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特集

国保中央会の5項目の提言と柔道整復師のこれから

2011/02/01

この5項目が、次のものである。

施術所からの請求方法の統一化
調査の統一化
全国決済制度の導入
疑義請求対策
柔道整復療養費に係るIT化の推進

個々の詳細は他に譲るが、全体としての論点を挙げれば、①~③が確立すれば決算や審査(再審査)がやりやすくなり、適正化されるが、統一する費用の問題が大きい。また都道府県社団と個人契約や他団体のすべてを統一しなければ意味がなく、行政を含めた(または行政主導型)で進めるべきかもしれない。ただ気になることは、「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の一部改正について(平成22年5月24日 保発0524第1号保険局長通知)」により、社団の柔道整復師にも社団以外の柔道整復師にもほぼ同様の申請と取扱いで新たな受領委任契約の継続を認めたことである。もともとどのような形でも柔道整復師が一つにまとまれば、国民医療に対し有益であると考えていた者にとっては、まとまらなくても療養費による施術は継続できると行政の方が認めたとし、今のまま何も変わらなくても良いとなってしまうことに不安を感じるものである。

④については、①~③が適切に成し遂げられ、審査会の権限が明確化かつ強化される必要がある。そしてこれは⑤にも関わるが、現在、医師・歯科医師の保険診療機関(保険薬局も)では、いわゆる電子カルテ化により、領収書と明細書が原則無料での配布が義務付けられている。柔道整復師にも同様の通知(前述の保発0524第1号保険局長通知と同日、保医発0524第3号保険局医療課長通知)が出ているが、電子カルテ化されていないことから、明細書は必要に応じて、かつ費用徴収可となっている。これが将来のIT化で施術所全体に義務化されれば、不正な請求は難しくなる可能性が高い。だが、それには①~③及び⑤の提言が実現されなければならず、多大な労力と費用が必要になるのは事実である。

以前から何度かこの問題については、次のようなことを述べてきた。それは将来的な極端な提案かもしれないが、養成校の激増により、柔道整復師の数が増大し、また技術に乏しい者が療養費の請求を過大にしている。そのため療養費による施術が認められなくなるのではないかとするのなら、国家試験に合格すれば資格は与えなければならないが、保険請求は別に要件を求める。一定のレベルの研修(技術と専門職としての倫理観)と一定期間(2~3年)での更新制度をである。国家試験を難関化するのが難しい以上、その研修のレベルは、柔道整復師界を牽引してきた先達たちが認められるような高さで構わないと考える。療養費の不正請求と不明確さは確実に減少することになる。そして真面目な柔道整復師が報われるためにである。どちらにせよ大変なことかもしれない。

したがって田中常務理事を中心に国保中央会が行った5項目の提言は、このような意味合いを持つ以上、実現には柔道整復師界が一丸となって努力する必要があると考える。ただ必ず理解しなければならないのは、この提言は柔道整復師をただ規制するのが目的ではなく、国民に必要な医療従事者として生き残る道を示しているのである。