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インターナショナルセッション -世界に羽ばたく柔道整復-

2013/12/01

2013年11月23、24日、東京都江東区にある東京有明医療大学において、『第22回 日本柔道整復接骨医学会学術大会』が開催された。その中から、今回は24日(日)14時半からC 会場(中講義室)で行なわれた『インターナショナルセッション』の模様をピックアップしてお伝えする。

このインターナショナルセッションでは東京有明医療大学・橋本昇教授を座長に迎え、4名の外国人演者による発表の他、演者と橋本氏によるディスカッションが行なわれた。

 

最初の発表者として登壇したモンゴル国立健康科学大学付属医療技術大学・エンフタイワン・トゥブシンバヤル氏は、モンゴルにおける日本伝統治療(柔道整復術)指導者育成・普及プロジェクトの取り組みについて発表。モンゴルの医療システムや同プロジェクトの活動報告の他、モンゴルにおける外傷専門病院でのけがに対する処置の現状、モンゴルの准医師を対象とした柔道整復術の必要性についてのアンケート結果等が報告された。

トゥブシンバヤル氏によれば、モンゴルでは国立外傷専門病院において外傷の応急処置を受けた人達がここ10年間で約2倍となり、それに比例し手術件数も多くなっているという。国立外傷専門病院での手術の内、骨と関節の手術が約7割弱に達することから、柔道整復術を学びきちんとした技術で応急処置の治療をすれば、この手術の数は少なくなるのではないかという持論を展開。日本伝統治療(柔道整復術)指導者育成・普及プロジェクトの一環として地方の准医師302人に行なったアンケート結果では、柔道整復術は地方の医療において必要かという問いに、「とても必要である61%」「必要である39%」との回答者のすべてが柔道整復の必要性を認識。柔道整復を使って処置を施したことで高位医療施設への転院がどのように変化したかという質問に対しては、回答者の約6割が「転院が減少した」と答えたと報告した。

トゥブシンバヤル氏は〝本プロジェクトで准医師学科の学生約550人、地方准医師のべ1000人が柔道整復術の講義を受けた結果、臨床における応急処置の知識、技術が向上した。柔道整復術を学ぶことで観血的療法を減少させ、国の社会保障費にも貢献できる。モンゴルに必要な技術であると感じた〟と述べ発表を締めくくった。

 

次にモンゴル国のガンバートル・フデレムンフ氏が『私が柔道整復師を目指した理由』と題した演題を発表。父親が国際的な柔道家だったフデレムンフ氏は、幼少期から自分もこの場所で試合がしたいと柔道人生をスタートさせる。数々の業績を打ち立てた後、2007年にモンゴル国柔道ナショナルチームメンバーに選出され、翌2008年にはモンゴル選手権で優勝を飾った。しかし連日のハードな練習により腰を痛めていたフデレムンフ氏は、その時にJICA事業でモンゴルに来ていた日本の柔道整復師に腰を治療してもらったことがきっかけで柔道整復師の道を志すこととなった。日本の高等学校卒業後、養成校に入学したフデレムンフ氏は、2012年に国家試験に合格し晴れて柔道整復師の資格を取得。現在は公益社団法人京都府柔道整復師会会員、勤務柔道整復師として日夜、柔道と接骨院業務に励んでいるという。

フデレムンフ氏は〝幼少のころから柔道のみならず色々なスポーツを行なっている友人が肩・腰・膝などのけがに悩まされ、スポーツ医科学の専門家不足から完治せずに志半ばで競技を断念していくのを悔しく思っていた。医療インフラが整備されていないモンゴル国、特に地方では柔道整復の徒手による治療は非常に有用である。その頃から柔道整復師の技術を習得し、外傷に悩むアスリートや地方の外傷患者を助けたいと思っていた。柔道整復をモンゴル国で普及・定着する手助けになりたい。そして私自身ほねつぎの誇りを持って日本での業務を行ないたい〟と『ほねつぎ』としての熱い想いを込め、発表を終えた。

 

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