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日本柔道整復接骨医学会社会医療分科会・日本社会医療学会東京部会合同研究会が開催!
医療は専門家たるべき医療専門職によって担われてきた。医師等は患者をはじめ、広く社会の信頼を得ることで治療をし、危険を伴う手術に際しても、その信頼の中で医療を行う存在であった。現在の日本医療の問題点は、医療保険の財政危機だけではなく、医師をはじめ医療従事者への信頼が喪失されていることにある。たとえ医療従事者には何の落ち度がなかったとしても、従来の医療従事者への信頼関係が崩れ始めた現代医療において、何もせずとも信頼を勝ち取るということは困難といわねばならない。
生命倫理の登場は、この医療の危機に対応する一つの表れではあったが、もとよりこれは基本的に道徳領域に属するものであり、これと平行して、一定程度の法的規制もやむを得ないものとして強化される傾向にある。度重なる医療過誤による医事紛争の頻度などは、医療関係者の当事者能力の欠如を物語るものといえる。その意味で、一方の支えであった倫理・道徳の力の低下が否めないとするならば、もう一方の力である法の支えが相対的に強まることは必定であろう。
これまでの医療は、医師および医療従事者の内なる自主・自律的な規制である倫理規範によって支えられてきた面が大であった。そして、その崇高な理念である倫理規範の故に、彼らは患者から、また社会から全幅の信頼を寄せられてきたのであった。しかし、かつて自明とされた医療機関、医療従事者への信頼感が崩れ、また、旧態依然たる倫理綱領のみでは十分に事態に対応しきれなくなったのも事実である。ある程度の法の規制は必要であろう。
しかし、だからといって医療関係者側の自主・自律的な倫理規範が軽んじられてはならない。また、その倫理規範に代わって、法が第一義的に考えられたり、法規制が一人歩きするかたちで強化されることは、医療の委縮を呼び起こしかねないからである。医療における法と道徳の関係は、どちらも合理的・相互補完的に機能することが望ましいのであり、それによって、目的とするところの医療の適正と安全が保持されると考えるべきである。ここに生命倫理の必要性が期待されることになる。しかし自主・自立とはいえど、医療は医療全体に及ぶ倫理観だけで共通認識的に解決するのは難しく、患者個人の価値観や人生観に大きく影響されるものである。このことを理解した上で両者の有益な到達点を目指すべきである。
医療従事者に必要な倫理観とは、ただ身に付くようなものではなく、倫理教育(「生命倫理学」、「医療倫理学」等)をしっかりと取り入れていき、卒後研修にも取り入れるなど、明確な倫理教育を行うことで身につくものである。これにより国民医療の中核をなし得ることが可能となり、生命倫理に対する専門的認識を持つことで、はじめて患者から信頼を得られる医療となるのは、専門職にとって自明のことでありたい。 柔道整復師の柔道整復師たるということが第一義的であり、其処に専門職としての倫理観があり、医療従事者としての必要性が認められる。柔道整復師がちゃんと国民医療の中枢に座れることを期待し、それだけの責任があると思っている。
(文責・編集部)