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国保中央会 適正な請求支払いへ 5項目の提言
国保中央会は、柔道整復療養費の適正な審査・支払いに向けて今年2月26日、報告書を取りまとめ5項目の提言を発表した。
都道府県国民健康保険団体連合会は、国保保険者及び後期高齢者医療広域連合(保険者)から柔道整復師の請求に係る審査・支払業務を受託し行なって来ているが、それは法的根拠に基づくのではなく委託契約に基づいている。そのため柔道整復療養費の審査・支払業務が十分な機能を果たせていない。
また近年柔道整復師の疑義・不正請求の問題もあり、加えて柔道整復師養成専門学校等の増加に伴う柔道整復師数、施術所数の増加、その結果、柔道整復療養費の申請件数も増加傾向にあり療養費は年間3,377億円(19年度)に及んでいる。
更に医療機関等は平成23年4月までの診療報酬明細書(レセプト)の原則オンライン化を義務付けられているが、柔道整復ではその方針は示されていない。
国保中央会では、こうした状況を踏まえ柔道整復療養費の適正な審査支払いに向けて昨年7月「柔道整復師の施術に係る療養費の審査・支払業務のあり方に関する検討会」(委員長・田中一哉国保中央会理事)を設置し、これまで10回にわたり検討を重ねてきた。
国保中央会では、この5項目の提言の実現により、保険者や柔道整復師の請求・支払いの円滑化や利便性を図ると同時に、審査・支払業務の効率化を進め、さらには疑義・不正請求の防止にも役立ち、それによって柔道整復師の施術への国民のより一層の信頼確保につながるとして、この報告書を厚労省に提出している。
一方、厚労省はこれを受け保険者等との協議を進めていく意向を示している。
5項目の提言
1)施術所からの請求方式の統一化
①申請書等様式の統一
②支払先等届出制の導入
③施術機関コードの新設
④複数月請求の廃止
⑤請求締切日の明確化
2)審査の統一化
①算定基準(審査基準)の明確化
②柔整審査会の権限の法的位置付けの明確化
③審査委員選出基準の明確化
3)全国決済制度の導入
①全国決済制度の導入に向けた事務処理体制の整備
②保険者から国保連合会への審査・支払義務の委託範囲の統一
4)疑義請求対策について
①審査時に生じた疑義に対する照会体制の整備
②保険者における体制の整備
5)柔道整復療養費に係るIT化の推進
①電子請求化を見据えた体制の整備(国保連合会・施術所・加入団体等)
②柔整師の加入団体等による代行請求を含めた検討
1)施術所からの請求方式の統一化
①申請書等様式の統一に対する提言理由
申請書等様式は、「受領委任の取扱規定」の中で「準ずる」との記載のため給付割合や被保険者の性別、公費負担者番号等が整備されていないなど記載のない項目があり統一されていない。同様に、申請書に添付する総括票も不統一である。このため、申請書等に対する補記・補筆作業に手間がかかっている。
②支払先等届出制の導入に対する提言理由
特に県外施術所からの請求などは、支払先の口座番号等を過去の記録から登録している国保連合会であっても、申請書一枚毎の確認作業が必要になり大きな負担が生じている。
③施術機関コードの新設に対する提言理由
地方厚生(支)局が柔道整復師毎に管理・付番している登録記号番号はあるが、医療機関コード番号に相当する「施術機関コード番号」が整備されておらず、現在は申請書一枚ごとの確認作業が必要となっている。
④複数月請求の廃止に対する提言理由
申請書は、現在「受領委任の取扱規程」に複数月請求が容認されているため、月単位と複数月の申請書が混在している。また複数月単位の申請方法では、適正な審査業務、高額療養費の算定にあたって請求金額を月単位に分割する際に生じる端数の調整及び統計資料の作成に困難が生じている。
⑤請求締切日の明確化に対する提言理由
請求締切日は毎月10日としている。しかし締切日を過ぎての送付が散見され、国保連合会では翌月まで取扱いに注意して保管する必要が生じている。