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(公社)日本柔道整復師会 第41回九州学術大会大分大会 開催

2012/08/01

最も強調したいことは治療を行っていく中で、「ねんざは夜寝ている間に悪くなる」ということである。自重による踵の突き上げを防ぎ、掛け布団の重みにより底屈位になることを防ぐことが重要である。足関節亜脱臼位にある場合には整復を行う必要がある。膝下ギプス固定を行うと直りが悪く、早期からの筋力強化が大切で、長趾伸筋(EDL)、腸脛靭帯(ITT)の筋力強化を図ることにより再受傷を防ぐ。予防の一つにテーピングがあり、外側スパイラルやスターアップ、サーキュラーが理にかなった巻き方である。

リフラン関節・中足骨5本が同じ方向の力で損傷されることは少ないので一本一本の中足骨と楔状骨や立方骨をチェックして屈曲が加わったのか伸展力が加わったのか判断して治療に当たる必要がある。舟状骨の疲労骨折はX線像では解らないことが多いがCTやMRIで判明する。少年の足の障害は多くこの部の痛みを訴えることが多い。別名フランスヒール骨折とも呼ばれる。他にも田渕先生考案のサポーター型装具や陳旧性の手術療法、田渕式手術法を紹介。足関節捻挫と鑑別を要する疾患を紹介し、追加として数々の足部の疲労骨折を紹介された。

最後に、サッカーでもラクビーでも運動させながら治すという事でやっております。手術しなくても運動しながら治る等、述べて終了した。

会場は立ち見が出るほど盛況で満場の拍手が鳴り響く中、終了した。

 

この日、8題の研究発表が行われ、大分県・重石雄大氏が『内反肘を伴うPLRIに類似した動揺性疾患の症例報告』と題して、近年、肘関節の疾患における後外側回旋不安定症(Posterolateral rotetory instability:PLRI)の発症機序やその治療法が注目されている。本症は、1991年にO`driscollらによって提唱された外傷後に生じる肘関節の動揺性病態を意味する。2001年にO`driscollらによって内反肘に合併した24例のPLRIが報告されたことで、PLRIの発生機序に内反肘が深く関係することが示唆されている。PLRIの発症は、主に肘関節脱臼などの外傷によって外側支持機構に破綻が生じ発症するものと、骨折などに起因する内反肘変形による骨性アライメント異常によって生じる2つの発症機序が存在すると考えられている。内反肘を伴うPLRIに類似した極めて稀な動揺性疾患の症例について、解剖学的・文献的考察を加えて報告。現在、大分大学・医学部・生体構造医学講座・三浦真弘先生の指導の下、同大学の実習解剖体を用いてPLRIに関する肘外側の正確な構造的特徴を解析している。特にLUCL(外側尺側側副靭帯)の存在については研究者のなかでも統一見解に至っていないため、今後さらに検索を進め柔道整復師の施術に応用できるような解析に努めていきたいと話した。

 

福岡県・角家豊氏による『肩関節脱臼整復法の比較検討』と題した研究発表では、肩関節脱臼整復法には様々な種類があるが、今まで施術しなれた整復法を行っていた。整復法を比較検討することにより、安全性が高く簡便に患者様の苦痛がない整復法を選択できるのではないかと考えた。脱臼を烏口下脱臼にしぼり、整復法を一般的によくつかわれるヒポクラテス法(SL-1)、コッフェル法(座位(SL-2))・仰臥位(SL-3)の3種に限定し、比較検討を行った。施術者が1人の場合、VAS法、ROM評価の結果からヒポクラテス法が良いと認められ、施術者が2人の場合、同法によりコッフェル法仰臥位が良いと認められる等、どちらの整復法も一長一短があるが施術者数や整復時の疼痛の出現やVAS法等から考えると、整復難易度や経過、患者満足度においてはヒポクラテス法が結果良好であったと報告した。

 

佐賀県・徳安琢磨氏・大渕絹子氏・勝田浄邦氏の『反復性足関節捻挫予防に用いるテーピングの考察』では、学生154名を対象に足部の障害・足関節捻挫の既往等に関するアンケートとフットプリンターによる足底圧分布の計測を実施、捻挫の既往と足底圧分布の関係性を検討。長・短腓骨筋群の作用を補強する様なテーピングと腓骨筋群の運動方向の転換に関与する腓骨筋支帯や足関節の背屈力助長に関与する伸筋支帯を補強するためのテーピングを行い、その有効性が認められる結果を得られた。このテーピングを用いる事で反復性捻挫への移行を予防できるのではないかと発表。

 

『10代前半のスポーツによる膝痛へのアプローチと検証』と題し長崎県・今道昭哉氏が、青少年のスポーツ障害の中で、膝痛は特に多く、ジャンパー膝やオスグッド・シュラッター病は、スポーツ科学の普及で著名になっているが、臨床現場で10代前半の膝痛の原因は局所的なものばかりではないという考えを持っていた。膝の屈曲痛で来院した2009年5月から2011年10月まで、陸上部・サッカー部・駅伝部・社会体育ジュニアサッカークラブの10歳から15歳までの男子19名、女子2名、計21名を対象に脛骨粗面の超音波画像診断を行い、オスグッド・シュラッター病等の器質的変化の有無で陽性か陰性の判断、陰性の被験者をENB(微弱電流)療法の識別方法で微弱通電装置を用いて識別を行った。今回の被験者のような条件でスポーツする患者に、今までは、なぜ膝が痛いのか、明確な説明が出来なかったが、今回の観察施術で、確信をもてる説明が出来るようになり保護者やクラブ管理者・コーチに会得して頂いている等、報告。