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第15回日本統合医療学会が埼玉県大宮ソニックシティで開催!
『震災復興に向けた統合医療のこれから』
シンポジウムの前に今回の震災で亡くなられた方、行方不明の方1万9千人に対し黙祷が行われた。
「被災地の復興を目指した統合医療の展開」
東北大学名誉教授・仁田新一氏
仁田氏は、今回の震災の特徴は非常に広域に及び、短時間で生死を分けた。東北大学があまり被害を受けなかったことで、拠点病院になりえた。人間の尊厳を根底から揺さぶった。ポイントは、心の障害にどうかかわっていくかである。直後からDMAT(鍼灸・アロマ・マッサージの人たち等)と一緒になりながら大規模な救援活動を行った。震災対策委員会の立ち上げ、ニーズに応じた展開が基本であるがニーズの多様性への対応の困難さを実感した。災害復興期における統合医療推進のあり方・モデルケースの作成・ヘルスケアシティ構想・〝健康〟をキーワードに有機的に結合・ライセンスが通用する特区・統合医療センター・広い視野でヘルスケアシステムを構築していく等、訴えた。
「東日本大震災におけるAMDAの鍼灸支援と医療連携」
明治国際医療大学臨床鍼灸学教室教授・今井賢治氏
今井氏は、相互扶助の精神で、救える命があれば何処へでも出向く。ローカルイニシャティブ、現地のニーズに応じたことをしていくと話し今回の震災でAMDAの取組みについて、述べた。活動報告期間は、2011年4月1日~4月30日実施場所:岩手県大槌町。鍼灸治療を行った被災者の人数は67人(そのうち災害に関連して症状が出現した割合:96%)○避難に伴う症状(捻挫・打ち身・腰痛など)○後片付けに伴う症状(肩こり・腰痛・疲労など)○避難所の生活に伴う症状(疲労・不眠など)○精神的な症状。患者の平均年齢は49.7±17.9歳(13~84歳)平均治療回数は1.65回。評価はVAS、MOS(明治国際医療大学式弁証スコア)。治療は局所治療を行ったことを報告。また、被災地における医療の再建としては、地域医療の再建のために、保険診療による医療システムを早急に立て直し、ボランティア治療だけでは地域の医療環境の復興にはならない。被災地における医療は、無料から保険診療に徐々に変更していく。ただし、免除証明書があれば、自己負担分は免除される。医療復興のために療養費を利用する。医師の理解と協力のもとで療養費を運用し、医療と連携した鍼灸治療が求められる。鍼灸師に求められる医療連携の能力として①医療チーム内で共通した病態の把握②医療チーム内で共通理解できる治療内容③医療チーム内への説明と報告の責任があげられ、医療と連携した鍼灸治療を実践するためのシステムを構築する必要があるとした。
「統合医療的見地から見た被災地でのヨーガ療法の役割について」
日本ヨーガ療法学会・佐藤美弥子氏
佐藤氏は、被災地で如何に統合医療を実施するか話し合いを進めてきた。メンタル面での聴き取りを行った。高齢者は生活不活発病にかかっている。多元的なダメージを受けており心の傷、自己存在の意義を失っている方が多かった。どのように手を差し伸べていけばよいのか。スピリチュアルな痛みをかかえている。喪失感・罪悪感、生き残った苦しみ、自分の体の状況に気づいていない人も多く見られた。心と体を同時に癒していくヨーガは沢山のことに貢献できるのではないかと実感した。呼吸法、等尺運動、ブリージング・エクササイズ、ヨーガ・カウンセリング指導を行い身体を通して心に働きかける。今こそ統合医療、スピリチュアルなケアの重要性に気づき、これからも長い支援を続けていきたい。