柔整ホットニュース

特集

シリーズ第10弾  
国保中央会5項目の提言について業界内外の論客に意見を伺う!

2010/12/01

5.IT化の推進

国は医療の構造改革の一環として医療機関等に対して平成23年4月までにITにより原則オンライン請求または電子媒体による請求を義務付け審査・支払業務の効率化を図っている。柔整領域の申請書による請求もオンライン請求・電子媒体による請求に切り替えていくことが望まれる。
電子請求化による国保連のメリットは入力作業が不要になることで大幅な作業時間と労力の軽減につながる。施術所においても事務の効率化・返戻の減少・支払までの期間短縮につながり、メリットは多い。そのようなことから次の提言をされている。①電子請求を見据えた体制の準備(国保連・施術所・加入団体等)
茨城県では既にIT化への先駆的な取り組みを実践している。国保連、被用者保険、(社)茨城県柔道接骨師会(以下県社団)の3者の協議で同会会員からの請求は電子媒体で請求が行われている。県社団会員は県社団に電話回線やフロッピーディスクで請求データを送付している。システムが未導入の会員は紙媒体で提出し、それを県社団が代行でデータ入力して国保連に申請している。そのような事例を踏まえ、「②柔整師の加入団体による代行請求を含めた検討」を提言している。
現行の制度化で電子請求における課題として申請書に被保険者の署名が必要であるため、電子データと紙との併用になることから両者の内容の食い違いがないか確認が必要となり、被保険者の署名の原本性など課題の解決が必要とされる。また、システム導入の費用、電子データの代行体制の構築など今後の課題が挙げられており、検討していく必要があるとされている。
京都でも京都府国保連合会と社団そして(株)エスエスビーの三者で柔道整復療養費の電子データ化に向けて必要な作業とクリアにしておくべき項目などを検討する勉強会を平成22年7月に立ち上げた。保険者、施術者両者の意見をまとめてシステム的に具現化できるのかをチェックしていく。電子データに必要な情報やレイアウトはもちろん、受領委任払いに必要な「署名(サイン)」についても検討する予定である。

 

5項目提言のまとめ

国民健康保険中央会の5項目提言が現実化され、国保連が統一して支払業務まで受託し、更に柔整審査会が設置された場合には事務処理が統一され、公費負担医療も国保連での支払が可能となり、全国決済制度が導入され、審査支払業務の効率性、正確性、不正請求の防止などにつながる。柔整師にとっても利便性、負担軽減につながる。全体に見て被保険者、保険者、柔整師、審査支払機関にとって大きなメリットになると報告書では強調している。柔整師としてはメリットばかりではなく審査基準の明確化で請求に対する締め付けが厳しくなるのではないかという疑念が出てくるかもしれない。しかし、提言の視点は「より良質な柔整診療が被保険者とその家族に提供される。」というためのものでなければならない。

 

 

◆参考・引用資料◆

「からだサイエンス」2010年4月(91号) からだサイエンス社
「からだサイエンス」2010年6月(92号) からだサイエンス社
京柔整広報誌117号

 

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