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第7回公開シンポジウム「未来健康共生社会研究会・専門部会」が開催!

2016/10/16
ヘルシー食品

神奈川県立保健福祉大学学長・中村 丁次氏

中村氏中村氏は、〝数年前に我が国は〝単に長生きするのではなく健康に長生きしよう〟という方針を出し、今都道府県すべて健康寿命の延伸をスローガンにしています。介護の時間を短縮していくことが健康寿命の延伸になります。介護の原因になっているのは生活習慣病で、脳卒中、心臓、糖尿、心疾患、癌等の後遺症で要介護に入っていくことになります。衰弱、骨折、転倒の原因を調べると殆どが瘠せて栄養状態が悪い高齢者が起こしていて、食生活全般が関係していると思われる。つまり健康寿命の延伸の中に食事と栄養がとても大きな役割を果たしている訳です。一方、高齢になるほど著しく増大する介護の要因が衰弱であることが分ってきました。かつて我々は太り過ぎは良くない、メタボ対策で太るな腹八分目に食べろということをずっと言い続けてきましたが、その方向はちょっと問題があり、高齢者の場合、低栄養に考慮しなければいけない。低栄養が死亡と介護のリスクを高めることが分ってきました。今まであまり我々が経験しない特徴的な低栄養をきたすのが高齢者の低栄養です。つまり健康寿命の延伸で第一に考えなければいけないのは生活習慣病にも介護にもならないこと、過剰栄養にも低栄養にもならない。肥満と貧血と低タンパクの両方を解決する、これをサポートする食品がこれからの課題になってくるだろうと思います。もう1つ大事なことは、QOLの高い生活をしながら寿命を維持したいという第2のテーマです。車椅子や杖をつきたくない、体力を維持してやる気を起こしたい。ぐっすり眠り、寝ざめを良くしたい。ものが良く見えるようになりたい、花粉症を治したい。風邪をひきたくない、美味しく楽しく食べたい、肌をうるおしたい、若く美しく情熱的に生きたい等、今の高齢者や中高年は考える訳です。実は今流行りの健康食品は、こういうニーズに応えてくれる食品が物凄く売れている訳です。国は保健機能性食品を以下の様に位置づけました〟等報告し、以下を提示した。

機能性の表示ができる3種類の特徴
  • 栄養機能食品:規格基準型 自己認証加工食品、錠剤カプセル、形状食品
  • 特定保健用食品:個別評価型 国が安全性、有効性を確認
    加工食品
  • 機能性表示食品:届け出制 一定の要件を満たせば事業者責任で表示
    生鮮食品、加工食品、錠剤カプセル
  • 消費者の判断で使用。判断できる消費者にしなければならない。
保健機能食品普及の7つポイント
  • 有効性と安全性に対する科学的エビデンスが存在している。
  • 機能が限定されているので、対象者が必要とする機能改善に合致した機能食品の選択が必要になる。
  • 機能性が発揮できる量と過剰障害が起きない量の範囲内で活用する。
  • 機能性が発揮できる調理法や摂取方法の検討。
  • 収益を上げるのみならず、倫理感を持って研究、開発、普及に努める。
  • 機能性表示食品は、企業責任の基に実施され、消費者自らが判断して使用するので適 正な消費者教育と、専門職の指導・相談が不可欠である。
  • 専門職は、この分野の知識や技術を習得し、最新のデーターを活用する必要がある。

 

予防・健康関連事業の新たな展開と最近の動向

一般社団法人 日本医療経営学会理事長・大道久 氏
(日本大学名誉教授)

大道氏大道氏は〝健康関連事業が非常に盛んで、国策の基本路線との関係があると受け止められます。国家予算が100兆円を超え、ここ数年我が国の税収は、55兆円で、その税収の内、医療費が40兆円を超え、医療と介護で50兆円は深刻な事態です。これらの問題に今後どう対応するか。国レベルで内閣府関係筋では、いくつかの会議が精力的に行われており、経済財政諮問会議において多岐にわたる方向性が示され、新しい切り込みがあった。保険者機能の強化は、かねてからの流れの中で特段に強調、骨太方針15、16でも繰り返されているが、インセンティブ改革が強調されている。日本最高戦略会議の改訂2015、また先般2016が出て、健康寿命の延伸適用度が優先順位に高く取り上げられている。その中で、「健康経営」が意味深げに謳われ、その拡がりが早々に起こっている。既に健康経営を行っている10いくつかの事業者が認定されている。この中で医療介護分野におけるICT化の徹底が極めて不十分だということを再三指摘している。マイナンバー制度を実施した以上は、これを受けた形での情報活用が最高戦略で謳われており、去年謳われて急速に増しているのが遠隔医療である。医者が不十分で偏在している中で何故情報技術を使わないのかということです。遠隔医療については今後の医療分野の情報技術の活用の中でかなりの流れに既になっており、今年春の診療報酬の改定で、遠隔医療について、限られてはいるが適応されたことが重要な起因になっている。一方、医療介護総合確保推進法における介護保険法の改定では、従来の要支援者にたいする個別給付を見直して、民間事業者や関連団体の活動の領域を拡大する地域支援事業に位置付けるなど、市場化の方向が進んだ。また、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた改革が急速に進む中で、「地域包括ケア体制」の整備が基本課題とされ、地域ぐるみの健康確保の取組みの動きが活発化している。昨年、官民一体の国民運動を目指して「日本健康会議」が発足して、前述した各課題の実現に向けた動きが急速である。健康の維持増進に向けた事業者・保険者の取組みも特段に推奨され、「データヘルス」分野の事業化も期待されており、このような背景があり、最近の事業者の動向は活発である〟等、報告。「ロボット関連」、「医療・在宅ICT関連」、「AI(人工知能)関連」、「CCRC・住宅関連」、「データヘルス関連」ストレスチエック制度の創設、「データヘルス・予防サービス見本市2015」、介護予防・在宅関連事業として、「武蔵野総合クリニック練馬」や「スマートシテイ稲毛」等、紹介した。

 

未来医療のロボットとマイクロマシン へそまがり研究のすすめ

東京大学大学院先端科学技術研究センター教授・生田幸士 氏

生田氏20世紀にはCT,MRIなど無侵襲の癌検査や、身体を大きく切らない低侵襲手術など、患者の負担を激減する新概念の医療技術が実用化されてきました。21世紀では、個人の遺伝子や体質に適合した薬で効果的な治療ができるテーラーメイド投薬や再生医療など次世代医療技術が研究されています。さらに看護や介護する人を助ける技術である看護理工学もリブートしました。しかし、これら新しい医工学の実現には、従来技術の改良や拡張では限界となっています。新発想と新原理を原動力とする未来型医工学が不可欠となります。この観点に立ち、バイオナノ・マイクロマシン、新原理メカトロニクス、ミニチュア医用ロボットなど独自の医工学研究を展開してきました。細くて柔軟で体内の微小な隙間を縫って深部組織まで挿入し微細手術を行う遠隔マイクロ手術ロボット、血管内で漏電の危険性無しで深部血管系まで挿入可能な水圧駆動能動カテーテル、内視鏡挿入訓練を目的とした力覚付きバーチャル内視鏡。3次元のマイクロマシン作製法、液滴内で細胞作業する世界最小10ミクロンの光駆動ナノロボットハンド、マイクロスケールでの分析と合成を可能とする化学ICチップ。さらに体内で溶けて吸収される生分解性マイクロマシン、再生医療用の人工毛細血管、ips細胞の肺芽実験用のマイクロデバイスなど、すべて新原理、新発想に基づく医工学です。(以上、抄録より)

生田氏は、〝日本は必ずアメリカの後を20年追いかけ、行政に目ききの方がおられないこともあって、「世界で初めてやった」というと経産省の方が「じゃ日本もがんばらなきゃいけませんね」と目の色が変わります。50年前、ロボットの世界というのは夢がありました。僕の恩師の森政弘というロボット工学の草分けと称されている先生が「人間はシンプルだけど知恵で勝負しないとダメだよ」とよく仰っていました〟等述べ、これまでの研究開発の成功事例、World's first Active Endoscape イーソップ(Conputer Motio社)内視鏡操作用、ダビンチ遠隔内視鏡手術ロボット、ハイパーフィンガー(万博展示要2005年モデル)、マイクロフィンガー(万博展示要2005年モデル)、マスタ・スレーブ駆動、フレキシブルな深部臓器微細手術ロボット、マイクロフィンガーによる多腕内視鏡手術ロボット等を紹介。現在の手術ロボット、研究の大半がヘビ、ミミズ型であると話し、生田教授の新概念マイクロマシンは、二次元構造から三次元構造、素材としてはシリコンからポリマーに、また空間として空中から液中へ、センサーからバイオ医療への応用を行っていく等、未来展望を語った。

 

○第二部では、参加者達が5つの専門分野に分かれて活発な交流会が行われた。

 

 
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