尿生殖器
- 問題1
- 解答 3
- 問題2
- 解答 2
尿の生成順序
糸球体→ボーマン嚢→近位尿細管→ヘンレのわな→遠位尿細管→集合管 →腎杯→腎盂(腎盤)→尿管→膀胱→尿道となる。
因に、腎小体の存在箇所は腎皮質中であり、ヘンレのわなは腎髄質中に存在している。
- 問題3
- 解答 2
ボーマン嚢中には、被蓋細胞(タコ足細胞)存在している。
- 問題4
- 解答 4
腎血液順路
腎動脈→葉間動脈→弓状動脈→小葉間動脈→輸入細動脈→糸球体→輸出細動脈 →尿細管周囲毛細血管→小葉間静脈→弓状静脈→葉間静脈→腎静脈となっている。
弓状動脈は腎皮質と腎髄質の間を走行している。
また、腎血液順路は1順路の中で、2回毛細血管を経由する特徴をもつ。
この他に1順路の中で2回毛細血管を通過する器官としては、肝臓、下垂体がある。
- 問題5
- 解答 1
膀胱は一部腹膜で覆われているが、全周はされていない。
膀胱壁の基本構造は、粘膜,筋層,漿膜となり、粘膜は移行上皮
筋層は、内縦中輪外縦の三層構造である。
膀胱には、尿管口と内尿道口で作られる膀胱三角と呼ばれる部分があり、
この部分は膀胱がどんなに収縮しようが、常に平滑である。
- 問題6
- 解答 3
- 問題7
- 解答 2
精子の産生は精細管中の精上皮で行われる。
精細管壁には、精上皮のほか、精子形成の支持、栄養を与えるセルトリ細胞が存在している。
精子順路
曲精細管→直精細管→精巣網→精巣輸出管→精巣上体→精巣上体管→精管 →精嚢→射精管→尿道
内分泌
- 問題8
- 解答 1
子宮は受精卵を発育し、胎児を発育させる中腔性器官である。子宮の粘膜は基底層と機能層の二層構造をとっている。筋層は内縦中輪外縦の三層構造をとっている。卵管膨大部で受精した受精卵は、卵割をしながら子宮粘膜まで下行し子宮粘膜状に着床する。
- 問題9
- 解答 2
松果体はメラトニンを分泌する内分泌性器官であり、間脳視床上部に存在している。思春期ごろから退行変性が始めり、石灰沈着を起こし脳砂を生じる。
- 問題10
- 解答 1
内分泌器官: 器官全体に内分泌腺(細胞)を有し、ホルモンを産生し分泌する器官。
→ 下垂体 甲状腺 上皮小体(副甲状腺) 副腎 膵島(ランゲルハンス島)
以上が一般的に内分泌器官と呼ばれる。
上記の内分泌器官以外にも、器官の一部に内分泌細胞を有する機関が存在する。
→ 精巣 卵巣 腎臓 胃 小腸など
※神経内分泌細胞
内分泌細胞ではないが、ホルモンを産生分泌できる細胞
→ 視床下部の室傍核、視索上核、視床下部隆起核
よって、解答は、1.の視床下部となる。
- 問題11
- 解答 2・3
主たるホルモンと分泌器官
下垂体前葉:
成長ホルモン プロラクチン 甲状腺刺激ホルモン
副腎皮質刺激ホルモン 卵胞刺激ホルモン 黄体形成ホルモン
下垂体後葉:
バゾプレシン オキシトシン
松果体:
メラトニン
甲状腺:
サイロキシン トリヨードサイロニン(カルシトニン)
上皮小体:
パラトルモン
副腎皮質:
電解質コルチコイド(アルドステロン)
糖質コルチコイド(コルチゾン)
性ホルモン(アンドロジェン)
副腎髄質:
アドレナリン ノルアドレナリン
神経
- 問題12
- 解答 4
灰白質:
中枢神経において神経細胞(神経細胞体)の存在している部分
白質:
中枢神経において神経線維の集合している部分
核:
中枢神経において、同じ機能を有した神経細胞(神経細胞体)が集合してる部分
神経節:
末梢神経中で、神経細胞(神経細胞体)が存在している部分
- 問題13
- 解答 2
大脳鎌・小脳テントは、硬膜内葉が重なり合って形成されるものである。
硬膜内には、硬膜静脈洞が存在している。
- 問題14
- 解答 2
副交感神経性の働きを有する脳神経
1)動眼神経
2)顔面神経
3)舌咽神経
4)迷走神経
嗅神経:感覚
顔面神経:運動 感覚 副交感
視神経:感覚
内耳神経:感覚
動眼神経:運動 副交感
舌咽神経:運動 感覚 副交感
滑車神経:運動
迷走神経:運動 感覚 副交感
三叉神経:運動 感覚
副神経:運動
外転神経:運動
舌下神経:運動
- 問題15
- 解答 1
前頭葉:動野 運動性言語野(ブローカ中枢)
頭頂葉:体性感覚野 味覚野
側頭葉:聴覚野 嗅覚野 感覚性言語野(ウェルニッケ中枢)
後頭葉:視覚野
- 問題16
- 解答 2
肩甲骨付着筋
大脳基底核:大脳髄質中に存在する神経核
1)被殻
2)尾状核
3)淡蒼球
※線条体:被殻と尾状核を合わせた名称
※レンズ核:被殻と淡蒼球を合わせた名称
大脳髄質は大脳基底核の他は神経線維の集合部であり、以下にあげる神経線維が存在する。
1)連合線維:同一半球間を結合する線維
2)交連線維:左右の半球間を結合する線維
3)投射線維:上下の中枢とを結ぶ線維
※脳梁:左右の半球間を結ぶ強大な連合線維束
※内包:随意運動の伝導路(錐体路、錐体外路)が通過する部分
- 問題17
- 解答 4
中脳に存在するもの
1)大脳脚:中脳腹側に存在する錐体路通過部
2)四丘体:中脳蓋(中脳背側)に存在する上丘、下丘からなる部位
上丘→視覚反射中枢 下丘→聴覚伝導路
3)赤核、黒質:運動調節に関係する核
4)滑車神経核
5)動眼神経核、動眼神経副核
- 問題18
- 解答 3
ベルマジャンディーの法則
脊髄前根:運動線維が通過する
脊髄後根:感覚線維が通過する
脊髄灰白質について
脊髄前角:運動神経細胞(α運動神経細胞、γ運動神経細胞)が存在。
脊髄側角:自律神経細胞が存在。(胸髄、腰髄では交感神経、仙髄では副交感神経)
脊髄後角:感覚神経をうける神経細胞の存在。
- 問題19
- 解答 3
外側膝状体:視床に存在する視覚路の中継核
光⇒網膜⇒視神経⇒視交叉⇒視索⇒外側膝状体⇒後頭葉視覚野
前頭葉:運動性言語野(ブローカ中枢)
体性運動野
頭頂葉:体性感覚野・味覚野
後頭葉:視覚野
側頭葉:聴覚野・感覚性言語野(ウェルニッケ中枢)
- 問題20
- 解答 2
脊髄視床路:皮膚体幹の表在感覚(温度覚、痛覚、触覚)を伝える伝導路
脊髄視床路経路
皮膚の受容器→体性感覚性神経→脊髄神経節→脊髄後角→反対側の前側索→視床まで上行→大脳皮質体性感覚野
脊髄後索は四肢体幹の深部感覚(位置覚、振動覚)を伝える伝導路に関与
後索路(内側毛帯路)
受容器→体性感覚性神経→脊髄神経節→脊髄後索→延髄後索核
→反対側の内側毛帯へ→視床まで上行→大脳皮質体性感覚野
- 問題21
- 解答 3
錐体路:随意運動の伝導路(大脳皮質運動野から脊髄運動神経細胞)
錐体路の主たる経路
①皮質核路
大脳皮質運動野→内包→脳幹を下行しながら脳神経核へ
②皮質脊髄路
大脳皮質運動野→内包→中脳大脳脚→橋の腹側部→延髄錐体→延髄錐体交叉→脊髄側索→脊髄前角運動神経細胞
※ 錐体路以外に運動の調節に関与する伝導路として錐体外路がある
錐体外路
1) 赤核脊髄路
2) 網様体脊髄路
3) 前庭脊髄路
4) 視蓋脊髄路
- 問題22
- 解答 2
脳神経の持つ作用は大きく三つに分かれる。
①運動性:中枢(脳幹)と骨格筋を繋ぐ
②感覚性:末梢の受容器と中枢(脳幹)を繋ぐ
③自律性/副交感性:中枢(脳幹)と平滑筋、心筋、分泌腺を繋ぐ
※混合性:運動性と感覚性の両者を持つもの
【覚え方】
① イチ(第一脳神経)ニ(第二脳神経)は、(第八脳神経)感覚
1、 2は感覚
② 三四郎(第三脳神経、第四脳神経、第六脳神経)いに(第12脳神経)いい運動(第11脳神経)
三四郎いに、いい運動
③ みんな(第三脳神経、第7脳神経)得(第10脳神経、第9脳神経)する副交感
みんな得する副交感
④ 混ぜて合わせて(混合性)、ごなっとく(第5脳神経、第7脳神経、第10
脳神経、第9脳神経
つまり、
第1脳神経(嗅神経):感覚性
第2脳神経(視神経):感覚性
第3脳神経(動眼神経):運動性 副交感性
第4脳神経(滑車神経):運動性
第5脳神経(三叉神経):混合性(運動性 感覚性)
第6脳神経(外転神経):運動性
第7脳神経(顔面神経):混合性(運動性 感覚性) 副交感性
第8脳神経(内耳神経):感覚性
第9脳神経(舌咽神経):混合性(運動性 感覚性) 副交感性
第10脳神経(迷走神経):混合性(運動性 感覚性) 副交感性
第11脳神経(副神経):運動性
第12脳神経(舌下神経):運動性
- 問題23
- 解答 2
頚神経叢に関する問題
頚神経叢中の皮枝(感覚性神経)
1) 小後頭神経
2) 大耳介神経
3) 頚横神経
4) 鎖骨上神経
頚神経叢中の筋枝(運動性神経)
1)頚神経ワナ→舌骨下筋群を支配
※また、頚神経叢からは横隔膜を支配する横隔神経が分布する。
- 問題24
- 解答 4
腰髄交感神経線維は、下行結腸から直腸・膀胱・生殖器に分布している。
それ以外のものは、胸髄交感神経によって支配されている。
- 問題25
- 解答 2
腰神経叢の枝
1) 腸骨下腹神経
2) 腸骨鼠径神経
3) 陰部大腿神経
4) 大腿神経
5) 閉鎖神経
6) 外側大腿皮神経
仙骨神経叢の枝
1)上殿神経
2)下殿神経
3)坐骨神経(総腓骨神経、脛骨神経)
4)後大腿皮神経
感覚器
- 問題26
- 解答 4
感覚器:身外部からの感覚情報を受容する器官
嗅覚器(嗅細胞)・視覚器(網膜)・平衡覚器(前庭・半規管)・聴覚器(蝸牛)・味覚器(舌味蕾)・皮膚・筋・腱などが代表的なものである。
心筋は、循環器系に属する血液移動を司る器官である。
- 問題27
- 解答 2
皮膚に存在する受容器
表皮:メルケル触覚円板(触覚)
自由神経終末(痛覚 温度覚)
真皮:マイスネル小体(圧覚)
皮下組織:ファーテルパチニ小体(圧覚)
※桿状体細胞は視細胞であるため皮膚に存在していない。
- 問題28
- 解答 2
視神経乳頭(視神経円板)部は、視神経・網膜中心動静脈が貫く部であり、視力がない。黄斑は、眼球後壁のやや外側部にある部分で、この部に中心窩が存在している。中心窩は視力の最も鋭い部分であり、錐状体細胞が多く存在している。鋸状縁は網膜における網膜網部と網膜視部との境界となっている部分である。
- 問題29
- 解答 3
眼球は、眼球壁と眼球内容物とで構成される。
眼球壁は三層構造であり、外側から線維膜、血管膜(ぶどう膜)、網膜となっている。
線維膜:
前1/6が角膜、後5/6が強膜からなる。
血管膜:
前方から、光彩、毛様体、脈絡膜となっている。光彩は輪状の構造物で中心の孔は瞳孔となっている。→瞳孔括約筋、瞳孔散大筋が存在。
毛様体は、毛様体小体により水晶体を固定している。毛様体筋の収縮により、水晶体の厚さを調節している。また、眼房を満たす眼房水を産生分泌している。
網膜:
鋸状縁を境にして前方の網膜盲部と後方の網膜視部からなり、
網膜視部には、光を受容する光受容細胞(桿状体、錐状体)が存在。
眼球内容物
眼房:
角膜と水晶体の間の腔所
眼房水で満たされている。
水晶体:
毛様体小体によって固定される。
厚さを変化し、ピント調節を行う。
硝子体:
水晶体の後方を満たしている物質
- 問題30
- 解答 3
内耳は側頭骨錐体にある骨の腔所である。
内耳は半規管、前庭、蝸牛の三つ部分から構成されている。
その内、半規管、前庭は平衡覚器として、蝸牛は聴覚器として機能している。
半規管は膨大部稜にて回転加速度を検知している。前庭は、卵形嚢と球形嚢の中にある平衡斑により直線加速度を検知している。この半規管、前庭で検知した感覚を前庭神経によって中枢へ伝えている。
蝸牛は、蝸牛管内にあるコルチ器によって聴覚を受容し、蝸牛神経によって中枢へ伝えている。
- 問題31
- 解答 3
平衡感覚器:
半規管(三半規管)と前庭で受容する。
半規管は回転加速度を、前庭は直剪加速度を受容する。
半規管内の受容ユニットを膨大部稜といい、前庭の受容ユニットを平衡斑(耳石器)という。前庭はまた、垂直加速度を検地する球形嚢、水平加速度を検地する卵形嚢に分かれる。
前庭階は蝸牛(聴覚器)にあるものであり、平衡覚器ではない。
体表解剖
- 問題32
- 解答 1
主要な神経の圧痛点
三叉神経第一枝:眼窩上孔
大後頭神経:外後頭隆起の外方2−3㎝
三叉神経第二枝:眼窩下孔
尺骨神経:尺側手根屈筋二頭間
三叉神経第三枝:オトガイ孔
坐骨神経:坐骨結節と大転子の中点
総腓骨神経:腓骨頭直下
- 問題33
- 解答 3
脈拍を触れる主要動脈
頭部:顔面動脈 浅側頭動脈 後頭動脈
頚部:総頸動脈 鎖骨下動脈
上肢:腋窩動脈 上腕動脈 橈骨動脈 尺骨動脈
下肢:大腿動脈 膝窩動脈 後脛骨動脈 足背動脈
- 問題34
- 解答 2
ヤコビー線は左右の腸骨稜を結んだ線
- 問題35
- 解答 3
長掌筋腱、橈側手根屈筋腱、尺側手根屈筋腱は手関節前面部で触知しやすい腱である。
⇒手根管内を通過しないものであるため。
浅指屈筋腱・深指屈筋腱・長母指屈筋腱は手根管内を通過するために触知しにくい。
- 問題36
- 解答 2
頸動脈三角構成:
顎二腹筋後腹 肩甲舌骨筋上腹 胸鎖乳突筋前縁
如何でしたか。
この問題だけで十分出題しきれていない部分もあります。国家試験の過去問も是非とも実施してみて下さい。昨年度のバックナンバーで今回の部分をしっかりと履修して下さい。次回は解剖学総問題を出題します。
●プロフィール
西村 雅道
医学博士 柔道整復師 鍼灸師 柔道整復師専科教員免許
一社)日本整体協会インストラクター
北斗総合整骨院院長