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新シリーズ <柔整業界の一本化を目指して!>
緊急対談 『業界の一本化を目指して!』

2011/11/01

◇多くの問題の中で、最も解決しなければならない問題とは?!

田中:
現在、柔整の傷病名は、所謂「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」と保険請求上は決められていますが、例えば腱鞘炎や変形性関節症等も、実際には治療しています。ただ、それを保険請求をするにあたって傷病名を変えて出している訳です。その問題を解決するために、今の制度を変えないと何時になっても〝不正請求だ!不正請求だ!〟と弾劾され続けることになります。根本的な問題の解決をはかるということであり、そうしなければこの業界の先は見えてこないということです。

長尾:
やはり、私も田中先生がおっしゃられたように「傷病名問題」というのが一番大きな問題であると考えています。誰がみても明確に判る所謂「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」とそれ以外にも5つの傷病名に当てはまるかが分からない外傷のものや部分に関して、新聞社の記者にしてもそれを「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」か否かと当てはめて判断しています。つまり、当てはめた結果、当てはまらないものに関して、それを不正だという判断が一般的です。従って、そうした5つの傷病名にあてはまらない部分をどうするかといった議論をしていかないと何時までたっても我々は不正をしているような、いやな思いを一生背負って仕事をしていかなければなりません。本来我々柔整師というのは、患者さんに寄り添った、治癒回復を目的とした治療を行っている地域医療従事者です。しかしながら近年のマスコミ等により不正請求者よばわりをされることに業界は手を拱いてきました。ダーティーなイメージを払拭するためにも「傷病名問題」に着手することが最も大事であると思います。

 

◇傷病名問題を取り上げるならば、傷病名を何にするのか?!

田中:
何という傷病名にするのかという短絡的な話しではなく、そもそも柔道整復師法には業務制限(15条・16条・17条)しかないのです。5つの傷病名に限られるというのも健康保険を取り扱うからそういう形になるのであり、そこに矛盾が生じています。なぜ自由診療ならよくて、健康保険を使うとダメなの?と。ここを制度の上で、同一にしなければいけない訳です。協定で約束をかわしているから、傷病名を5つに当てはめて付けるのではなく、柔道整復師法に添った傷病名にしていくということです。これから協議する中でいろいろ案が出てくると思います。勿論何でもかんでもやって良いという意味ではありません。細かく協議していくことが大事です。

長尾:
療養費の取扱いに関しては、この20年間の傷病名のデータはありますから、ある程度リサーチは可能です。厚労省もデータを持っていますし、今は開示請求をすれば取れることです。これは外傷であるか、障害であるか如何か分からないものを○○挫傷にしたり、○○捻挫にしている、そのことを保険者はおかしいと言っている訳です。マスコミもそれはおかしいということを言っているんです。そこをちゃんと現場の実態調査をして、例えば4万軒ある接骨院はこういうことも診て治療していますと。保険者がいうところの急性・亜急性というのは医師の世界で決めている急性期と亜急性期で、所謂「期」がつくものと同一の認識です。しかしながら我々柔整師は、学校協会の教科書にも書いてありますが、繰り返しのものを「亜急性」としており、繰り返し小さなダメージが加わるもの、使いすぎ症候群、オーバーユース等を指しています。それらについて、実態はちゃんと治して効果をあげていても保険請求のルールでは許されないという、現状を打開しなければなりません。それにはやはりリサーチをして、しっかりエビデンスを示して、それを認めてもらって、堂々と取り扱うことが出来るように、交渉していくしかない訳です。単に膝のOAを扱わしてくれとか、例えば変形性の関節症を取り扱わしてくれと突然言っているのではなく、現に我々が行っていることを精査し、柔整業務に取り込むという作業をしていくということです。

田中:
厚生労働省に対しては、日本接骨師会当時の活動の中で〝適正な傷病名で請求できるようにして欲しい〟ということで要望したことがあります。そして平成17年の国会質疑の中で、厚生労働省の回答は、傷病名の追加に関しては〝いま検討中だ〟と述べています。良いとも悪いとも言っていません。未だ検討しているんですから、検討の時間が長すぎるのです。もうそろそろ回答を出す時期です。以前、あえて「腱鞘炎」で請求をした柔道整復師がいました。すると、昔は医師法違反だと言っていましたが、今は医師法違反だなんて言いません。保険者が良いと言えば、どの傷病名で出しても支払うということになっている訳です。つまり制度自体がほころびだらけで、もう今の制度では無理があるんです。業界がみな一つになって行政や議員に理解して頂くことが今一番大事です。