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神奈川県石油業保険組合  廣部常務に聞く!

2010/11/16

―不公平や不正がなくなる規律を業界内部でも、どうにかしたいとする考えの柔道整復師は多くいますが、具体的には両者の不正撲滅連絡協議会などを設置するなど、柔道整復師と協力して不正を撲滅して行くと言う考えはあるのでしょうか。

先ほども述べた通り、健保連とか協会けんぽといった保険者の上部団体が考えなければ難しい。私自身は厚生労働省に要望書を上げていますが、保険者が厚生労働省に上げている要望は〝受領委任払いを止めてくれ〟というもので、特に〝整形外科があるのに何で無理してそんな所に行くの?〟という意見の人も多い。この間、本多先生が仰っていたこの制度が出来た当時と今の状況が違うということを双方が認識しなくてはならない。整形外科が少なかったから簡単な外傷、亜急性の打撲・捻挫等、昔でいうと骨接ぎですが、今は骨接ぎではない。患者の意識も上げないと不正はなくならない。神奈川県の総合健保がチラシ作りましたが、一組合だけでやると〝何でウチだけ厳しいんだ〟と言われるので、団体みんなで協議して作っています。

 

―骨折、脱臼の医師の同意という問題については、今回申請書に同意医師の名前の記載が義務付けられましたが、保険者側として今まで、申請書に記載が無いことで問題が発生したことはあったのでしょうか。被保険者がそのことで被害が生じた事例はあったのでしょうか。この問題は、柔道整復の業界内部でも、患者側にそった改正ではないのではないかと言う意見が出ていますが、保険者側として何かご意見がございましたらお聞かせください。

柔道整復師の先生が書く手間が増えたというだけで、患者には何のデメリットも無いと思います。骨折の場合、骨折だと思って事後病院に行ったら骨折ではなかったということもあります。患者のためにはやはり同意を取ったほうが良いと思います。保険者から見ると、骨折でもないのに骨折であるとして請求されてしまう虞がありますから。そもそも骨折するほどの怪我は、最初に医者に行くべきだというのが保険者の考えです。厚生労働省や保険者は第一診療者の順位について、あくまでも柔道整復師は整形外科の補完的な治療という認識です。この問題は保険者と医師会と柔道整復師会、この3つの利害が絡む問題ですから中々解決しにくいのです。柔道整復師の業務エリアが拡がれば医者の業務エリアが侵食される訳で、今は、昔と違って整形外科もどんどん増えている訳です。従って整形外科医の側にも不満があります。我々の診療報酬はちょっとした怪我だと柔道整復師さんのほうが高い。医者に行くと1部位でも2部位でも料金は同じです。同意を無くしてしまうとそれこそ業務範囲が拡がって医師の側から〝柔道整復師の資格でそんなこと出来るのか〟と、なってしまいますからね。

 

―廣部常務が提案されている私案が実現するための手続きというのは?

厚生労働省が取り組むかどうかです。健保連、国保中央会、日本柔道整復師会、関係団体等が、厚生労働省に要望して厚生労働省がやる気になるかということです。ただ、保険者は消極的ですから厚生労働省も消極的になる可能性はあります。しかし、もうそういう時期に来ています。止めてしまうか、償還払いに戻してしまうか・・・、そうすると柔道整復師のレベルダウンになってしまいます。

 

―償還払いにして接骨院の患者さんを減らすと医療費が上がるというように思われますが、保険者さんにはその認識はあまり無いということでしょうか。

それはその通りです。ただし、今の患者さんの半分はやはり本当に病気で、接骨院に通えなくなると整形外科に行くという人がいるでしょうから、その分は増えるかもしれませんが、残りの半分は償還払いだったら行かない、たいしたことがないからガマンするという患者さん、しかも所謂不正はなくなる訳ですから、医療費が増加するとは必ずしも言えないという考えもあります。この私の案に基づいて改正するのであれば、柔道整復師とマッサージ師の業務の明確化をしなければダメです。マッサージ師はそもそも目の見えない人の生活を支えるための一つの職業であったのに、今は障害者だけではなく健常者も含めた職業になっています。

 

―現在、保険者が民間調査会社に委託していることについてはどのように思われていますか?又、廣部常務理事は〝都道府県単位に協会けんぽの審査会があるが、受託会社以上に問題です〟と言われております。その問題点についてお聞かせください。

民間委託については、療養費ですから保険者業務ということで保険者が支払審査を行うことになっています。要するに現金給付は保険者が行うということです。しかし、保険者が行うとなっていても、業務委託すれば出来るのです。レセプトの点検業務についても、何処までアウトソーシングするかとなってきている訳です。保険者の考えというのは健保連や協会けんぽ、つまり厚生労働省の考え方に近くなります。療養費だから審査する権限は保険者にあると言う人もいますが、それを言えばレセプトもそうで、いろんな健保の内容チェックを外部に頼んでいます。柔整療養費もそうです。最後に決定するのは保険者であって、審査の途中の過程というのは、外部委託を受けた者が越権行為さえしなければ、誰に頼んでも良いのです。ところが、協会けんぽや健保組合、健保連が行っている審査会が公的な審査会かというと、そうではありません。協会けんぽの審査会は通達に基づいていますが、あくまで保険者業務です。単月で審査点検しているので、ハッキリ言えば事務的審査に近いです。当健康保険組合は、協会けんぽの審査会に委託もしていないし、健保連に委任状も出していません。内容審査やレセプトとの突合も自前で行っています。

 

―効果があまりなかった上に経費がかかるので自分達でやるようにしたという発言もありましたが。

真面目に審査をするなら、自分のところでやるほうがやはり良いのです。それだけの設備投資が出来るかどうかです。特に当組合みたいに規模が小さいと、大きな設備投資はできないので、人間の目審査です。ガリバーさんは全部入力するから、縦覧点検が出来るのです。私の案で行うためには、ちゃんと手書きの施術録を作らなければダメです。いずれにしても、本多弁護士が言われるように柔道整復師のレベルアップをしなければダメだというのは、その通りです。3番の③「資格は試案でもよいが」というのはJBさんの試案のことを指しています。この新制度が実現した日には、〝特別な資格よりも全柔道整復師が展望の持てるものが望ましい〟というのはどういうことを意味するのかというと、あまり差別化しないほうが良いのではないかと。要するに研修を受けさせて登録したら、何年間こういうことをするということをしっかり義務付けて、みんながなれるような形にしなければ・・・。
しかし、現状を見ていると、そういうことも言っていられない状況なので、JBさんが言うような試案で差別化する必要があるのかなとは思います。

(文責・編集部)