柔整ホットニュース

特集

国保中央会の5項目の提言と柔道整復師のこれから

2011/02/01

これまで国保中央会の5項目の提言について、業界のオピニオンリーダーといわれる方々に率直にご意見を述べていただいた。そろそろ出尽くした感もある。そこで柔整業界に長年貢献され、陰になり日向になり支えていただき、またご指導を仰いでいる九州保健福祉大学薬学部教授前田和彦氏に総括の意味をこめて『5項目の提言』を通して、今後柔整業界が進むべき方向を指し示していただいた!

 

「国保中央会の5項目の提言と柔道整復師のこれから」

九州保健福祉大学薬学部教授    前田  和彦

 

(1)はじめに-医療の方向性-

本稿は、「国保中央会5項目の提言」を受けて、「これからの医療の中で柔道整復師の将来に何が必要か」、との論点で意見を求められたことに対する筆者なりの考えを述べたものである。

過去においても柔道整復師の将来に対していくつかの考えを述べさせていただいてきたが、今回の国保中央会の5項目の提言について考えを述べるには、この提言を単発で解釈するだけではなく、現在の医療の方向性を含めて論を進めたいとおもう。

現行の医療制度自体がどの方向に向かっているのかは、2005年12月に出された「医療制度改革大綱」に始まり、2006年6月21日に公布された「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」、いわゆる第5次医療法改正による制度改革が柱となっている。そして改正医療法は、国民の医療に対する安心・信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に受けられる体制構築を目指したものであった。その内容は、医療に関する広告制限の見直し、医療計画制度の見直し、在宅医療の推進、地域や診療科による医師偏在問題の是正、医療安全対策のさらなる推進、医療法人制度改革等、広範囲にわたり、また、医療従事者の資質向上については医師法、保健師助産師看護師法等の多数の医療従事者の資格法の改正も含まれている。医療費増大から崩壊への道をどう切り抜けるか、これが医療改革の最大の課題と言えるのである。

 

前のページ 次のページ