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厚生労働省の追認をうけて思うこと

2010/12/01

日本超音波骨軟組織学会(JSBM)代表理事・副会長  佐藤 和伸

 

平成15年9月9日厚生労働省医政局医事課長から「検査自体に人体に対する危険性がなく、かつ、柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査については、柔道整復の業務の中で行われていることもある。ただし、診療の補助として超音波検査を行うことについては、柔道整復の業務の範囲をこえるものである」との回答書が出された。

その時多くの柔道整復師は、超音波の使用を厚生労働省は認めていると解釈したが、一部の者から、文章が曖昧、文の内容は柔道整復師の使用を認めているものではないなど歪んだ解釈により、一部では柔道整復師の超音波検査使用が阻まれる事態も起きた。

今回の厚生労働省からの追認は、曖昧とされる平成15年の文章に対する疑問を払拭するものであり、今後より一層多くの柔道整復師が超音波画像診断装置を迷いなく使用するであろうと確信する。

 

今思えば、平成10年11月に日本超音波骨軟組織学会の前身である日本運動器系超音波研究会が発足した当時、会長であった東北大学医学部の仁田新一教授(当時)は、初めて全国規模で行われた第2回の研究発表会でこんな事を述べておられた。

『本研究会は超音波技術を用いた運動器系観察法において超音波工学及び組織学の基礎を重視した学理とその生体への応用に関する研究と普及を目的とし、発足した。
そこで、本研究会は運動器系・骨格系とそれに関連する研究分野のすべてを対象にし、参加を呼びかける層は専門分野と国家資格の枠を外して、該当分野に携わる誰でもが参加出来るように致しました。
このように研究分野と参加者の枠を広げましたが、基本は計測にありますので、計測法の観点をできる限り重視した客観性の高いデータを基にして、活動を展開して参りたいと思います。
客観性、信憑性の高いデータを基にすれば自信をもって議論する事ができ、新たな分野に超音波を導入することの意義が出てくることを期待しています。』

仁田新一会長のこの言葉は、現在の日本超音波骨軟組織学会(JSBM)にも綿々と息づいており、現在も柔道整復分野のみならず、理学療法分野から、或いは教育分野では早稲田大学スポーツ科学学術院からも計測法の観点をできる限り重視した客観性の高い多くの研究が発表されている。

 

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