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第15回日本統合医療学会が埼玉県大宮ソニックシティで開催!
「災害支援としてアロマセラピーを行う意味について考える」
日本アロマセラピー学会・徳田眞理子氏
徳田氏は、東日本におけるアロマ支援の内容を報告。気仙沼へアロマ物資の支援。直後~2ヶ月、避難所におけるラベンダーサシェの配布。精神的ケア・ストレス緩和。不眠、身体的不調の緩和。匂いの問題。具体的支援方法の提案。避難所におけるアロマトリートメントの提供。産婦人科へのアロマトリートメント・福島。被災者に対するコミュニケーションにおいて知識・心構えが必要ではないか。医療従事者、被災地住民、支援者を対象に対象部位を問わず環境に応じて行った。医療施設のフロアを借りて行うため、医療連携が必要。目に見えるものも目に見えないものも継続して支援を行う。大きな施設でも問題があるが、仮設住宅に入ってしまうとプライバシーの問題もあり困難であった。課題、①被災地へどう溶け込むか②アロマの普及③心のケアの一環としてアロマをどう取り入れていくか。医療体系の構築を今後考えていく。また、アロマの支援に行ったが、現地では側溝のどろかきのほうが喜ばれるという現実に直面したことも報告。
「カイロプラクティックを用いた健康維持」
日本ドクター・オブ・カイロプラクティック協会・但木澄子氏
但木氏は、カイロプラクティックは日本で法制化されていないため、支援を公に出来ない状況にあった。団体としての支援の報告が出来ないのが残念である。エネルギーの消費をしない、広い場所を必要としない、治療台や用具等がなくてもできる、薬品も必要としない。サブラクセーションをアジャストメントで直す。神経に悪影響を及ぼしている脊椎や骨盤のずれ、自分自身が持っている最大限の能力を活かす、筋骨格系のバランスを整える等、被災地でのカイロプラクティックの有用性と役割、可能性について話した。先進国で法制化されていないのは日本だけである。それが今回の震災の足かせにもなった。健康な体のメンテナンスが大事であると訴えた。
「東日本大震災における柔道整復師のボランティア活動報告」
明治国際医療大学保健医療学部柔道整復学科教授
公益社団法人日本柔道整復師会 長尾淳彦氏
長尾氏は講演で、まず「柔道整復師とは?」として、昔から「ほねつぎ」「接骨師」として広く知られ現在では主に「接骨院」「整骨院」で治療を行う人を「柔道整復師」という。柔道整復師は、高校卒業後、厚生労働省が許可した養成施設(三年間以上修学)か文部科学省の許可した四年制大学で修学し国家試験に合格すると「厚生労働大臣免許」が与えられると柔道整復師の資格について説明。
次に柔道整復の歴史を簡単に紹介、柔整養成校の現在の状況について、養成学校定員H10(1998)年、全国14校(定員1050名)であったが福岡地裁において新設を認めないとする厚生省の言い分を取り消す判決がなされたことでH12(2000)年 「柔道整復師養成施設指導要領」の大幅な改正があり、H20(2008)年には96校(定員8607名)、H21(2009)年に100校(定員9205名)となり現状の養成施設定員からみると2年後には国家試験合格者が年間6000名となる見込みである。また、就業柔道整復師と施術所数10年間の比較を行い、H12(2000)年、就業柔道整復師数は30830名であったものが、H22(2010)年に50428名、H12(2000)年の 施術所数24500がH22(2010)年には37997となっている(東日本震災の影響で宮城県を除いて集計)。
更に現在の活動状況について、WHOからの柔道整復術総論の英文テキストの作成の依頼を受け、全国柔道整復学校協会の協力により作成、WHOよりガイドライン作成の依頼を受ける。柔整技術の伝承として2006年から外務省国際協力局民間援助連携室・無償資金協力から助成を受け、NGO日本伝統治療(柔道整復術)普及の事業を展開。JICAの活動としてモンゴル国立健康科学大学医学部において講義、ナーダム祭の障害調査と応急救護を行っている等、解説。
今回の主題である東日本大震災での支援活動の報告では、災害救助法(S22.10.18 法律第118号)と施行令(S22.10.30)、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年6月18日法律第112号)(医療の実施の要請等)及び施行令(平成16年9月15日政令第275号)(政令で定める医療関係者)第18条 法第85条第1項の政令で定める医療関係者は、1.医師 2.歯科医師 3.薬剤師 4.保健師 5.助産師 6.看護師 7.准看護師 8.診療放射線技師 9.臨床検査技師 10.臨床工学技士 11.救急救命士 12.歯科衛生士である。平成7年の阪神淡路大震災時の教訓から公益社団法人日本柔道整復師会傘下の47都道府県柔道整復師会では各都道府県知事と「防災等に係る協定」を締結し、各都道府県が実施する共同防災訓練等にも参加し、他の医療関係者(医師、看護師、救急救命士等)とも連携し救助に関する業務に協力している。柔道整復師は災害救助法施行令の定める「救助に当たる医療関係者の範囲」に含まれていないため、第1次医療救護では共同防災訓練等で行ったことが組織体として最大限生かされないまま時が経ってしまったが、公益社団法人日本柔道整復師会としての活動では、3月14日に情報戦略会議を開催し「災害対策室」を設置。被災県社団と連絡を取り救援物資の手配、3月24日に全国約17000名の会員に1口1000円、5口以上の見舞金の協力要請を行い、日整が窓口として各都道府県社団から災害救援救護ボランティアを被災県社団と連携をとって活動。その他、各自治体や日赤の要請により医療チームの一員として救護活動を行った。全会員の施術所に「義援金箱」を設置し患者さんや訪問者にも協力をお願いした。各都道府県の日本赤十字社や大手新聞社、地元新聞社、社会福祉協議会などに義援金を寄託した。
また、被災県社団法人柔道整復師会の活動では、宮城県の場合は「必要なとき・必要なだけ・必要なところに・活動できる会員から活動できる地域に」をコンセプトとした「接骨院ボランティア宮城(SVM)」(平成8年に設立)で活動。400名の会員全てが被災者という状況であり医療救護活動組織としての機能は失ったが、即、機能したのが宮城県内全警察署と協定しているSVM「子供とお年寄りの避難所」であった。すべてのライフラインを失った震災直後から近隣から駆け込んでこられた方々に対して倒壊等の心配がない施術所への一時避難所としての提供、貯留タンクのあるトイレや風呂の提供(プロパンガス使用会員宅)、または井戸水の開放などを開始した。第一次医療救護においては、甚大な被災避難所には、日赤、国立病院、オープン病院、市町村公立病院、診療所、海外からの派遣診療所に搬送することとし、柔道整復師としては日常施術科目はもとより、長期化する避難所生活からくるエコノミークラス症候群や廃用性症候群予防並びに劣悪な環境下からくる身体の痛みや疲れに対しての施術を目的に赤十字社宮城県支部、宮城県・仙台市災害ボランティアセンター、被災現場対策本部との連携を行った。続いて、福島県、岩手県の活動についても報告。
更に被災県以外の都道府県社団法人柔道整復師会の活動報告と社団法人柔道整復師会以外の柔道整復師の活動報告も行った。
今後は、現在、5万人以上の就業柔道整復師と4万箇所近い施術所を生かしたマンパワーの活用、救急・応急手当のマニュアル、他の医療関係者との連携、インフラ整備が求められ、送電停止の状態時における「手技療法」の有効性・有用性の検証を行い、前述の「災害救助法(施行令)」「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(施行令)」における「医療関係者(12種)」に入る働きかけをしていきたいと訴えた。