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神奈川県石油業保険組合 廣部常務に聞く!
2010年9月2日に行われた第3回保険者会議(主催:患者と柔整師の会)において、神奈川県石油業健康保険組合常務理事・廣部正義氏は「柔道整復療養費請求システムの改善(私案)」を提出された。
廣部正義氏にその内容について、今後柔整業界が着手しなければならない一番の問題点と方策等を大胆に答えていただいた。
スペシャルインタビュー「神奈川県石油業保険組合廣部常務に聞く!」
神奈川県石油業健康保険組合 常務理事 廣部 正義 氏
―9月2日に開催された第3回保険者会議では、ある保険者の方から〝今一番問題にしているのは、実際は、外傷ではない慢性疾患を外傷という形で病名をつくり上げて請求が来たり、実際はケガをしていないのに、ケガをしているという形で余分な負傷部位がくっついて請求が来ることを問題視している〟という意見がございましたが、保険者さんが問題にされていることの本当のところ一番は何でしょうか?ズバリ教えてください。
やはり今の問題が一番でしょう。結局、チラシ広告・宣伝をしているような整骨院は、耳ツボもスポーツ外傷もみんな病名を変えてやっているため、今言われた問題に包含されるのです。バレーボールの試合で傷めたというと、右膝関節捻挫、左膝関節捻挫、普通両側同時に負傷の場合、負傷日や負傷原因を変えて請求する訳です。保険者が冷静に見ると、どう見ても同じ病気で何ヶ月も前からかかっている病気だということが分かる訳です。医者には問診票もちゃんとあって、調べれば直ぐ分かることですし、医者が嘘を書く必要性は全くありません。柔整さんはやはり辻褄を合わせようとするから、事実と異なることが直ぐ露呈してしまって、患者さんに聞けば直ぐ分かることなのです。つまり、スポーツ外傷全てがダメということではなく、慢性化してしまっているスポーツ外傷はダメということです。スポーツ障害は繰り返しになりますし、治らなくてもトレーニングやプレイをします。治るまで休んでいたら、レギュラーを外されてしまいます。
社団さんはレセプトで慢性の傷病名がついていたら、ダメということで大体納得してくれます。また、医療機関・整形外科で何ヶ月も前からかかっているものを、接骨院で初検日の2・3日前に怪我をしたことにしてもダメです。両方にかかってはいけないということではなく、柔整は急性・亜急性のもの以外はダメということになってしまうのです。医療機関も捻挫・脱臼、柔整も捻挫・脱臼であるならば梯子受診はしないで下さい、患者さんにどちらかに決めてかかって欲しいということです。医師も本当に捻挫であれば捻挫と病名を書く訳です。膝内障という、スポーツ選手が捻挫をして、半月版損傷、靭帯損傷に至る場合があります。医療機関での治療内容を見れば急性症状かが直ぐ分かります。急性・亜急性であれば、捻挫や打撲に入る訳です。
―医学的な問題と役割の問題が絡んでいることについて
例えば「肩こり」についてですが、これは柔整だけではなく、単なる「肩こり」は病気ではないから整形外科でも本来はダメなのです。結局、「肩こり」の原因が何なのかということです。ただ単に仕事をやりすぎて肩が凝ったのであれば〝ハップ剤でも出しておきます〟で終わりです。ハッキリ言えば「肩こり」というのは、整形外科でも柔整でも保険適用外です。ただし、医療機関は、患者がそういう違和感を訴えた場合には、診なければいけないことになっているので、とりあえず診ますが、「肩こり」で整形外科に毎日通っている人は居ません。だから柔道整復師に行ってしまうのです。それは何故かといえば、揉んでもらうためです。揉むだけの行為は、保険適用外です。スポーツ外傷以外、スポーツトレーナーの様な所謂指導業務も保険適用外です。日本の健康保険制度では予防や癒しは認められておりません。しかし、そういった日本の健康保険制度を理解していない人が非常に多く、体によければみんな保険が利くと思っています。しかし体に良いものということでの保険適用はありません。疲れているだけではダメなんです。単なる疲労回復はNGです。病気でなければダメなのです。保険適用のグレーゾーンの部分については、医者であれば良いが柔整は無理ということになります。従って私の考えは、グレーゾーンを妥当とするには今の柔道整復師の資格、業務範囲では無理ですから調剤薬局のような処方箋、医者の指示、整形外科の処方箋に基づく柔道整復師による理学療法を保険医療として行う。ただ問題なのは、マッサージ師の業界と軋轢が出てきます。今マッサージ師も医者の診断書と同意書さえあれば、一応良いとなっていますが、こちらは柔整とは逆に急性ではなく、医者でもなかなか治り難い慢性疾患を扱えることになっています。日本の法律というのは性善説に立って作られておりますが、人間不信の時代になって、政治家もおまわりさんも検察も信用できない社会になってしまいました。こういう不正問題にしても、昔はそんなに無かった。話は変わりますが、いろんな事件が起きているけれども、結局全て金に絡む事件ばかりです。JBさんで感心したのは、そういう中で、昔と今と同じではダメだから新しい仕組みを導入しないとこういった不正は防げないという考えに共感しました。今言ったようにグレーゾーンの問題に着手しなければ何も解決しないのです。柔道整復師というのは外傷による脱臼・骨折・捻挫・打撲、挫傷しか本来診てはいけないのですが、グレーゾーンどころか関節炎や坐骨神経痛といった明らかに慢性疾患、それも長期に亘り治らず、医者も手に負えない疾患まで診ています。