柔整ホットニュース
特集
5項目の提言の早期実現へ『行政と業界全体で対応』
2010年4月13日、柔道整復療養費の適正な審査支払いへ向けて厚生労働省に国保中央会常務理事・田中一哉氏は、施術所からの請求方法の統一化など5項目の早期実現を直接要望した。
今後の柔整業界の行く末を左右する重要事項であるため、田中一哉氏に自らの言葉で分かりやすく答えていただいた。
将来に向けて柔整業界を磐石なものにしていくにあたって、田中一哉氏は、なくてはならない最も重要な人物の一人である。
昨年の7月に「柔道整復師の施術に係る療養費の審査・支払業務のあり方に関する検討会」を立ち上げられた目的や趣旨、また報告書が纏められるまでの経緯を、簡単にお聞かせください。
そもそもこういう検討会を立ち上げた背景には、1つは私自身、長い間の関係の中で柔整師業界全体のことについて、様々な問題点、課題があるということを承知していたということです。もう1つは、そういった問題点・課題というものをより良き方向で解決することが必要であると思ったからです。そのために私のほうで出来ることは、つまり我々の組織が柔整療養費の審査・支払いを行っているわけですから、その業務の視点から、問題点・課題等を整理し、解決に繋げられないかとして検討を始めました。ただし、これらについては単に審査・支払いの在り方をどうして欲しいという視点だけではなく、柔整業界が抱える様々な問題点というものはこういったことを契機に改善し、国民の柔整師に対する認識を変え、今の流れを良い方向に変えていくことが出来るのではないかといった意図もありました。
検討会のメンバーは、我々47県の国保連合会組織のブロックの代表事務局長8名と、柔整師業界のご意見も十分反映させなければならない、また実態も知りたいということで、日整社団の方だけでしたが、4名の方にご参加いただきました。やはり、法令に関する問題にも触れるということで、厚生労働省の政策官僚を経験された江口先生に入って頂きました。そういったことで、20年の7月から21年の9月まで10回開催し、それについてとりまとめた報告書を、本年4月13日、厚生労働省・外口崇保険局長をはじめ、唐澤剛審議官、佐藤敏信医療課長、伊藤善典国保課長に面会し、不統一な支給申請書の請求様式、施術機関コードの未整備、全国決済制度の未導入など、柔整療養費の適正な審査支払いに際して現状の問題となっている点の解消を強く求め、トラブルがあった場合の処理が大変になるなど趣旨を説明し、要望いたしました。
「①施術所からの請求方法の統一化」について。この「申請書等様式の統一」、あるいは「複数月請求の廃止」などは、いったい何が導入の妨げ、あるいはネックになっているのでしょうか?また推進する必要性を再度お聞かせください。
この質問については報告書の中に総て問題点なり課題や実態は全部取り上げていますから、報告書を読んで正確に理解していただくのが一番ではありますが、要するに請求方法が統一化されていないこと、つまり「様式が不統一」であることの最大の問題は、審査機関から見ると、非常に審査に手間がかかり非効率であるということです。私が常々言っていることは、日本の皆保険体制というものの根幹をなすのは、やはり病院・診療所等の一般医療です。この一般医科の請求様式はキチンと統一されているのです。一般医科の様式が統一されているのに所謂柔整師の世界が野放しになっている今の状況は、何故そうなっているのかということが問題な訳です。国保連合会が審査を遂行する上で、やはり様式が統一化されていないことは業務処理上、不都合が多いということであり、従って先ず其処をしっかり改めてくださいということです。又、複数月の請求の問題点は何かというと、現在医療費というものは、高額療養費等そういった個人負担の算定がいろいろ出てくる中で、複数月に跨ってしまうと、本来単月単位のものを例えば3月で10万といった料金を割ると3万3333円で1円が残ります。この1円の処理が滅茶苦茶難しい。公金というのは総てゼロにしなければいけない世界ですから、複数月というのは事務処理が非常に難しい。繰り返しになりますが、請求処理用紙の不統一や複数月の請求というものは、国保連合会の事務処理上、非効率的な要素が多いということです。どうして柔整業界が一般医科と同じ様にちゃんとした様式に特化されて来なかったのか。その最大の理由は柔整業界の業務内容のおおよそのことが通知行政だからです。しかも通知の中で殆どが〝原則はこうである。ただし順ずることが出来る〟と、これがあまりにも多過ぎます。「様式の統一」もその1つです。つまり、通知内容をキチンと見直しをしてもらいたいということです。