柔整ホットニュース

特集

施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その6 外部委託業者問題とは?―

2010/11/16

【質問6】患者照会を送ったのに患者から返答がないために「返戻」となり、柔整師が不利になる、そういう時はどんな対応をされているのか?

可能な限り、当該の会員から受診者へアプローチすることを促しています。
しかし、すでに来院が終了した場合において、完全な治癒の転帰を得た施術ばかりであるとは言い切れず、やはり人様の運動器的な損傷を治療の根拠としている私達の非常にデリーケートな部分も避けきれないジレンマを痛感するシーンもございます。
医療職の中でも特に受診者との信頼関係構築を得意として来た柔整師であることを再認識した業務遂行が大切であると考えます。

 

【質問7】保険者からの返戻理由と民間調査会社からの返戻理由は、かなり異なるようですが、そのことに関してどのように受け止めていらっしゃいますか。

本会において保険担当に就いた当初、返戻事案に係る保険者との交渉や相談については相互理解を感じる部分があったように思えますが、昨今あまりにも柔道整復師の信頼を失墜する不正事実=犯罪行為が散見されるようになり、「保険者判断」を盾に対応を進めようとされる場合があります。

返戻屋との交渉ではマニュアル化されたような対応ですから、受診者保護を第一とした意思疎通とは言えない例が殆どです。

 

【質問8】民間調査会社の実態をどう思われますか?

我々柔道整復業界に縁のある業者の中には、利益を追求しつつも柔道整復業界の隆盛を願いつつ、自らの会社も良貨的潤いを社是とする会社もあります。
甘い夢だと一蹴されるでしょうが、返戻業務会社、あるいは保険者も行政も含めて日本独自の伝統である柔道整復の存続=国民保護を観点として、互いに両翼となれる位置関係を結べたら良いと愚考しています。

当然、私達柔道整復師も襟を正した、真摯な活動を展開しなければなりません。

 

【質問9】保険者さんの狙いは、明らかに安上がりにしたいということであるように思われますが、同じ感想でしょうか?

医科による現物給付を対象とした算定に比べ、未だにペーパーベースでの申請作業が主であり、人的作業では苦慮しやすいであろう柔整療養費申請書への対応を外部委託に委ねるという理由は確かにはうなずける部分があるように思えます。 結果として、安易にコスト削減となるのでしょう。

 

【質問10】患者照会の調査が、個人情報の漏洩や、医師・柔整師の守秘義務をおかしているのではないかといった問題が浮き彫りになりました。そのことについても、どう思われるか率直な意見を述べていただきたい。

保険者としては受診の内容を把握できる立場にあって当然であり、疑義ある請求に対する調査や支給決定は正当な業務であります。
しかし、保険者と返戻屋が緻密に委託内容を確約してあると仮定しても、返戻に係る業務の殆どは人権にも抵触する重大な問題をはらんでいると言えます。
返戻屋の事業は、受診者保護では無く営利追求であると捉えれば、保険者の代行と言った部分について、法的な囲いを確保している可能性が高いと思われます。
返戻屋としてのスタンスから個人情報の確認をなすことは違法とされても、健康保険組合理事長名によって行われる受診者調査活動等は容認されるとした行政判断もあり、まさにグレーとも言えるスペースが存在するようです。