柔整ホットニュース

特集

施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その6 外部委託業者問題とは?―

2010/11/16

【質問3】民間調査会社の手法について何か異なるものを感じていらっしゃいますか?

保険者との直接交渉では、仮に請求が保留あるいは否定された場合においても我々社団法人の保険担当者と保険者サイドの担当者の間には意思疎通が図られ、やはり受診者保護を基本とした双方の立場が感じられます。
しかし返戻屋による手法は、受診者照会・受診者調査の結果と柔整療養費支給申請書(以下申請書と略す)内容が単に整合しないという理由だけで機械的に(システム的に)返戻を行っているようです。

また、協定を締結している社団法人の保険担当者が返戻理由に基づき、会員調査を行った事実の内容を記載した書面を添えて再提出を行いましても、これを拒否する手法がとられる場合があり、この手法は特に「受領委任」そのものを否定する行為です。

申請書には、受領委任の証である治療(施術)~請求行為までを包括した同意によって、受診者による申請書への包括的委任署名を頂いている訳です。(この方式は“推定的同意”とも例えられるが“白紙委任”などと低俗表現をする無知者も存在)
しかし、返戻申請書の再提出に際して、受診者が自らの照会・調査への回答誤りを表した上に、再び署名を求めると言う手法が取られ始めています。

つまり、受診者が照会・調査の回答書に誤った回答をした結果、支給申請書との内容不整合が生じて返戻対象となった場合の再提出については、申請書摘要欄へ受診者によるまるでお詫びを強制されているかの如く、「回答書へ誤回答を致しました、柔整太郎」と記載するか或いは、カルテや問診票の写しを添えないと再提出が受理されないと言う内容です。
不正=犯罪に関わるようなハイレベルな疑義事案ならともかく、柔整医療を理解されていない受診者が単に誤回答をしただけで返戻対象となり、その再提出には新たに受診者の署名記載を申請書摘要欄に求められるのです。

柔道整復師と受診者の間では、すでに包括的な推定的同意による委任が実行されている受領委任の取り扱いに対して、安易に錆びた釘を打たれているようなものです。

通院が終了した受診者や様々な理由により来院が途絶えた場合もあります。
その都度、受診者へ連絡を行い再び署名をいただくか、或いはカルテの写し等を提出することなどを求めてきています。

単純な誤回答による不整合を偶発的に生じただけで受領委任を否定するような対応を要求し、或いは個人情報を軽々しく公開するような方向へ進めても良いものなのでしょうか?
カルテには当該の関連事項のみならず、様々な情報が含まれている場合も少なくありません。
誤回答を促すような照会・調査文書 ⇒ 返戻 ⇒ 再署名(又はカルテ写し提出)この一連の行為は、明らかに受領委任の取り扱い協定ルールから、返戻屋の一方的な逸脱行為と言えるのではないでしょうか?

(柔整ホットニュースが独自に入手した、関連資料はこちら

 

【質問4】調査の目的が正しい請求かどうかであっても、結果は受診抑制につながっているという実態。保険財政の悪化から医療費抑制という視点で、むしろ受診抑制をねらっているのではないのかと思われますが、奈良県社団では、どのように受け止めていますか。会のスタンス等について話してください。

これまでの回答と重複しますが、返戻屋の事業目的は返戻です。
いわゆる申請書の疑義返戻では無く、柔整医療に関しては素人である受診者回答との不整合だけを根拠として返戻される訳ですから、また受診者に回答を促す書面や柔道整復を受診する際の説明リーフレットの記載内容からも明らかな受診抑制であると言えます。
加えて、執拗とも言える受診者照会・受診者調査は営業妨害とも受け止められるのではないでしょうか? 

柔整関係者の皆さんは、受診者へ送付される照会・調査書面をご覧になられていると拝察しますが、受診後(通院後)数か月の時間差を経て、詰問的とも受け止められる各設問の内容は、あたかも誤回答を期待しているかのようなレイアウトであると思われます。
奈良県社団執行部としての受け止めは、私達柔道整復師が特例的に認められて今日に至っている受領委任の事実を真摯に受け止めておりますので、適切な施術と算定に対抗して行われる返戻については、悪意すら垣間見える事業であると認識しています。

 

【質問5】社団が「狙い撃ち」されている感があり、また全柔協さんの会員によると〝ウチは返戻なんか一件も無い〟と話されているそうです。この違いについて、どのように思われますか。

本県での返戻件数で言えば、トップであるガリバーは全柔協系であると聞き及んでいます。
これが事実であるならば、全柔協に所属される柔道整復師の申請書を保護し、他の団体に所属する或いは個人で業務される柔道整復師をターゲットにすることは考えたくはありませんが、予測されることではないでしょうか?

他の返戻屋も「正しい柔道整復受診の啓蒙」を第一に業務遂行していただきたいものです。
不適切な表現ですが、我々は食い物にされていると言っても過言ではありませんね。
ただ、ガリバーについて申しますと、奈良県では私達保険担当者による会員調査の結果に対して、素直に理解をいただいているようです。
申請書の再提出にあたり、会員のカルテ調査の結果等事実の内容を添えることで受理されています。