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(社)茨城県柔道接骨師会・市川会長、「傷病名問題」を語る!

2012/02/01

―今、傷病名問題について明らかにしていきたいと言われ始めたようです。また、柔道整復師法に添った傷病名にしていくと対談で田中威勢夫先生が話されています。柔道整復師法に添った傷病名というのは、どういうものでしょうか?

医師が用いている「腱鞘炎」という疾患名を使うことについては、医師会の理解が必要になってくると思っての発言であると思います。従って個人的見解ではありますが、例えば関節であれば、「関節障害」や「機能障害」といった新たな疾患名を考えていくことが良いのではないかと思います。

 

―根本的な問題の所在が「傷病名問題」に尽きるという捉え方で良いのでしょうか?

先ず始めに、不正請求というのは架空請求や水増し請求のことであり、私はこれ以外にはないと思っています。施術していないものを施術した、施術していないものを付け足す、3日しか来ていないものを5日きましたと水増しすることが所謂不正請求であります。実際に施術を行なって良くなったという患者さんについては、傷病名を振り替えたことによって〝不正である〟とは断定できるものではないと思います。実際に治療して、しかも治っている訳で、どこが不正なのかと私は言いたい。

 

―これまで日整の保険部で市川会長は活躍されてきましたが、日整の保険部では、どういったことに取り組んでこられたのですか?差し支えない範囲で教えてください。

私は平成13年~23年までの10年間、日整の保険部に在籍していました。具体的な活動内容というのは、各県や中央からクレームがついたり、トラブルが発生した場合、様々な諸問題が日整に上がってきます。或いは、我々がどういう問題があるかと聴取・収拾して、その問題を把握した時点で健康保険組合へ直接、私の時には東京都の三橋保険部長、神奈川の吉田会長と私の3人が日整から指示され、日整からの派遣ということで各健康保険組合に伺っていました。随分足繁く何十回も行きました。クレーム等に対し、まずこちらの説明を行って、相手側の説明も聞かせていただき、聞いた上で誤解を解くために、疑問点に関して詳細な説明をして、大半は「わかりました」と理解を得ました。直接話をすることで良い結果が得られます。解り合えるということです。健康保険組合に行くと30軒に1軒くらいは担当者がつっけんどんで「柔整はダメだ」と話も聞かない、頭ごなしの人も確かにいました。しかし8割から9割は「どうぞ」と話を聞いてくれました。要するに、組合員である患者さんが一日も早く職場復帰するように我々は一生懸命治療にあたっている訳ですし、あまり料金のことは言いたくありませんが、柔整のほうが安価であるということです。治療効果が無いのであれば、料金がいくら安価でも仕方が無いが、組合員さんは助かっている訳で、〝どうですか?〟と幹部に尋ねると、〝そうです、助かります〟という話をされます。例えば、肩が凝ったという患者さんがいても、それはデスクワークで、繰り返しの動作により筋肉に傷がついて痛みを起こしているという学術的な論があり、その学術論を説明しながら一つ一つ誤解を解いていった訳です。保険者さんも〝わかりました今回は支給しましょう〟ということで、問題は殆ど解決しました。社団の先生は〝信頼できます〟と言ってくれましたし、そこから信頼関係をもっと構築していきました。やはり話し合いが大事です。面と向かって話をして、こういう動作をするとこういう負荷がかかりますと解剖学から学術論を展開させながら、話をしました。〝患者さんは例えば転んだり、切った貼ったなら怪我したと認識するけれども、患者さんは素人さんだから認識の違いというか、勘違いして間違った回答をする場合もあるのではないですか?〟とも伝えました。保険者さんも医療人ではないため、学術論から話を始めて、噛み砕いた話をさせてもらっていました。

 

―これまで、日整と保険者間の協定においては、問題は起こらなかったと聞いておりますが。

日整の保険部員として健康保険組合に伺っていたのですが、日整の5つの倫理綱領がありますが、その1番に〝柔道整復師の職務に誇りと責任を持ち、仁慈の心を以って人類への奉仕に生涯を貫く〟という文言で、それをしっかり頭に入れ、自らの信念として「人類への奉仕に生涯を貫く」という気持で業界の代表として保険者と話をしてきました。要するに我々の先達がつくった日整という柔整業界でのブランドとしての信用と一人一人の柔整師が医療者としての倫理感を持ち、それを貫き通していく柔整師の魂がある訳です。しかも日整の歴史的背景、バックグラウンドが非常に大きかったから大きな問題は起こらなかったと言っても過言ではないと思います。