柔整ホットニュース
特集
第2回日本認知症予防学会学術集会
最後になりますが、高齢社会の中で求められる柔道整復師のあり方について「予防」という視点で提言したいと思います。この提言はあくまで一例ですが、柔道整復師の業務に「予防」という概念を当てはめてみると、一次予防として柔道整復師は、ストレッチや筋トレの方法等を指導し怪我そのものを予防できる。二次予防としては、超音波画像(エコー)等を用いて客観的に筋力のアンバランスやオーバーユース等を早期に発見・治療し、怪我が悪化する前に対応ができる。三次予防としては、受傷してもRICEを適切に行い、症状の悪化を予防し、早期治癒や再受傷しないように対応ができる。というように「予防」を上手に定義することができれば、柔道整復師ができる業務内容を他職種にも説明がしやすくなるのではないでしょうか。これからは、「地域包括ケア」という概念で地域医療・福祉は再編されます。柔道整復師が地域包括ケアシステムの中で業務を遂行していくためには、予防という観点から柔道整復師の専門性を他職種に分かるように類型化し、業務内容を明確化していく必要性があるのかもしれません。そして、地域包括ケアシステムの中で、介護予防としての一次予防や二次予防事業に関わったり、行政や多職種とチームとして協働していくためには柔道整復師であっても認知症の知識は必要不可欠となります。かつて、柔道整復師は、柔道を指導することで地域の子供の健全育成に貢献して来ました。現在は少子高齢社会であるため、高齢者の健康寿命に「精力善用、自他共栄」の理念で柔道整復師が寄与できればと思います。
繰り返しますが柔道整復師は、介護保険制度の中では機能訓練指導員として位置づけられています。外傷性疾患のスペシャリストでもありますが、認知症についての知識も有していなければ高齢社会の日本において社会性のある資格とは言えません。本報告を最後まで読んでいただいた方々には、地域で地域包括ケアの一翼を担う柔道整復師として御活躍をお願いしたいと思います。そして、それぞれの地域で日本認知症予防学会が目指す「認知症を予防できるまちづくり」に貢献して頂ければと思います。
このような寄稿の掲載を許可していただいた柔整ホットニュースに深謝致します。
- ※
- 認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ:日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても誰かが注意していれば自立できる状態。
- 例)
- たびたび道に迷う、薬の管理ができなくなる、トイレがわからなくなるなど
プロフィール
峰村 直樹
【略歴】
平成 4年 明治国際医療大学(旧明治鍼灸大学)鍼灸学部卒
医療法人 古東整形外科内科就職
平成 8年 明治東洋医学院専門学校 柔道整復学科卒
医療法人 古東整形外科内科退職
平成 9年 峰村鍼灸整骨院開業
平成16年 有限会社 峰村 設立
デイサービスセンター 長寿村 開設し、現在に至る
平成20年 九州保健福祉大学大学院 社会福祉学研究科 修士課程終了
修士(社会福祉学)
平成21年 認知症100万人キャラバン「キャラバンメイト」
【行政委託事業等】
平成17年 水俣市介護保険事業者連絡協議会長 在宅支援部会長 就任
平成18年 水俣市社会福祉協議会「ふれあいのまちづくり推進委員会」
会長 就任
平成19年 水俣市介護保険事業者連絡協議会長 就任
平成20年 水俣市地域支援事業(一次予防事業)受託
平成21年 水俣市地域包括支援センター運営委員 就任
認知症地域支援対策構築等推進事業 コーディネート委員 就任
平成22年 熊本県認知症予防モデル事業 受託
平成23年 水俣市地域支援事業(二次予防事業)受託
平成24年 水俣市認知症予防事業(一次予防事業)受託
熊本県補助事業「地域共生くまもとづくり事業」受託
【取得資格】
鍼灸師、柔道整復師、介護支援専門員、介護福祉士、修士(社会福祉学)
【受賞】
平成22年 世界アルツハイマーデー記念事業 熊本県功労者賞 受賞
「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり功労者」