柔整ホットニュース

特集

施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その6 外部委託業者問題とは?―

2010/11/16
社団法人 奈良県柔道整復師会保険部長・米田博伸氏に聞く!!

【質問1】返戻レセプトの割合について、全体のレセプトの内、返戻が約何パーセント位で、その中に民間調査会社からの返戻は、どの位であったか?できれば過去と比較していただきたい。次に5年前頃から民間に委託する保険組合が徐々に増え始めたと思われるが、その実態をお聞きしたい。

返戻数について
奈良県社団における返戻数は3年前に比較して、返戻件数は全体に増加傾向にあります。月別では平均で1.3 %です。
外部委託会社の変更は、ガリバーインターナショナル(保険管理センター)とコアジャパン(療養費点検センター)との2社間で相互に変更された事例が見られます。
理由として、両社におけるシェア争いが思慮されます。
※ガリバー⇒コアジャパン、コアジャパン⇒ガリバー
委託業者の中で返戻数が多かった順など
柔整療養費支給申請書返戻事案の殆どは保険者からの直接返戻では無く、①ガリバーインターナショナル(保険管理センター)、②コアジャパン(療養費点検センター)、③大正オーディット(健康保険事務センター)、④ディアシステム(療養費点検センター)の順に外部委託会社による返戻が多数を占めています。
外部委託会社の参入により、返戻件数としては増加傾向にあることは間違いありません。
過去と比較して顕著になっていることなど
コアジャパンやディアシステム(どちらも療養費点検センター)の参入後から、ガリバーインターナショナル(以下ガリバーと略す)による返戻件数は明らかに増加しています。
返戻理由の記述内容も、詳細化しつつあるようです。
その理由や原因について推察できること
ガリバーの事業参入開始当初は、一定の請求金額の基準を超えた請求例に対して、いわゆる受診者照会・患者調査の対象としていたようですが、昨今では一律に返戻業務システムのキャパ限度までを照会・調査業務の対象としているのではないかと推察しています。
返戻理由として多いのは?
ガリバーのみならず、返戻理由としての最多は「施術部位の相違」で、全体の80%です。
その他として、協定外施術、内的要因、業務災害の可能性の順で理由記載されています。
対応策について
受領委任を担保すると言っても過言ではない柔道整復師への信頼構築を旨として、徹底的なカルテ記載と整理、並びに適正な施術と算定を励行するように会員指導を行っています。
保険部としましては、返戻事案に対する会員からの事情聴取とカルテ記載確認を実施し、それらの事実内容を記載した書面を添えて、返戻申請書の再提出を行っています。
 

 

【質問2】大量に患者照会をして、患者さんと施術者の食い違いをみつけて返戻し、再請求をしないことを期待し、コスト削減につなげているということも聞かれましたが、そのような実感を持たれていますか?

外部委託会社の事業姿勢に関して、返戻事案内容から察すると、まさに「返戻屋」と言える事業展開ではないでしょうか?

受診者並びに柔道整復師に対して、適切な算定と施術を励行するように啓蒙し、あくまでも柔整療養費の基本の第一である“受診者保護”の観点をベースとした事業を社是としているのではなく、単なるビジネスとして営利追求が基本であるかのような返戻作業の継続であると感じています。
当然、返戻屋は営利企業ですから、営利第一主義であろうことは否定できない事実です。

 

 

前のページ 次のページ