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第15回日本統合医療学会が埼玉県大宮ソニックシティで開催!
新年早々の1月14日(土)・15日(日)の2日間に亘って〝国民の健康に果たす統合医療の役割を探る!〟をメインテーマに第15回日本統合医療学会(IMJ2011埼玉大会)が埼玉県大宮ソニックシティで開催された。
開会式で渥美理事長は、〝統合医療はこれから実践的に進む。1つは、東西文明の融合、これは1000年に一度で起こっている。そのためにいろいろな価値観が変わっており、東西の文明を代表する東西医学の融合は統合医療の一つ大きな歴史的な意義である。2番目は人類がいろいろな資源を浪費したために地球資源が減少し環境問題が発生、これからはエコ医療になる。3番目は医学が進み遺伝子科学、再生医学が進むと、治療の医学から予防の医学へ転換する大きな転換期であり、誰がどう言っても統合医療は進むことになる。異なるシステムが融合、統合するため、いろんな問題が起こる訳で、制度・教育・法律を変えなければいけない。今回は様々な分野においてモデルとしてこれを解決する。今学会は全国から集って討論をする場で、皆さんの意見を学会に反映し、これからの統合医療を推進していきたい〟と意気込みを述べた。
続いて鈴木洋通大会会長が〝統合医療というのは、これから益々発展していく分野ではないか。事前登録が300名を超え、多くの方がこの領域に興味を持っておられるということではないか〟と挨拶を行った。
大会長講演『統合医療を国民へ』
埼玉医科大学腎臓内科教授・鈴木洋通氏
鈴木大会会長は、プログラムには概念的なことを書かせていただいたが、そういう概念をどうやって作り出していくかという現場の仕事というところから話を申し上げたいと述べ、冒頭、司馬遼太郎の坂の上の雲を喩えて、これから始まる高齢化社会について、人口の推移というのが医学でもどんなジャンルにおいても大切である。戦前までは人生50年、戦後急速に人口が増え始め65歳以上の人は国民の1.4%、100人に1人位の割合。1975年、約2%。2000年に5.7%、20人に1人。それが頂点に達した2007年に日本の人口が最大になった。日本は人口でみればまさに下り坂で、2050年には4人に1人が65歳以上という世の中が出現する。
歴史を振り返ると敗戦後に生活習慣の劇的な変化があった。糖尿病患者数の増加とその背景というのは、まさに生活習慣の特徴を具現する形となった。社会の変化と技術の革新が医学で最も表れた分野は世界一の透析医療である。世界をリードしてきたアメリカが、透析患者年間死亡率は20%で日本は4.3%と死亡率において5倍も違いがある医療は、恐らく透析医療をおいて存在しないと思われる。日本の透析患者の数は鰻上りに増えて今30万人で、やはり高齢化をしている。
鈴木氏は、透析医療の中でも「かゆみ」の問題を取り上げ、「かゆみ」にどれだけ透析患者は悩まされるか。2回の調査の結果、40%をこえる人が「かゆみ」に悩まされている。「かゆみ」の程度が強くなるほど眠れない。眠りというのは人間の生命に大きな影響を与えている。痒みが強いということは予後の決定因子P値で考えると0.0084という途方も無い数字で、透析患者さんの予後を決定している。たかだか痒み、されどかゆみではないかと私は考える。痒ければ痒いほど、治療を受けたという気持ちにならず治療満足度が低い、これは医学の中でも非常に問題とすべき点ではないかと思われる。このかゆみに関してどういうメカニズムかというのが分かってきた。こそばゆいという感覚、喜びや達成感、かゆみ等は脳で感じている。(中略)
西洋医学的なアプローチをしても東洋医学的なアプローチをしても一つの事象というものを評価していった時に、同じような結果が得られている。東洋医学的なものと西洋医学的なものが実は根は一緒であると言って過言ではないだろう。私の統合医療に対する考え方は、西洋医学も東洋医学も投影されている姿を平面的に見ている、統合医療というのは西洋医学と東洋医学を合わせて人間を立体的に見る。今まさに世の中は3Dの時代に入ってきた時に平面的な医療・医学ではない統合医療が求められているのではないだろうかと、締め括った。