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国保中央会  適正な請求支払いへ  5項目の提言

2010/04/01

2)審査の統一化

申請書の審査は「協定書」や「受領委任の取扱規程」の中で、「知事は柔道整復療養費審査委員会(柔道整復師審査会)の設置ができる」と定められているが、現時点で10国保連に設置がなく、国保連合会では、都道府県知事と全国健康保険協会支部長との協議に基づき、全国健康保険協会支部の審査委員会への審査委託や、合同審査を実施している。

①算定基準(審査基準)、②柔道整復審査会の権限の法的位置付けの明確化
現在、申請書は、提出先が統一されていないばかりか、極端に言えば47都道府県が別々の基準で審査しており、施術所からみても結果が必ずしも同一とならない点について、納得し難いといった意見もある。

更に柔道整復療養費の審査基準や記載内容が、療養の給付のように詳細でなく、申請書の施術内容の確認を行っている国保連合会では、効果的な事務共助が実施しにくいという問題も抱え、報告書では「現在の法的位置づけでは審査支払い機関として十分な機能は発揮できない」として審査基準を明確にすることを求めている。

更に大きな問題として、柔道整復療養費の審査業務の委託や柔道整復審査会の設置は、「協定書」や「受領委任の取扱規程」の中では審査業務を委託することができると記載されてはいるが、支払業務については委託への言及がない。

そのため国保連合会が審査・支払業務を委託されている場合、委託の根拠は保険者と国保連の契約書(委託書)によっており、しかも支給決定権は「保険者」にあると明示され、支給決定権を含めた支払い業務を国保連に委託できるのかどうか、明確になっていない問題がある。

その結果として疑義請求に対して各県審査会は「査定を控え」たり、また「支給決定権がない」などの対応が24国保連に及んでいる。「査定を控え」ている理由については、「返戻で対応している」「査定基準の設定が困難」「柔道整復審査会の権限のあり方に原因がある」という国保連合会もある。

また「支給決定権がない」ことの問題点としては、資格等の過誤による調整金が発生した場合に、相殺計算している国保連合会もあるが、支給決定権をもたない国保連合会が過誤調整すること自体が違法との認識をもつ一部の柔道整復師もあり、理解を得難いといった間題もある。

そこで報告書では、柔道整復審査会の権限の法的位置づけを明確化することを提言している。

③審査委員選出基準の明確化
柔道整復療養費審査委員会の委員構成は、「保険者代表」、「学識経験者」、「施術担当者代表」の3者の各同数で構成され、国保連合会理事長等により委嘱されている。

特に「施術担当者代表」と「保険者代表」は必ず同数とすることが記載されているが、全ての都道府県において必ずしもこの基準に合致している構成となっていない。国保連合会毎に審査件数に必要な委員数を勘案した結果であるといった理由が挙げられているが、この基準も提言では明確化を求めている。

3)全国決済制度の導入

国保連合会は、現在、全ての市町村国保保険者から柔道整復療養費の審査・支払に関する業務を受託しているが、その範囲は様々で「[B]=審査のみ受託4」「[C]=審査及び支払業務を受託11」「[D]=審査、支払及び資格確認業務を受託32連合会」で、更に同じ県であっても社団と社団外で異なる対応など事務処理が複雑となっている。
(下表)
市町村国保保険者からの審査・支払業務受託状況
(平成20年6月1日時点)

※1・・・社団外は審査のみ委託
※2・・・3保険者が審査及び支払業務まで委託
※3・・・30保険者が資格確認まで委託

[A]=都道府県国保連合会

[A] [B] [C] [D] [A] [B] [C] [D]
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(※1)
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(※3)
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(※1)
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(※1)
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(※1)
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宮崎県
(※2)
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11
32