柔整ホットニュース

最新トピック

新シリーズ <柔整業界の一本化を目指して!>
緊急対談 『業界の一本化を目指して!』

2011/11/01

これまで柔整業界は、何度も危機に見舞われてきた。しかし、現在の柔整における一番の危機というのは、何なのか?
京都社団の副会長であり明治国際医療大学教授である長尾淳彦氏と昨年から今年にかけて大島九州男民主党参議院議員が中心となって召集した柔整小委員会のキーマンを務め、現在は日本整復師会を設立し会長となった田中威勢夫氏が緊急対談を行った。
果たして、2人の意見が纏まることはあるのだろうか?
また纏まった場合、次に手がけていくことは何なのか?
混沌とした柔整業界に2人のキーパーソンが問題提起を行った。

 

◇いま柔整業界は、内部崩壊の危機、内側から壊れつつある状況にある?

長尾:
危機的な状況というのは、これまでも何度もあった訳ですが、私は昭和57年に柔道整復師の免許資格を取得して以来、ずっとやって来た中で、今が一番危機的な状況を呈していると感じています。つまり、言い方はよくありませんが、これまでは、業界の外部から例えば整形外科の先生方、或いは柔整のことをヨシとしていない保険者等のバッシングや逆風といった危機でした。しかし、今の危機的な状況というのは、業界外部からのバッシングではなく、柔整業界内部による崩壊の危機が迫っていると言っても過言ではありません。現在も勿論良識ある人たちはちゃんと業務を遂行しています。いま弁護士において〝即、独立する〟という所謂「即独」が増えているように聞いておりますが、それと同じような状況、イヤそれ以上の状況が柔整業界にあり、この10年間で170%、倍近い数に増えており、どうしても「質の低下」が起きています。しかも、本当にそれだけの量の柔道整復師が必要なのかということも問題になっています。今や何が起きてもおかしくない状況にあります。近年医師不足が叫ばれる中で、逆に柔整は過剰時代を迎えてしまった。そういった意味で正しく危機的状況であると思います。こういった現在の状況を招いた要因の一つは、我々柔道整復師が置かれている制度自体が脆弱であるからだと言えます。

田中:
昭和11年の協定から始まった柔道整復師の制度ですが、これほどダイナミックに時代が変化しているにもかかわらず、何も変えて来ませんでした。そのため、このままでは立ち行かなくなるほどの制度疲労が起きています。近年、特に不正請求問題がマスコミ等で取沙汰される中、やはり「傷病名問題」を何とかしなくてはいけないという思いを強くしています。柔道整復師法に傷病名が全く記載されていないのに何故「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」になってしまったのかという原因や理由等について、いろいろ掘り下げ言及していかなければならないと思います。昭和45年に柔道整復師法が出来る時の趣旨説明の中に、「骨折・脱臼・打撲・捻挫等」という文言が入っています。これが今の療養費の支給基準の中にいきてしまっているということなんです。
制度というのは、その時代に合った相応しいものにしなくてはならないはずです。今の時代に合っていないことが非常に問題だと思います。ただ、この問題をどんどん掘り下げていくと、最終的には柔道整復師の行為が医行為であるかないかというところに行き着くことになります。柔道整復師の行為は「医業類似行為」であるとも言われており、その辺の議論もして、しっかり共通の認識を持つ必要があります。我々業界が一つになって、このような「医業類似行為の問題」、更には「傷病名問題」を徹底的に議論しあって統一した見解を出し、業界一丸となって交渉能力を持つことで行政も政治も動くと思います。

 

前のページ 次のページ