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東日本大震災から1年 復興への願いを込めて!
【(社)岩手県柔道整復師会会長・及川磨氏】
―ボランティア活動をどのように行えばよいのか、もしこうであれば良いなと思われていることがありましたら教えてください。
やはりマスコミ等でも言われておりますように、災害があった時には瞬間的にみんなワーッと来る、それは反ってパニックになる訳です。ですから、私はこういう大災害の場合は、半年若しくは1年、2年、長期的にローテーションを組んで活動を行ったほうが、細く長く行えると思います。短期的にワーッと被災地に来られても、やれることが限られていますので、どこかでコントロールして行ったほうが、効率的だとは思います。
―1年経った今、もうボランティアは必要ないのでしょうか?それとも来てくれれば有難いのでしょうか。
私は、まだ仮設住宅で生活している人が居る限りは必要だと思います。プライバシーに関して避難所よりは少し良いというだけで、かなり窮屈な生活をしています。仮設住宅が例えば30戸あったら、何日に一回定期的に巡回をして体のケアや運動指導を行う等、そういうボランティア活動があればニーズに応えられると思います。足がないため何処にも行くことが出来ない、そういう被災地の事情もいっぱいあります。介護が必要な高齢者や慢性的な疼痛を抱えている人も大勢います。しかし、交通機関が未だ復旧していないということもありますので、現場に出向くのが良いと思います。岩手県の場合は一番遠いので、交通の便は割と仙台までは良いんですが、仙台からこっちは遠いですし、沿岸部に入るには更に遠いので、岩手県の被災地にはボランティアの方たちも入りにくかったと思います。
―第一次医療として柔整が被災地に入る必要性は感じられましたか?
やはり、感じました。日赤救急センターの先生に講師を頼んで話を聞きましたが、私は第一次の場合でも、ドクターと一緒のチームを組むといいような気がしました。我々は手を出せる分野と手を出せない分野がありますから。また去年の11月に、岩手県の社団の公開講座で救急救命で岩手県を担当したドクターに講演してもらいましたが、感動しました。受入れ体制、指示系統が拙かったと言われていました。この様な災害時の対応策の確立と連携が重要であると切に訴えておられました。現場で私もそのことは感じましたから、その通りだと思いました。3月6日・7日に日赤の報告会が一泊どまりで盛岡で開かれて、当会の事業部長が出席しました。今回の災害だけでは無く、昨年の活動報告ということでしたが、柔整という我々の立場の思いのたけを話して来たとのことで、行政にも間接的には、伝わっていると思われます。
―柔整の先生たちは、通常の業務もそうですが、環境が整わない場所でこそ、力を発揮され、国民のために役立つ医療職だと思います。行政がその辺をしっかり認識することこそが、災害時や緊急時に対して国民を守る有力な手立てであることをもっともっと認識してもらいたいですね。
我々は、遠慮深いということもありますが、やはり少しドクターから引いているようなところがあると思います。インフラやライフラインが絶たれたような場所においては、柔整は相当の力を発揮して頑張りますよ。ドクターを批判する訳ではありませんが、あの方たちはメスや注射器、そして薬があってこそという面がありますので。そういうことが阪神淡路の震災で評価され、認識されたと思っております。また今回の未曾有の大震災においても柔整師の活動をキチッと報告することで、我々が非常時に役に立つ存在であるということを認めていただけるようにしていかなければならないと考えております。福島県立大学の学長である菊地先生の講演で、やはり同じようなお話をされていました。「メスや薬もなかった場合、残ったものがその人の力である」と、あれは我々を元気づけてもらえる話でした。
―岩手県社団で、災害時におけるマニュアルを今後作られるのでしょうか。
震災後、1年が経過しました。我々の活動内容を総括し、将来同じようなことが起きた場合に、対処できるようにしたいと考えています。社団や赤十字奉仕団の連絡網や規則はありますが、現場で真に活用できるマニュアルは必要です。個々が自主的に判断し、活動してくれましたが、コントロールする部署の必要性を強く感じました。
岩手県でこれまで暗黙の了解で行っていたことは、県南がやられた場合には、県北が来て支援活動を行う、沿岸がダメなら内陸に行くとか、こういうやり方でやるので結構出来る訳です。それぐらい岩手県は東西南北に広い。岩手県全体がぐしゃっとやられることは先ず無いので、元気なほうが弱ったほうを助けるということで、何かがある度にそういう形で助け合って来ました。岩手県の土地が広いことは最高のメリットでありますので、その辺を重視して、ローテーションみたいなものを作りたいと話しております。