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第1回「柔道整復師の保険治療とは何か」と題し勉強会が開催される

2012/04/01

本多:
そこでお聞きしたいんですが、捻挫と挫傷と打撲で治療方法に違いがあったら教えてもらいたい。

河野:
打撲の場合は負傷部位がはっきりしていますので安静にして冷やして固定するというパターンです。挫傷の場合はどの筋肉が筋断裂を起こしているのか靱帯断裂を起こしているのか、実際にはわからない。動かしてみて痛いからこの辺の筋肉が損傷しているのではないか、影響を受けているのではないかというふうに推測をする訳です。腰部挫傷といいますが、ついているのは骨盤と股関節と腰椎との筋肉のつながりが主ですから、その可動性のどこが制限されているのかというのを診てそれを解放してあげると痛みが改善する場合が多いです。捻挫は腰椎の何番の変位が特に影響していると、筋力の損傷や筋力低下を起こしているか等をみてこれは腰椎何番の捻挫ではないかという考え方です。固定は行いますが、それを何回か行っていると動けるようになってくるはずです。

菅俣:
私は、保険請求上では打撲と捻挫で、挫傷という言葉は使ったことがなかったのですが、治療上では確実に変えているところがあります。打撲は別として捻挫と挫傷を分けた時に、患者さんの除痛を狙うためにまず冷やすというのはどれも行いますが、アイシングの後、もしくは同時並行で電気治療をする時に狙う場所が違います。電気の入れ方、周波数、使う電気、それとその後の固定の方法にしても、その筋肉にかかるストレスを補ってあげる、もしくは筋肉の働きを補完してあげるようなテーピングを中心とした固定なのか、関節の可動域を確実に固定する目的としてコルセットを重要視していく固定なのか、最初の診断に基づいて多少やり方は変わってきます。

福岡:
捻挫の治療には関節の固定という観念が当然あります。関節の可動域を制限することによって患部の軟部組織の炎症を抑えるという考え方ですが、腰椎や脊椎の場合は上下間の関節までストレスがかかって捻じれがかかってくると、正常な配列から若干逸脱します。関節面の一部が接触を保っているから脱臼ではないので亜脱臼という表現をしていますが、亜脱臼をすることによって腰椎には非常に重要な脊椎の椎間孔という穴がありますが、この椎間孔を圧迫してしまい激痛になるんですね。そういった場合には逆に保存療法としての徒手整復、通常は関節捻挫の場合には大きな整復はしないんですが、椎間関節が亜脱臼を起こしている場合にはその神経圧迫を速やかに取り除いてあげる。これが腰痛を起こしている腰椎が亜脱臼を起こした場合には、ちょっと処置が違います。

本多:
原因や人によって違いもあるかもしれないけれど、捻挫と打撲と挫傷では治癒期間には相当差があるんですか?

福岡:
打撲であれば内出血があります。血管の損傷によりますが大概腫れは2日くらいで治まってきます。例えば打撲でも内出血したものが身体に吸収されるのを早めるために私達が圧迫をする時期は1日、2日は腫れが出てくると、患者さんに説明します。1週間くらいで吸収されながら落ち着いてきます。この辺でいわゆる内出血斑というのは青くなったものが見えてくる。こうなってくると細胞はどんどん修復作用が働いているとみて間違いない。だから5日~1週間くらいで良くなっていきます。挫傷の場合は、深層部の筋の断裂等を含めると非常に期間がマチマチです。多いのが大腿二頭筋という後ろの筋肉が、走ったりするとピシッといきます。これは大体2~3週間は要すると思います。捻挫に関しては、関節をつなぎとめている靱帯を損傷した場合は2カ月かかってしまう場合もありますが簡単なもので1週間と考えます。

荒井:
治癒期間は一般的にですけど、一番打撲が早いのではないでしょうか。次に挫傷、次に捻挫だと思います。何故かというと打撲は患者さんが来たとき、既にぶつけているとわかっているのです。発生起点はご本人がしっかりわかっているし、ある程度痛みが消えてくればもう来ません。次は挫傷ですがこれは体幹或いは腕もそうですが筋肉を痛めることなので、やはり捻挫というのは常日頃使う、特に足関節などは日常生活で固定していてもやはり使うので一般的には捻挫が治癒期間が一番長いと思います。

本多:
はっきりすべり症だとか狭窄症だとか皆さんプロが診てわかるのもあるでしょう。しかし先生方のレベルで病名がつけられない時に先生方はどう対応されるのですか?

荒井:
先ほども申しましたが、患者さんには2つ3つ、そうではないかということでお話をすることと治療経過を観ます。右肩上がりに良くなっていればその治療法であっている。治っても結局どの部位だったかというのはわからないこともありますが、一進一退だとかこれはまずいというものは内科や整形等に診断してもらいます。

諸星:
岩崎さんは、保険を使われないで自費で行っていますよね。先生の場合は鑑別がつきにくい患者さんを如何にしているか教えて頂ければ有難いなと思います。

岩崎:
今、先生方のお話を聞いて私も基本的には同じです。腰痛だったら、我々の出来る徒手の検査的なことは私ももちろんやります。それで半分くらいは病名が出てくる訳ですが、どうしても腰部なら腰部だけという一番痛い主訴の部分だけを聞いていると落とし穴があるのです。いろいろ聞いていると愁訴がいっぱいあるんです。保険で主訴の部分だけ施術してもらえれば患者さんとしては私たちに対する要求はかなったということですが、治す側としては、では腰だけ治療していれば良くなるものばかりなのかというとどうも違う。腰以外へのアプローチも考えていかないといけません。