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国保中央会の5項目の提言と柔道整復師のこれから

2011/02/01

(2)医療制度改革と柔道整復師

ここで中心的課題とされたのは「良質な医療を提供する体制の確立」であり、医療の質や安全の向上であるが、資格法の改正等、医療従事者自体の質の向上も求めるものであったことは認識しなければならないだろう。

そしてこの医療の質、安全性、医療従事者の質の向上が「良質な医療」であり、医療費の無駄を省き、医療を適正化することで、国の考える国民皆医療制度の永続的な提供という最大の目的へ向かうわけである。これは政権の交代にも揺るがない日本の医療制度の根底と見るべきである。

はたしてこの方向に、つまりは「医療の質、安全性、医療従事者の質の向上」において構築する「良質な医療」に柔道整復師は向かっているのか。これが現時点で検証し改革点を見出すべき論点である。この視点で「国保中央会5項目の提言」を見ると柔道整復師界は大きな舵きりの時期に来ていることがわかる。内部の目で見るより有能な人材が豊富とおもえる業界である以上、舵きりさえ間違わなければ、日本の医療の進む道の中心に位置できるはずである。

 

(3)国保中央会5項目の提言を受けて

従来、都道府県国民健康保険団体連合会は、国保保険者及び後期高齢者医療広域連合(保険者)から柔道整復師の請求に係る審査・支払業務を受託して行なってきたわけだが、その業務は法的根拠に基づくのではなく、委託契約に基づいている。そのため柔道整復療養費の審査・支払業務が十分な機能を果たせていない部分があり、不正請求の温床とされる恐れがあるともいわれてきた。

また、近年柔道整復師の疑義・不正請求の問題もあり、加えて柔道整復師養成専門学校等の増加に伴う結果、柔道整復療養費の申請件数も増加傾向にあり、療養費は年間3484億円(平成20年度)に及んでいる。更に医療機関等は平成23年4月までの診療報酬明細書(レセプト)の原則オンライン化を義務付けられているが、柔道整復師の中では、一部を除けば全体としての方針は示されていない。ただ、日本柔道整復師会のなかにも危機感を持って、早期に進めるべきとの進言をされている方も多々いる。

国保中央会では、こうした状況を踏まえ柔道整復療養費の適正な審査支払いに向けて2009年7月「柔道整復師の施術に係る療養費の審査・支払業務のあり方に関する検討会」(委員長・田中一哉国保中央会理事(現常務理事)以下、田中常務理事とする。)を設置し、10回に及ぶ検討会の結果、柔道整復療養費の適正な審査・支払いに向けて2010年2月26日、報告書を取りまとめ、5項目の提言を発表した訳である。