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5項目の提言の早期実現へ『行政と業界全体で対応』
「④疑義請求対策」について。現在、柔道整復師の不正請求事件が時折報道されており問題化しております。有る意味では、正しい業務を行なっている接骨院や整骨院もそうした眼で見られがちのように感じ、大きな課題が存在するように思います。そこで、今後の疑義請求への取り組みの方向性や内容について詳しくお聞かせください。
1つは疑義請求に関しての照会する仕組みが、キチンとされていない。これについても療養費払いということに起因すると思います。ただし柔整師の先生達は、この療養費払いについて〝本来であるならば10割全部料金をもらって被保険者本人が保険者に請求する話であり、だから料金は全部もらえる〟といった若干間違った理解をされているのかもしれません。其処に査定等が入る余地はないのではないかといった認識が恐らくあるのではないかという気がします。現物給付と同じように施術したことの請求書をもらって、その中味を見ることによって、これはおかしいのではということが発生する訳です。当然被保険者は何を治療してもらったかが明記されている領収書をもらってくれば良い訳です。この請求書の内容が保険医療として本当に適切かどうかという判断は、保険者が本来やらなければいけないことなんです。
一般医科の場合は、国保連合会に一任しています。それと同じことを療養費払いについても国保連合会に任せているというだけの話なんです。保険者は所謂療養費払いであれ、療養費払いの対象になった治療行為が施術料金として定められている内容に適しているかどうかを当然チェックしなければいけないのです。そして、それを国保連合会が代わってチェックしているだけなんですが、審査する上でおかしいと思われる請求書の調査に関して、現実問題として非常に難しい要素がある訳です。つまり、疑義に対して、現在は必ずしも明確ではないので、通知の中に審査委員会の権限をキチンと位置づける、或いは保険者と国保連合会の審査の契約条文をキチンと記す等、そういったところの見直しが必要であると考えます。また疑義はあったとしても、不正というのは本当に一握りの人達です。この不正があることによって業界全体が、いかにも不正をやっているような印象を与えられることになりますから、勿論業界自体も自助努力をしなければいけませんが、制度そのものを設計している行政もそういったことが発生しないシステムをキチッと作らなければいけないと思います。其処を曖昧にしているから、法の網の目をくぐるようなことも起きてくるわけで、網の目をゼロにしろとは言わないけれども、其処は不正が発生しないようなシステムをキチンと作るということは、やはり制度設計をする行政の大きな役割ではなかろうかと私は思います。
「⑤柔道整復療養費に係るIT化の推進」について。現在のところ、茨城県社団がIT化に取り組まれているということですが、その取り組みの中でどのような問題が発生しているのか、その問題はどのように解決が図られそうなのか、柔道整復師側、また保険者側それぞれの課題と解決方法について具体的に踏み込んで教えてください。
目下一般医科が平成23年4月からの原則オンライン化ということで国は推進しており、それは審査機関からみると、総てオンライン化に合わせた審査体制をとろうとしている訳です。そういう中で柔整だけが用紙で出されたのでは、審査業務が非常に非効率になってしまいます。しかも国保連合会なり審査機関の費用(手数料)は保険者負担です。保険者の経費負担の面を考えても、柔整の請求業務においても社会全体の動きに合わせた対応をしていただきたいとして、国保連合会の審査業務の中でも構築していきたいということです。よく言われるところの署名の問題については、現実に請求する方法や手段がオンライン化の流れになった時に、署名に代替するのには何が必要であるかについて当然議論されます。今は、ペーパーだから署名するようになっているだけの話で、オンライン化にあたって、それに代わる知恵、別の形のモノが絶対出てきます。所謂ペーパーの時代のサインを生かしたまま、IT化時代の現在もまだそれをやれというのは非常にナンセンスで、そうではないのです。署名欄というのは相当時代遅れです。何かあった時に確認するための材料を手元に持っておくということで良いのです。何故サインが必要なのか、其処をキチンと理解してさえいれば、そういった事態になった時にどう対応したら良いかが自ずから見えてくる筈です。現状に余りにも固執して改革や効率化が疎外されるというのは、本末転倒のように思われます。
以上、5項目の提言を厚労省に直に出向かれ提出されたそうですが、厚労省の反応と日本柔道整復師会の反応をお聞かせください。
厚生労働省はこういった保険者サイドからの意見といいますか取りまとめについては〝要望の趣旨はよく理解いたしました〟ということでした。私が日整を始め業界の方々に期待したいことは、こういった保険者サイドからの提言を十分理解していただき、業界として対応できる事項については積極的に対応していただきたいということです。このことは、ひいては柔整業界全体の評価、医療保険者サイドからの評価や患者からみての評価といったものに繋がっていくのではないかと私は考えますので、是非出来ることは対応していただきたい。更にいえば、これは柔整業界全体の問題でありますから、柔整業界全体で対応していただくのがベストです。そのことを強くお願いしたいと思っています。